北海道室蘭市内の水道水から基準を超える発がん性物質ベンゼンが検出された問題で、市は9日、住民ら42人の体内のベンゼン量を示す数値の平均が、昨年9月~10月の前回調査より上昇したと明らかにした。
尿検査などで、このうち7人は健康被害が懸念される1リットルあたり25ミリ・グラムを超えた。
市内の給油所から大量のガソリンが漏れ出したのが判明している。今回の調査は1月4~10日に実施した。
前回調査より上昇した理由は不明だが、市の健康影響評価検討委員会の森満委員長は「長年にわたって体内に蓄積したベンゼンが現在排出されており、それによって数値が高くなっている可能性もある」と語り、ガソリン漏出の開始時期の特定を急ぐ考えを示した。
同市によると、ガソリン漏出元の給油所周辺の大気中に含まれるベンゼン濃度は国の環境基準を下回っており、水道水も現在は水質基準に適合して問題はないという。