「棋士を引退後、共同親権推進運動のスター的な存在に祭り上げられて、どんどん暴走してしまった。彼の危うさに気づきながらも、利用しようとした周囲にも問題があると思います」。こう語るのは、橋本崇載(たかのり)容疑者(39)と同じように、夫婦間トラブルで我が子に会えなくなってしまった男性である。
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【写真】「金髪パーマ」だった棋士時代の橋本容疑者。凛々しいスーツ姿で「共同親権導入」を訴える姿とのギャップがすごい「ガソリン撒いて火つけたってもええんやぞ」《僕の全てをつぶした殺人鬼》《僕を地獄の底に落とした殺人鬼》 昨年11月、橋本容疑者がTwitterで元妻を中傷した文言である。元妻の住所も晒された。1月11日、元妻は滋賀県警に刑事告訴し、同18日、橋本容疑者は名誉毀損の疑いで逮捕された。橋本容疑者は「同じような投稿をしたことがあるが、その日に投稿したかは覚えていない」などと容疑を一部否認しているという。

将棋界からの引退表明した直後、「デイリー新潮」のインタビューに応じた橋本崇戴容疑者(2021年4月) 現在、橋本容疑者のTwitterアカウントは閉鎖されているが、先のツイートの前日も、自殺するなどと自暴自棄な投稿を繰り返していた。《だから養育費も払わないクソ野郎がグチャグチャ言うなと言われたって 払いたくても払いようもない こんな理不尽にもずっと耐え続けて 替えの効かない仕事辞める羽目になって これがわからない世の中なんて無差別殺人起こしてから自殺したる どれだけ苦痛味わったかなんてわからんやろと思う》《互いを中傷しないが裁判所での取り決めだったけどもう関係ないわ 裁判くだすだけの精査はしませんと僕に毅然と言ったよなぁ Kよ(註:裁判官の実名) そんな奴らの言う事守る必要あるか 反社会組織が ガソリン撒いて火つけたってもええんやぞ なめんな》《通報はどうぞ 結構です 警察がナンボのもんじゃの状況 僕はこれから姿を消します もう味方はいりません 相討ちです さっさと僕に死んで欲しい方はどうぞ通報してください では》「ハッシー」の愛称で親しまれていた人気棋士は、なぜここまで変わり果ててしまったのか――。NHKで私が勝つかっこいい姿を息子に見せたかった 橋本容疑者が突如、将棋界からの引退を表明して世間を騒がせたのは、2021年4月のことである。 当時、「デイリー新潮」は橋本容疑者にインタビューをしていた(「橋本崇載」八段インタビュー「なぜ“連れ去り”で将棋を引退したのか、全てお話します」2021年4月12日配信)。彼が引退理由として挙げたのが「連れ去り」であった。 橋本容疑者は2017年に元妻と結婚。19年3月に長男が誕生したが、半年も経たないうちに育児方法などをめぐり家庭不和となり、元妻は息子を連れて実家に帰ってしまった。その後、橋本容疑者は家庭裁判所に「監護者指定」と「子の引き渡し」を求める調停を起こしたが、認められず、親権をめぐって離婚訴訟になっている最中だった。 取材時、橋本容疑者はまくしたてるように、元妻や裁判官、相手方の弁護士を非難し続けた。「私は妻に暴力を振るったことも、浮気をしたこともありません」「裁判官は、別居に至るまでの経緯なんてまったく見てくれない。“シングルマザーはかわいそう”という視点ありきなんです」 妻側への怒りや子供に会えない寂しさから、精神科で「心身疾患と鬱病」と診断されたとも語っていた。「スーパーや公園を通りがかると、幸せそうな親子連れとすれ違います。その度に動悸が激しくなり、吐き気が止まらなくなる。死にたいと思ったことも一度や二度ではありません」「本当はNHKに映る、私が勝つかっこいい姿を息子に見せたかった」“ヒーロー”に祭り上げられた橋本容疑者 そして、「この体験を社会に広め、二度とこのような悲劇が起きない世の中にしたい」、「私自身が政治家になって法律を変えるくらいの覚悟でやっていく所存」と、共同親権推進運動に身を捧げる覚悟を語ったのであった。「私たちの界隈は、橋本さんの登場に沸きました。まさに、彼は私たちが求めていた“ヒーロー”だった」 こう語るのは、冒頭に登場した男性である。彼も「連れ去り」に遭った当事者で、仲間と啓蒙活動を続けている一人だ。男性によれば、活動の”顔”になってもらおうと、さまざまな団体で橋本容疑者を奪い合う展開になったという。「橋本さんは、集会やデモ、勉強会などに引っ張りだこでした。活動を支援してくれている政治家に彼を紹介し、政界進出を促すような動きもあった。同じ境遇の知己を得て、橋本さんも心強かったと思います。毎日のようにTwitterやYouTubeで、自身の経験を語り始めました」 だが、その内容が過激すぎたため、すぐに問題視され始めたという。「妻や相手方の弁護士の個人名を晒して汚い言葉で罵倒したり、見るに耐えない内容だった。缶酎ハイを握りしめて登場し、NGワードを叫び続けるのです。潮が引くように、ほとんどの人たちが距離を置き始めたのですが、一部のラディカルな活動家たちは橋本さんを囲い続けた。将棋が好きな自民党の大物議員に引き合わせるなどしたのですが、自民党内でも『橋本はヤバすぎる』という声が大勢で、結局、相手にされなかった。最後まで親しく付き合っていた活動家ともトラブルになり、孤立していたと聞いています」フラッシュバックする それからしばらく、SNSなどの発信が途切れて消息不明な状態が続いていたが、22年8月から将棋講座などをメインとしたYouTubeチャンネルを再開した。このころまでに妻との離婚が成立していたようだ。 同年10月にはスポーツ専門誌「Number」のインタビューに金髪、サングラス姿で登場。「棋界の異端児」と呼ばれていたころを彷彿とさせる姿だった。記事では、共同親権推進活動についての発言は封印し、将棋講座を始めた経緯や棋士時代の思い出話などを語っていたが、「また将棋番組で橋本さんを見たいという声がある」との問いにはこう答えていた。《うーん……。将棋を辞めた時のことがフラッシュバックするので、なかなかキツいんですよね。僕も泣きながら将棋盤を捨てたので》 今回は昨年12月に続き、二度目の逮捕である。最初の逮捕容疑も今回と同じ名誉毀損で、21年8月、Twitterで元妻や義母の写真とともに《プロ棋士の仕事と息子を奪い取った》と投稿したことが罪に問われた。 理由が何であれ、SNSで個人情報を晒したり、名誉を棄損する行為は許されない。デイリー新潮取材班
《僕の全てをつぶした殺人鬼》《僕を地獄の底に落とした殺人鬼》
昨年11月、橋本容疑者がTwitterで元妻を中傷した文言である。元妻の住所も晒された。1月11日、元妻は滋賀県警に刑事告訴し、同18日、橋本容疑者は名誉毀損の疑いで逮捕された。橋本容疑者は「同じような投稿をしたことがあるが、その日に投稿したかは覚えていない」などと容疑を一部否認しているという。
現在、橋本容疑者のTwitterアカウントは閉鎖されているが、先のツイートの前日も、自殺するなどと自暴自棄な投稿を繰り返していた。
《だから養育費も払わないクソ野郎がグチャグチャ言うなと言われたって 払いたくても払いようもない こんな理不尽にもずっと耐え続けて 替えの効かない仕事辞める羽目になって これがわからない世の中なんて無差別殺人起こしてから自殺したる どれだけ苦痛味わったかなんてわからんやろと思う》
《互いを中傷しないが裁判所での取り決めだったけどもう関係ないわ 裁判くだすだけの精査はしませんと僕に毅然と言ったよなぁ Kよ(註:裁判官の実名) そんな奴らの言う事守る必要あるか 反社会組織が ガソリン撒いて火つけたってもええんやぞ なめんな》
《通報はどうぞ 結構です 警察がナンボのもんじゃの状況 僕はこれから姿を消します もう味方はいりません 相討ちです さっさと僕に死んで欲しい方はどうぞ通報してください では》
「ハッシー」の愛称で親しまれていた人気棋士は、なぜここまで変わり果ててしまったのか――。
橋本容疑者が突如、将棋界からの引退を表明して世間を騒がせたのは、2021年4月のことである。
当時、「デイリー新潮」は橋本容疑者にインタビューをしていた(「橋本崇載」八段インタビュー「なぜ“連れ去り”で将棋を引退したのか、全てお話します」2021年4月12日配信)。彼が引退理由として挙げたのが「連れ去り」であった。
橋本容疑者は2017年に元妻と結婚。19年3月に長男が誕生したが、半年も経たないうちに育児方法などをめぐり家庭不和となり、元妻は息子を連れて実家に帰ってしまった。その後、橋本容疑者は家庭裁判所に「監護者指定」と「子の引き渡し」を求める調停を起こしたが、認められず、親権をめぐって離婚訴訟になっている最中だった。
取材時、橋本容疑者はまくしたてるように、元妻や裁判官、相手方の弁護士を非難し続けた。
「私は妻に暴力を振るったことも、浮気をしたこともありません」
「裁判官は、別居に至るまでの経緯なんてまったく見てくれない。“シングルマザーはかわいそう”という視点ありきなんです」
妻側への怒りや子供に会えない寂しさから、精神科で「心身疾患と鬱病」と診断されたとも語っていた。
「スーパーや公園を通りがかると、幸せそうな親子連れとすれ違います。その度に動悸が激しくなり、吐き気が止まらなくなる。死にたいと思ったことも一度や二度ではありません」
「本当はNHKに映る、私が勝つかっこいい姿を息子に見せたかった」
そして、「この体験を社会に広め、二度とこのような悲劇が起きない世の中にしたい」、「私自身が政治家になって法律を変えるくらいの覚悟でやっていく所存」と、共同親権推進運動に身を捧げる覚悟を語ったのであった。
「私たちの界隈は、橋本さんの登場に沸きました。まさに、彼は私たちが求めていた“ヒーロー”だった」
こう語るのは、冒頭に登場した男性である。彼も「連れ去り」に遭った当事者で、仲間と啓蒙活動を続けている一人だ。男性によれば、活動の”顔”になってもらおうと、さまざまな団体で橋本容疑者を奪い合う展開になったという。
「橋本さんは、集会やデモ、勉強会などに引っ張りだこでした。活動を支援してくれている政治家に彼を紹介し、政界進出を促すような動きもあった。同じ境遇の知己を得て、橋本さんも心強かったと思います。毎日のようにTwitterやYouTubeで、自身の経験を語り始めました」
だが、その内容が過激すぎたため、すぐに問題視され始めたという。
「妻や相手方の弁護士の個人名を晒して汚い言葉で罵倒したり、見るに耐えない内容だった。缶酎ハイを握りしめて登場し、NGワードを叫び続けるのです。潮が引くように、ほとんどの人たちが距離を置き始めたのですが、一部のラディカルな活動家たちは橋本さんを囲い続けた。将棋が好きな自民党の大物議員に引き合わせるなどしたのですが、自民党内でも『橋本はヤバすぎる』という声が大勢で、結局、相手にされなかった。最後まで親しく付き合っていた活動家ともトラブルになり、孤立していたと聞いています」
それからしばらく、SNSなどの発信が途切れて消息不明な状態が続いていたが、22年8月から将棋講座などをメインとしたYouTubeチャンネルを再開した。このころまでに妻との離婚が成立していたようだ。
同年10月にはスポーツ専門誌「Number」のインタビューに金髪、サングラス姿で登場。「棋界の異端児」と呼ばれていたころを彷彿とさせる姿だった。記事では、共同親権推進活動についての発言は封印し、将棋講座を始めた経緯や棋士時代の思い出話などを語っていたが、「また将棋番組で橋本さんを見たいという声がある」との問いにはこう答えていた。
《うーん……。将棋を辞めた時のことがフラッシュバックするので、なかなかキツいんですよね。僕も泣きながら将棋盤を捨てたので》
今回は昨年12月に続き、二度目の逮捕である。最初の逮捕容疑も今回と同じ名誉毀損で、21年8月、Twitterで元妻や義母の写真とともに《プロ棋士の仕事と息子を奪い取った》と投稿したことが罪に問われた。
理由が何であれ、SNSで個人情報を晒したり、名誉を棄損する行為は許されない。
デイリー新潮取材班