札幌にある納骨堂の運営者が利用者に対して突如閉鎖を発表し、トラブルになっている問題。
ずさんな実態が明らかになる中で、納骨堂を運営する代表が行方不明に。建物は閉鎖され、利用者は遺骨を引き取れない事態になっています。
10月27日、札幌市内にある納骨堂の前に集まっていたのは、遺骨を納めている利用者。
納骨堂の入り口に張られていた紙には、「建物閉鎖のお知らせ」という赤い文字。そこには、「白鳳寺の代表は、同年10月24日夜、本件建物を施錠して行方不明になりました。携帯電話も不通状態です」という文面が…
納骨堂の代表が、建物に鍵をかけたまま、行方がわからなくなったというのです。一体、何が起こっているのでしょうか?
突然の納骨堂閉鎖トラブルを追跡しました。
ここは、札幌市東区の宗教法人「白鳳寺」が運営する納骨堂「御霊堂元町」です。
取材した家族は、6年前に遺骨を預け、約74万円と年間管理費の1万2000円を支払っていました。ところが、9月に突然行われた説明会で、納骨堂から「遺骨を引き取ってもらいたい」と伝えられたのです。
やり場のない気持ちを抱える家族。他にも納骨堂には遺骨を引き取る人の姿が。
――新たな納骨堂を探している?
遺骨を引き取りに来た利用者:もう一銭も戻って来ないんだったら、ちょっともうどうしようもできないですよね。やっぱり納得がいかないというか、お金がないっていうのも納得いかないですね
遺骨を引き取りに来た利用者:こんなもん詐欺、詐欺、詐欺
――今日取りに来た理由は?
遺骨を引き取りに来た利用者:いやだってかわいそうじゃん。だってこんなの。いったん自宅で預かって、今後はこっちで考えていくしかないな
この納骨堂は、札幌駅からすぐ近くの場所にあり、都市型の納骨堂として10年前に開業。宗派を問わず、後継者がいなくてもお寺が代わりに供養を続ける「永代供養」をうたい、納骨壇を販売してきました。
それがなぜ、突然の閉鎖になってしまったのでしょうか?
めざまし8は10月22日、運営する「白鳳寺」の代表に話を聞いていました。
納骨堂を運営する宗教法人の代表:これも私の至らぬというか、考えの甘さ。人を頼ってやってきた結果がみなさんに対して前代未聞のようなことに繋がったというふうに思います。本当におわびしかございません。大変申し訳ありません
「白鳳寺」によると、「御霊堂元町」は専門学校の建物を改装して作られた納骨堂。しかし、開業当初から赤字続きで、販売予定の1500基の納骨壇のうち10年間で約半数、773基の販売にとどまっていたといいます。
「白鳳寺」の代表は「開業から10年で半分しか埋まっていない。一度も利益が出たことはない。財源がなく返金できない」というのです。
しかし、京都にある「正覚寺」の住職でジャーナリストの鵜飼秀徳さんに聞くと「自動搬送式の納骨堂で4~5割埋まっていれば利益は出る。設置費や管理費がもっと安いロッカー式なら半分埋まっていれば利益が出ているのでは」といいます。
借入金が返済できなくなり、債権者の札幌市内の葬儀社が2021年11月、納骨堂の土地と建物を差し押さえ強制競売へ。
2022年7月に札幌の不動産会社が落札し、退去が決まったというのです。
元々利用者には、札幌地裁による納骨堂の引き渡しの強制執行は10月24日と伝えられていました。しかし21日、11月21日まで延期したことが明らかになったのです。
札幌市は、白鳳寺に対し、8月17日に、口頭で納骨壇の販売の停止を求め、9月にも文書で通知していました。しかし、競売後も販売を続け、7件の契約をしていたといいます。
めざまし8は、2022年7月に納骨堂が競売にかけられているにも関わらず、そのことを知らずに母親の遺骨を納めた男性を取材。使用権利や永代供養費などで200万円以上支払ったばかりだったといいます。
7月に契約した利用者:普通はお寺ってそもそもそういうものじゃないと思っているから。ちゃんとそのお寺の実態とか、それを調べなかった自分が甘かったというところですね
白鳳寺の代表はめざまし8の取材に対し、こう断言していました。
納骨堂を運営する宗教法人の代表:私が今すべきことは、逃げることではなくて、一つでも1%でもチャンスがあるのであれば、そういう方たちとここを継承していただくという話を進めるのが一番のやるべきことかなと考えております。宗教法人・白鳳寺が今まで檀家さんがこれからも安心して引き継いでいただける方々に相談をして、継承していただきたいというお願いをしております
ところが、ここに来て姿を消した代表。今後、納骨堂はどうなってしまうのでしょうか。
めざまし8は、土地や建物を競売で落札した不動産会社を独自取材。すると…
土地や建物を競売で落札した不動産会社:問題となるのが行政上の手続きで、当社として承継を正式に申し出たところ、札幌市の方から株式会社には納骨堂の運営は許諾できないというふうに拒絶されたと。札幌市に行っても、北海道に行っても、頑なに拒否されたという状態です
不動産会社によると、運営の意思はあったが、市から、「宗教法人ではない株式会社には運営の許諾を出せない」との回答があったというのです。納骨堂の鍵は代表しか持っていないということで、不動産会社もどうにもできない状況が続いています。
(「めざまし8」10月28日放送より)