事件や事故の状況や目撃情報を画像や動画で送ってもらう110番通報システムが昨年10月に試験導入されてから、埼玉県内でもシステムをきっかけに事件解決に結びついた事例が確認されている。
県警は「伝聞情報ではなく、客観的に正確な情報として事案を把握できる。効果は大きい」としている。
110番通報を受けた県警通信指令課員は、画像や動画があった方が有効と判断した場合、撮影や送信が可能か確認したうえで、通報者のスマートフォンにショートメッセージサービス(SMS)でシステムのURLを送信する。通報者は課員から口頭で伝えられた4桁のパスワードを入力すると撮影した画像や動画(保存分を含む)を送れる。
警察官を現場に派遣する前に状況などを視覚的に把握することで適切な人員派遣や捜査ができ、早期解決にもつながると期待され、4月には本格運用が始まる方向だ。
昨年12月には、このシステムが事案解決のきっかけになったケースが県内でもあった。
同月下旬、県西部に住む女性から「小学生の娘が帰ってこない」と110番があった。通報を受けた課員は緊急性があると判断し、システムの利用を提案。母親から女児の容姿がわかる画像を入手し、これをもとに捜査員が捜したところ、自宅から300メートルほどの路上で画像と似た女児を発見した。女児は通報から約40分後、無事に保護された。
今月下旬には、初めて容疑者の検挙につながった。県東部の住宅敷地内で男が80歳代女性に暴力を振るっているのを目撃した人が、様子を撮影して110番。動画も提供した。数日後、動画をもとに捜査したところ、犯行が特定され、男を傷害容疑で逮捕した。
このシステムを活用した画像や動画は1月25日時点で計60件(画像50件、動画10件)が寄せられている。月平均では15件前後だが、県警は今後、自治会などへの出前講義を行い、さらなる普及を目指している。