立憲民主党の枝野幸男前代表が、消費税率引き下げを昨年の衆院選で公約したのは「間違いだった」と発言し、党内に波紋を広げている。
現実的な判断との評価がある一方、自身の代表時代に打ち出した目玉公約を否定するのは無責任との批判も強く、将来の再起戦略に影響する可能性がある。
「衆院選で後悔しているのは、時限的とはいえ消費税減税を言った(ことだ)。政治的に間違いだったと強く反省している」。枝野氏は先月28日、インターネットに投稿した動画でこう明言。その上で「二度と減税は言わない」と強調した。
枝野氏は昨年6月の衆院本会議で「税率5%への時限的な消費税減税を目指す」と表明。同10月の衆院選で公約に盛り込み、共産党などとの選挙協力を進めた。立民の現執行部もこれを踏襲。今年6月に消費税減税法案を他の野党と共同提出し、直後の参院選でアピールした。
枝野氏の発言は、党内論議を踏まえたものではない。このため、泉健太代表は4日の記者会見で「私たちが訴えを変えたことはない」と釈明。長妻昭政調会長も「あくまで個人的な見解だ」と強調した。
党内には「減税批判が首相退陣につながった英国の例を考えれば理解できる」(若手)と擁護する声もある。ただ、ベテラン議員らは「あり得ない」「狙いが分からない」と反発。立民の「創業者」である枝野氏は、将来の代表返り咲きを狙っているとされるが、リーダーとしての手腕に疑問符が付けば、その戦略にも黄信号がともりかねない。