東京の首都高速環状線を、法定速度の3倍近くで暴走した疑いで、ルーレット族の男ら4人が逮捕された。「気晴らしのつもりで走った」と供述しているが、今年に入り、ルーレット族による”危険走行”で、死者まで出る事態となっている。
小野田秀太容疑者(21)と石田悠介容疑者(23)、岡田勇也容疑者(22)ら4人は、今年9月12日午前2時すぎ、港区の首都高環状線で、法定速度の3倍近い、時速およそ150キロで走行するなど、危険な走行を繰り返した疑いがもたれている。
4人の逮捕容疑は、道路交通法の「共同危険行為の禁止」だった。なお、この「共同危険行為等の禁止」は、暴走族による蛇行運転、信号無視などに対して、頻繁に適用される規定だ。
この日、容疑者らは、首都高の辰巳第2パーキングエリアに集合。午前2時ごろから、”レース”を開始したとみられている。ルーレット族は、その名の通り、首都高環状線を、ルーレットのように、グルグル周回しながら、スピードを競うドライバーたちのことだ。
逮捕された4人も、当時、首都高環状線を、グルグルと数周、走っていたという。そして、午前2時すぎ、港区の現場付近で、時速およそ150キロで走行。他の車の合間を縫うように走り、むちゃくちゃな進路変更や追い越しを繰り返したとのこと。
当時、現場付近を走っていたトラック運転手は、その時の様子を、「初めて見るぐらいに早かった。巻き込まれると大事故になると思った」と話しているという。その運転手の証言通り、直後に、大事故が起きてしまった。
港区の隣の千代田区・霞ヶ関トンネル付近で、小野田容疑者の車が、石田容疑者の車に衝突。その後、一般の車も巻き込まれて、合わせて4台の多重事故に発展したのだった。この事故で石田容疑者が負傷した。事故のキッカケを作った小野田容疑者は、救護措置をとることなく、その場から逃走。
警視庁高速隊は、現場から逃げた小野田容疑者について、今年10月、「当て逃げ(正式にはひき逃げ)」と「過失運転致傷」の疑いで逮捕した。現場は緩やかなカーブだが、スピードの出し過ぎで衝突したとみられている。
その後の捜査の過程で、小野田容疑者が、当時、ルーレット族仲間の石田容疑者らと”レース”をしていて、事故を起こしたことがことが判明。高速隊は、「共同危険行為等の禁止」を適用し、4人の逮捕に踏み切った。4人は、お互い面識のある者もいれば、初対面の者もいたという。
当て逃げ事件について小野田容疑者は「私はルーレット族で、事故後、車はすぐに廃車にした」と供述していた。廃車とは、まるで証拠隠滅行為にも見える。そして、今回の逮捕容疑について4人は、「気晴らしのつもりで走った。レースのようなことをしてしまった」と容疑を認めている。
高速隊によると、ルーレット族が絡む交通事故は、今年だけで12件発生。このうち1件は死亡事故だった。当事者はいずれも検挙されている。「気晴らし」の暴走行為により、死者まで出ているとは。警視庁には、ルーレット族に対する、さらなる取り締まりの強化が求められている。