長野県内の標高約2100メートルの斜面で何があったのか――。
県警大町署に29日、整備されていない雪山を滑る「バックカントリースキー」をしていた数人が雪崩に巻き込まれたとの通報があった。心肺停止の人がいるとの情報もあり、関係者が確認に追われた。
雪崩が起きたのは、長野県小谷(おたり)村の北アルプス白馬乗鞍岳天狗原の東側斜面。近くの栂池(つがいけ)高原スキー場では29日夜、雪崩から逃れたとみられる外国籍のスキーヤー11人が、スキーや救助用のスノーモービルで麓の斜面に次々と下山してきた。
雪が降りしきる中、11人はこわばった表情で、報道陣の問いかけに答えなかった。地元消防によると、右腕を骨折した可能性があるとして、男性1人が救急車で搬送された。
気象庁によると、小谷村を含む長野県北部では当時、なだれ注意報が出されていた。村内に設置されている観測地点では、積雪は29日午後3時時点で103センチに達していた。
長野県内では1998年の長野五輪をきっかけに、上質なパウダースノーを求める外国人スキー客によってバックカントリースキーを楽しむ文化が持ち込まれたとされる。美しい風景と圧雪されていない新雪を満喫できる魅力があるという。ただ、手つかずの自然は危険と隣り合わせで、深雪に埋まったり、立ち木に衝突したりするリスクもある。