新型コロナウイルス禍で、3年ぶりに行われた2日の新年一般参賀。
感染拡大前、一度に2万人以上が集まった会場には、抽選で10分の1ほどに絞られた参賀者が整然と並び、天皇陛下のお言葉に静かに耳を傾けた。「密」を避けた異例の形式に、訪れた人からは「少し寂しい」との声がある一方、「再開してよかった」「安心して参加できた」との感想も聞かれた。
「新年おめでとうございます」
陛下がお言葉を述べられると、年始の皇居の静寂に、日の丸の小旗がはためく音だけが響いた。
感染対策のため、参賀者に大声を控えるよう呼び掛けた今回の参賀。平成最後の参賀にも訪れたことのある千葉県東金市の主婦(52)は、「以前は『天皇陛下、万歳』という歓声があちこちで上がっていたが、今日は静かなまま。少し寂しい感じがした」。それでも、「また来られてよかった」と笑顔を見せた。
宮内庁は今回、参賀申し込みのあった約10万2千人から、抽選で約9600人を選定。当選者には、会場内の立ち位置を示す記号を事前に通知し、当日は皇居前の広場に設置したテントで本人確認を行った上で、職員らがそれぞれの記号を記したプラカードを掲げて会場へ誘導した。
希望者全員の参賀が叶わなかった一方で、「ウィズコロナ」形式を歓迎する声も。川崎市の無職男性(71)は「コロナ禍で人混みを避けていたが、人数を絞ると聞き応募した。隣の人との間隔も十分あり、安心できた」。千葉県市川市の自営業、杉野義久さん(44)と息子の暖眞(はるま)君(9)も、前の列の間隔が空いていたため、陛下のお姿をよく見ることができたという。杉野さんは「コロナで飲食業は苦しい状況が続いたが、陛下のお言葉を直に聞き、また頑張ろうと思えた」と話した。
宮内庁は2月の天皇誕生日の一般参賀も同様の形式で開催するとしている。