若者の利用が減少しているラブホテル。苦戦する業界はさまざな仕掛けに乗り出している。前編記事『北関東で農業に従事する60歳夫がモテモテ…ラブホテルで年下女性と不倫を続ける「意外な理由」』に引き続き紹介する。
中高年やシニアカップルがラブホテルを利用する理由として、その年代ならではの悩みも関わっている。子供が成長し、思春期を迎え、さらには成人すると手狭な自宅での性行為はしづらくなってくることだ。
「特に40代~60代の中高年は若い頃にラブホテルを利用し、親しんでいた年代でもあります。そのため男女ともに抵抗感が少なく、気軽に利用する人も多いと思います」(ラブホテル評論家の日向琴子さん)
だが、シニアカップルはいくらラブホテルに行ったからといっても、若い頃のような性行為はできない。とはいえ男性機能が衰えても気持ちはまだまだ現役。同世代のパートナー女性だって、年齢は重ねていても当然、性欲はある。
写真はイメージ(Photo by iStock)
そのため若い頃とは異なる、その年齢に応じた楽しみ方を見出しているようだ。前出の日向さんが解説する。「中高年、シニア層の場合、年齢的なものもあって性行為はせずにラブホテルを利用することも多いようです。使用後のスタッフが清掃で部屋に入ったときにベッドが乱れておらず、何も使われた形跡がないという話はよく聞きます」シニアカップルは、その年代ならではの余裕のある過ごし方をしているのも、特徴のようだ。東京都に住む赤尾由利子さん(仮名・65歳)は3歳年上の彼氏と時々ラブホテルを利用している。「彼とは元々は飲み友達でした。3年前に行きつけのお店で知り合い、すぐに意気投合。2年前から交際しています」(赤尾さん)赤尾さんは10年前に夫と離婚したバツイチ、彼も同時期に妻を亡くした「没イチ」だった。現在は一緒に暮らしており、事実婚状態。さまざまな事情から籍を入れることはないと話す。抱き合って寝るだけで幸せ「夫とはラブホテルを利用したことがなかったので実は興味があって、彼と行くようになり、すっかりハマってしまいました。彼は男性機能があまり……なので行為はせず、広いベッドでただ抱き合っているだけなのですが、幸せです」(前同)そう言って照れくさそうにはにかむ赤尾さん。赤尾さんのラブホテルでの過ごし方は、まず広いお風呂に一緒にゆっくりと入る。手狭な自宅の浴槽と違って、足が伸ばせるため彼のお気に入りだという。入浴後は飲み放題のお酒で乾杯するのが至福の時なのだとか。「部屋には大型テレビが設置されているので、お酒を飲みながら古い映画を一緒に見るのもいいですね。お店で歌うカラオケの練習もそこでしてますよ(笑)。私たちは年齢も年齢なので、疲れたらすぐにベッドで横になれるのがありがたいです(笑)」(前同)その満足した口ぶりからも、赤尾さんはラブホテルデートを存分に楽しんでいるようだ。「特にコロナ禍では旅行に行くことができなかったので、誰とも顔を合わせることなく駐車場から部屋に入れるタイプのラブホで『プチ旅行』感覚を楽しんでいる人もいました」(日向さん、以下同) さらに中高年やシニア層のカップルが注目しているのが、「和室のある部屋」のあるラブホテル。「最近では和室がない住宅も増えています。ですが、畳の上で足をのばしてくつろいだり、ゴロゴロしながらテレビを見たり、ゆっくりと過ごしたい、という気持ちを持っているカップルも多く、人気なんです」ルームサービスは高級レストラン並みさらにいろいろな遊びも知っている中高年以上を納得させるのは、「食」と「ロケーション」。日向さんによると、味には厳しい中高年やシニア層の舌を唸らせる、本格的な食事を提供するラブホテルも登場しているという。最近のルームサービス事情を説明する。「有名シェフが料理を監修しているラブホテルもあります。冷凍技術と電子レンジの進化によって、お店にできる限り近づけた味を提供することができるようになったのです。焼きたてパンを出してくれるホテルや、お粥などのさっぱりとした料理をメニューに入れていることもあります。単価が高くても注文は多く、逆に価格が安いと頼まれないこともあるそうです」Photo by Lisa Romerein GettyImages もちろんホットスナックなど、安さを売りにするメニューもあるが、高級志向を意識したルームサービスが中高年以上にはウケているようだ。「例えば朝ごはん。ラブホテルで安いご飯はなんとなく内容も味も想像ができてしまいます。ただ、それが600円というまあまあいい金額で、中身も比較的充実していたら『頼んでみようかな』と顧客は興味を持つそうです」ほかにもバーベキュープランがあったり、9800円のしゃぶしゃぶセットを提供する施設もある。価格は高くても利用者は多く、そうしたサービスも魅力の一つとされている。リゾートホテル並みの豪華さも進化を続けるのは飲食や設備だけではない。室内も明るくて、ファブリックも高級感のあるものを揃え、まるでリゾートホテルのような豪華なコンセプトで展開するラブホテルも増えている。「ラブホテルは暗くて衛生面でも苦手、という人も多いかもしれませんが、そうした昔のイメージは徐々に払拭されています。ターゲットとしている40代以降の場合、内装も安かろう悪かろうといった、いかにもラブホテル、という雰囲気では集客が厳しくなってきているためです。そのため内装には高級感を持たせ、共用スペースもリゾートホテルのようなロケーションに設えているところも。手入れが行き届いた中庭があったり、グランピングができる屋上スペースのあるところも誕生しています。高級志向の顧客も満足できるような施設とサービスに変わってきているんです」安価なビジネスホテルと同価格でも、より満足した滞在ができるというのだから、中高年の利用が増えるのも納得もできる。Photo by John S Lander/LightRocket via Getty Images さまざまな工夫を凝らし、料理や居室など、顧客の満足度が高い設備へと変わっているラブホテル。その一方で、若者の利用が減っているのはなぜだろうか。「一番は金銭面。ラブホ代まで出せない若者カップルも少なくないようです。ただ、友人たちとの飲み会や、アイドルやアニメのキャラクターなど「推し」活の一環としてラブホテルで女子会をする女性たちやママ友たちと飲み会をするなど女性同士の利用も目立っています。また、リモートワークの場として活用するビジネスマンも多いようです」かつては官能的な雰囲気を漂わせる隠微な世界が、今やエンターテインメントの場としてその幅を広げている。カップルはもちろん、友人と一緒にチェックして、ラブホテルで新年会というのも楽しいかもしれない。
そのため若い頃とは異なる、その年齢に応じた楽しみ方を見出しているようだ。
前出の日向さんが解説する。
「中高年、シニア層の場合、年齢的なものもあって性行為はせずにラブホテルを利用することも多いようです。使用後のスタッフが清掃で部屋に入ったときにベッドが乱れておらず、何も使われた形跡がないという話はよく聞きます」
シニアカップルは、その年代ならではの余裕のある過ごし方をしているのも、特徴のようだ。
東京都に住む赤尾由利子さん(仮名・65歳)は3歳年上の彼氏と時々ラブホテルを利用している。
「彼とは元々は飲み友達でした。3年前に行きつけのお店で知り合い、すぐに意気投合。2年前から交際しています」(赤尾さん)
赤尾さんは10年前に夫と離婚したバツイチ、彼も同時期に妻を亡くした「没イチ」だった。現在は一緒に暮らしており、事実婚状態。さまざまな事情から籍を入れることはないと話す。
「夫とはラブホテルを利用したことがなかったので実は興味があって、彼と行くようになり、すっかりハマってしまいました。彼は男性機能があまり……なので行為はせず、広いベッドでただ抱き合っているだけなのですが、幸せです」(前同)
そう言って照れくさそうにはにかむ赤尾さん。
赤尾さんのラブホテルでの過ごし方は、まず広いお風呂に一緒にゆっくりと入る。手狭な自宅の浴槽と違って、足が伸ばせるため彼のお気に入りだという。入浴後は飲み放題のお酒で乾杯するのが至福の時なのだとか。
「部屋には大型テレビが設置されているので、お酒を飲みながら古い映画を一緒に見るのもいいですね。お店で歌うカラオケの練習もそこでしてますよ(笑)。私たちは年齢も年齢なので、疲れたらすぐにベッドで横になれるのがありがたいです(笑)」(前同)
その満足した口ぶりからも、赤尾さんはラブホテルデートを存分に楽しんでいるようだ。
「特にコロナ禍では旅行に行くことができなかったので、誰とも顔を合わせることなく駐車場から部屋に入れるタイプのラブホで『プチ旅行』感覚を楽しんでいる人もいました」(日向さん、以下同)
さらに中高年やシニア層のカップルが注目しているのが、「和室のある部屋」のあるラブホテル。「最近では和室がない住宅も増えています。ですが、畳の上で足をのばしてくつろいだり、ゴロゴロしながらテレビを見たり、ゆっくりと過ごしたい、という気持ちを持っているカップルも多く、人気なんです」ルームサービスは高級レストラン並みさらにいろいろな遊びも知っている中高年以上を納得させるのは、「食」と「ロケーション」。日向さんによると、味には厳しい中高年やシニア層の舌を唸らせる、本格的な食事を提供するラブホテルも登場しているという。最近のルームサービス事情を説明する。「有名シェフが料理を監修しているラブホテルもあります。冷凍技術と電子レンジの進化によって、お店にできる限り近づけた味を提供することができるようになったのです。焼きたてパンを出してくれるホテルや、お粥などのさっぱりとした料理をメニューに入れていることもあります。単価が高くても注文は多く、逆に価格が安いと頼まれないこともあるそうです」Photo by Lisa Romerein GettyImages もちろんホットスナックなど、安さを売りにするメニューもあるが、高級志向を意識したルームサービスが中高年以上にはウケているようだ。「例えば朝ごはん。ラブホテルで安いご飯はなんとなく内容も味も想像ができてしまいます。ただ、それが600円というまあまあいい金額で、中身も比較的充実していたら『頼んでみようかな』と顧客は興味を持つそうです」ほかにもバーベキュープランがあったり、9800円のしゃぶしゃぶセットを提供する施設もある。価格は高くても利用者は多く、そうしたサービスも魅力の一つとされている。リゾートホテル並みの豪華さも進化を続けるのは飲食や設備だけではない。室内も明るくて、ファブリックも高級感のあるものを揃え、まるでリゾートホテルのような豪華なコンセプトで展開するラブホテルも増えている。「ラブホテルは暗くて衛生面でも苦手、という人も多いかもしれませんが、そうした昔のイメージは徐々に払拭されています。ターゲットとしている40代以降の場合、内装も安かろう悪かろうといった、いかにもラブホテル、という雰囲気では集客が厳しくなってきているためです。そのため内装には高級感を持たせ、共用スペースもリゾートホテルのようなロケーションに設えているところも。手入れが行き届いた中庭があったり、グランピングができる屋上スペースのあるところも誕生しています。高級志向の顧客も満足できるような施設とサービスに変わってきているんです」安価なビジネスホテルと同価格でも、より満足した滞在ができるというのだから、中高年の利用が増えるのも納得もできる。Photo by John S Lander/LightRocket via Getty Images さまざまな工夫を凝らし、料理や居室など、顧客の満足度が高い設備へと変わっているラブホテル。その一方で、若者の利用が減っているのはなぜだろうか。「一番は金銭面。ラブホ代まで出せない若者カップルも少なくないようです。ただ、友人たちとの飲み会や、アイドルやアニメのキャラクターなど「推し」活の一環としてラブホテルで女子会をする女性たちやママ友たちと飲み会をするなど女性同士の利用も目立っています。また、リモートワークの場として活用するビジネスマンも多いようです」かつては官能的な雰囲気を漂わせる隠微な世界が、今やエンターテインメントの場としてその幅を広げている。カップルはもちろん、友人と一緒にチェックして、ラブホテルで新年会というのも楽しいかもしれない。
さらに中高年やシニア層のカップルが注目しているのが、「和室のある部屋」のあるラブホテル。
「最近では和室がない住宅も増えています。ですが、畳の上で足をのばしてくつろいだり、ゴロゴロしながらテレビを見たり、ゆっくりと過ごしたい、という気持ちを持っているカップルも多く、人気なんです」
さらにいろいろな遊びも知っている中高年以上を納得させるのは、「食」と「ロケーション」。
日向さんによると、味には厳しい中高年やシニア層の舌を唸らせる、本格的な食事を提供するラブホテルも登場しているという。最近のルームサービス事情を説明する。
「有名シェフが料理を監修しているラブホテルもあります。冷凍技術と電子レンジの進化によって、お店にできる限り近づけた味を提供することができるようになったのです。焼きたてパンを出してくれるホテルや、お粥などのさっぱりとした料理をメニューに入れていることもあります。単価が高くても注文は多く、逆に価格が安いと頼まれないこともあるそうです」
Photo by Lisa Romerein GettyImages
もちろんホットスナックなど、安さを売りにするメニューもあるが、高級志向を意識したルームサービスが中高年以上にはウケているようだ。「例えば朝ごはん。ラブホテルで安いご飯はなんとなく内容も味も想像ができてしまいます。ただ、それが600円というまあまあいい金額で、中身も比較的充実していたら『頼んでみようかな』と顧客は興味を持つそうです」ほかにもバーベキュープランがあったり、9800円のしゃぶしゃぶセットを提供する施設もある。価格は高くても利用者は多く、そうしたサービスも魅力の一つとされている。リゾートホテル並みの豪華さも進化を続けるのは飲食や設備だけではない。室内も明るくて、ファブリックも高級感のあるものを揃え、まるでリゾートホテルのような豪華なコンセプトで展開するラブホテルも増えている。「ラブホテルは暗くて衛生面でも苦手、という人も多いかもしれませんが、そうした昔のイメージは徐々に払拭されています。ターゲットとしている40代以降の場合、内装も安かろう悪かろうといった、いかにもラブホテル、という雰囲気では集客が厳しくなってきているためです。そのため内装には高級感を持たせ、共用スペースもリゾートホテルのようなロケーションに設えているところも。手入れが行き届いた中庭があったり、グランピングができる屋上スペースのあるところも誕生しています。高級志向の顧客も満足できるような施設とサービスに変わってきているんです」安価なビジネスホテルと同価格でも、より満足した滞在ができるというのだから、中高年の利用が増えるのも納得もできる。Photo by John S Lander/LightRocket via Getty Images さまざまな工夫を凝らし、料理や居室など、顧客の満足度が高い設備へと変わっているラブホテル。その一方で、若者の利用が減っているのはなぜだろうか。「一番は金銭面。ラブホ代まで出せない若者カップルも少なくないようです。ただ、友人たちとの飲み会や、アイドルやアニメのキャラクターなど「推し」活の一環としてラブホテルで女子会をする女性たちやママ友たちと飲み会をするなど女性同士の利用も目立っています。また、リモートワークの場として活用するビジネスマンも多いようです」かつては官能的な雰囲気を漂わせる隠微な世界が、今やエンターテインメントの場としてその幅を広げている。カップルはもちろん、友人と一緒にチェックして、ラブホテルで新年会というのも楽しいかもしれない。
もちろんホットスナックなど、安さを売りにするメニューもあるが、高級志向を意識したルームサービスが中高年以上にはウケているようだ。
「例えば朝ごはん。ラブホテルで安いご飯はなんとなく内容も味も想像ができてしまいます。ただ、それが600円というまあまあいい金額で、中身も比較的充実していたら『頼んでみようかな』と顧客は興味を持つそうです」
ほかにもバーベキュープランがあったり、9800円のしゃぶしゃぶセットを提供する施設もある。価格は高くても利用者は多く、そうしたサービスも魅力の一つとされている。
進化を続けるのは飲食や設備だけではない。室内も明るくて、ファブリックも高級感のあるものを揃え、まるでリゾートホテルのような豪華なコンセプトで展開するラブホテルも増えている。
「ラブホテルは暗くて衛生面でも苦手、という人も多いかもしれませんが、そうした昔のイメージは徐々に払拭されています。ターゲットとしている40代以降の場合、内装も安かろう悪かろうといった、いかにもラブホテル、という雰囲気では集客が厳しくなってきているためです。
そのため内装には高級感を持たせ、共用スペースもリゾートホテルのようなロケーションに設えているところも。手入れが行き届いた中庭があったり、グランピングができる屋上スペースのあるところも誕生しています。高級志向の顧客も満足できるような施設とサービスに変わってきているんです」
安価なビジネスホテルと同価格でも、より満足した滞在ができるというのだから、中高年の利用が増えるのも納得もできる。
Photo by John S Lander/LightRocket via Getty Images
さまざまな工夫を凝らし、料理や居室など、顧客の満足度が高い設備へと変わっているラブホテル。その一方で、若者の利用が減っているのはなぜだろうか。「一番は金銭面。ラブホ代まで出せない若者カップルも少なくないようです。ただ、友人たちとの飲み会や、アイドルやアニメのキャラクターなど「推し」活の一環としてラブホテルで女子会をする女性たちやママ友たちと飲み会をするなど女性同士の利用も目立っています。また、リモートワークの場として活用するビジネスマンも多いようです」かつては官能的な雰囲気を漂わせる隠微な世界が、今やエンターテインメントの場としてその幅を広げている。カップルはもちろん、友人と一緒にチェックして、ラブホテルで新年会というのも楽しいかもしれない。
さまざまな工夫を凝らし、料理や居室など、顧客の満足度が高い設備へと変わっているラブホテル。その一方で、若者の利用が減っているのはなぜだろうか。
「一番は金銭面。ラブホ代まで出せない若者カップルも少なくないようです。ただ、友人たちとの飲み会や、アイドルやアニメのキャラクターなど「推し」活の一環としてラブホテルで女子会をする女性たちやママ友たちと飲み会をするなど女性同士の利用も目立っています。また、リモートワークの場として活用するビジネスマンも多いようです」
かつては官能的な雰囲気を漂わせる隠微な世界が、今やエンターテインメントの場としてその幅を広げている。
カップルはもちろん、友人と一緒にチェックして、ラブホテルで新年会というのも楽しいかもしれない。