2022年1月、奈良西警察署で行われた、取り調べの音声。
取調官「お前が一番、お前しかおらんねん、もう。状況、前、行動、心理、やっぱりおかしいよ」
拳銃の実弾がなくなったとして取り調べを受けているのは、20代の男性巡査長。
“お前しかいない”と、自供を迫られている。
男性巡査長は2022年1月、勤務中に実弾の点検をした。
その後、上司も点検し、問題はなかったという。
ところが、巡査長が帰宅したあとに、実弾5発の紛失が発覚。
それから2日後、突然、巡査長への取り調べが始まった。
取調官「全部出そろっても、やっぱり要は、お前から外れんのや、ほんまアウトやねん。はっきり言うたらな、もうお前やねん」
最初から、巡査長が紛失したと決めつける言い方。
取調官「そりゃ人間、みんなウソつくねんで。ウソつくねんけど、性格というか、そういう人間というか、ほんまやったらグレーというか、病気に近い回答の仕方する」
さらに取調官は、巡査長に対して、人格を否定するような発言を繰り返していたという。
取り調べは、朝から深夜まで10日間にわたって続き、自白を強要され続けたという。
ところが、そのあと、紛失したとされる実弾は、別の担当者による配分ミスで、そもそも紛失していないことがわかった。
20代の巡査長は、うつ病を発症し休職。
巡査長は、違法な取り調べを受け、精神的な苦痛を受けたとして、奈良県に、およそ710万円の損害賠償を求める裁判を起こした。
奈良県警は、「結果的に迷惑をかけた」として、巡査長に謝罪したものの、違法な取り調べではなかったと主張。
裁判は、4日から始まる。