「ペットも家族の一員」という考え方が社会に浸透しつつある中、山形県天童市の旅館「ほほえみの宿 滝の湯」(山口敦史社長)は、社員向けに導入したペットの忌引休暇が反響を呼び、企業イメージを高める副次的効果を上げている。特にペットを飼っている人から好意的に受け止められ、同旅館の担当者は「客層が広がった」と思わぬ影響に驚いている。【湯浅聖一】
一緒に泊まれて幸せ 急増中、犬連れ歓迎の宿「笑顔で職場に戻れるように」

滝の湯がペット休暇を取り入れたのは2020年10月。佐藤伸一常務(64)が、愛犬をがんで亡くし、勤務シフトを交代して葬儀を営んだ社員の悲しみを目の当たりにしたことがきっかけだった。佐藤常務にペットの飼育経験はなかったが、当時全社員約90人のうち約15%がペットを飼っており、「死んだ時は立ち会いたい」などの声があり導入を決めた。 ペット休暇は飼っている犬や猫が危篤状態になったり死んだりした時に、3日間の特別休暇として取得できる。年1回更新する家族調書にペットの名前や年齢を記入しておくことが条件。これまでに女性社員1人が制度を利用したという。 佐藤常務は「旅館は接客業なので、しっかり見送って心を整理してから笑顔で職場に戻ってくれるのがベスト。そのために会社として気兼ねなく休める環境をつくりたかった」と導入の理由を説明する。 社員からも好評で、雌のミックス犬を飼っている総務課の佐藤郁美さん(40)は「高齢犬で病気がちなので制度ができて助かる」と話し、雄の保護猫がいるフロント課の黒田麻美さん(47)は「急に具合が悪くなっても病院に連れて行けると思うと、気持ちにゆとりが出る」と歓迎する。 ペット関連業界以外では全国的にも珍しい試みは大きく報じられ、多くの反響が寄せられた。「掲載された新聞記事を切り抜いて保存しています」「素晴らしい取り組みにうれしい気持ちになりました」など、ほとんどは賛同する内容で、これまでにホームページへの書き込みや手紙を通じて約90件の便りが届いたという。 同旅館はペットの宿泊はできないが、制度導入以降は「ペットを飼っているという宿泊客が増えた」(佐藤常務)と言い、本業への波及効果にもつながっている。 「働きやすい職場は社員の定着率と結びつく。ペット休暇は雇用確保の一環でもある」と佐藤常務。4月からは業界では珍しい年間110日の休暇取得を試験的に取り入れるなど福利厚生の充実に力を入れ、社員の満足度や意欲の向上を図る考えだ。
「笑顔で職場に戻れるように」
滝の湯がペット休暇を取り入れたのは2020年10月。佐藤伸一常務(64)が、愛犬をがんで亡くし、勤務シフトを交代して葬儀を営んだ社員の悲しみを目の当たりにしたことがきっかけだった。佐藤常務にペットの飼育経験はなかったが、当時全社員約90人のうち約15%がペットを飼っており、「死んだ時は立ち会いたい」などの声があり導入を決めた。
ペット休暇は飼っている犬や猫が危篤状態になったり死んだりした時に、3日間の特別休暇として取得できる。年1回更新する家族調書にペットの名前や年齢を記入しておくことが条件。これまでに女性社員1人が制度を利用したという。
佐藤常務は「旅館は接客業なので、しっかり見送って心を整理してから笑顔で職場に戻ってくれるのがベスト。そのために会社として気兼ねなく休める環境をつくりたかった」と導入の理由を説明する。
社員からも好評で、雌のミックス犬を飼っている総務課の佐藤郁美さん(40)は「高齢犬で病気がちなので制度ができて助かる」と話し、雄の保護猫がいるフロント課の黒田麻美さん(47)は「急に具合が悪くなっても病院に連れて行けると思うと、気持ちにゆとりが出る」と歓迎する。
ペット関連業界以外では全国的にも珍しい試みは大きく報じられ、多くの反響が寄せられた。「掲載された新聞記事を切り抜いて保存しています」「素晴らしい取り組みにうれしい気持ちになりました」など、ほとんどは賛同する内容で、これまでにホームページへの書き込みや手紙を通じて約90件の便りが届いたという。
同旅館はペットの宿泊はできないが、制度導入以降は「ペットを飼っているという宿泊客が増えた」(佐藤常務)と言い、本業への波及効果にもつながっている。
「働きやすい職場は社員の定着率と結びつく。ペット休暇は雇用確保の一環でもある」と佐藤常務。4月からは業界では珍しい年間110日の休暇取得を試験的に取り入れるなど福利厚生の充実に力を入れ、社員の満足度や意欲の向上を図る考えだ。