警視庁は9月29日、絶滅危惧種のコツメカワウソを虐待したとして、動物愛護法違反容疑で、東京都渋谷区の自称会社員・A子(38)を書類送検した。
【画像】A子によるカワウソ虐待とされる画像 警視庁担当記者の話。「容疑は20年5月12日、自宅マンションで2匹のカワウソ(オス10歳、メス3歳)を、紙製の棒で叩いたり追い回したりしたというもの。飼い主のA子は『メスが懐かず、エサをやる時に噛まれるのでやった。しつけで虐待ではない』などと供述しているようです」

事件発覚のきっかけは、東京・池袋のカワウソカフェ(カワウソと触れ合える店)のポストに投函されたUSBメモリーに入っていた動画だった。そこに映し出されていたのは、女がカワウソを棒で叩いたりする様子。店側は今年春、情報提供を求めるため動画をネット上で公開するとともに、警察に通報したという。「動画は一気に拡散され、ネット上で炎上した。通報を受けた署が8月にA子の自宅マンションの家宅捜索に踏み切り、2匹を保護した。2匹に怪我はありませんでした」(同前) 約15年前からカワウソを飼育していたというA子。インスタグラムにはカワウソにエサをやったりする様子や成長記録などをたびたび投稿し、フォロワー数は22万人を超える。他方で、カワウソの写真をふんだんに使った飼育本を執筆したり、自らのカワウソ飼育のためにクラウドファンディングも実施。アウディやフェラーリを乗り回す派手な生活ぶりもツイッター上で明かしていた。カワウソが怯えているように見える「ただ、SNSの写真からはカワウソが怯えているように見えるなど、かねてから『まともに飼育できていないのではないか』とする噂が絶えませんでした。そうした中、炎上したのが問題の動画です。A子はSNS上で“流出犯”を決めつけ、虐待ではないと釈明したものの、今回の送検となりました」(同前) その背景には、カワウソを巡る国際的な問題もある。そもそも人類が長い年月をかけて手懐けてきた犬や猫などの愛玩動物と違い、カワウソは野生動物。アゴの力は大型犬並みで、知能は高いものの気性は荒く、飼育の難易度は高い。飼育目的の輸入も19年から禁じられている。絶滅危惧種のコツメカワウソ iStock(虐待されたカワウソではありません) 捜査関係者が指摘する。「国際的な動物保護団体がコツメカワウソの東南アジアからの密輸に厳しい目を向けており、主要輸出先の日本は批判の対象になってきた。密輸業者だけでなく、飼い主の取り締まりも強化することで、国内での密輸や密飼育に警鐘を鳴らせるほか、国外へのアピールもできる。今後こうした流れは加速していきそうです」 虐待されていたカワウソは一時的に施設に保護されているが、最終的な行き先は決まっていないという。(「週刊文春」編集部/週刊文春 2022年10月13日号)
警視庁担当記者の話。
「容疑は20年5月12日、自宅マンションで2匹のカワウソ(オス10歳、メス3歳)を、紙製の棒で叩いたり追い回したりしたというもの。飼い主のA子は『メスが懐かず、エサをやる時に噛まれるのでやった。しつけで虐待ではない』などと供述しているようです」
事件発覚のきっかけは、東京・池袋のカワウソカフェ(カワウソと触れ合える店)のポストに投函されたUSBメモリーに入っていた動画だった。そこに映し出されていたのは、女がカワウソを棒で叩いたりする様子。店側は今年春、情報提供を求めるため動画をネット上で公開するとともに、警察に通報したという。「動画は一気に拡散され、ネット上で炎上した。通報を受けた署が8月にA子の自宅マンションの家宅捜索に踏み切り、2匹を保護した。2匹に怪我はありませんでした」(同前) 約15年前からカワウソを飼育していたというA子。インスタグラムにはカワウソにエサをやったりする様子や成長記録などをたびたび投稿し、フォロワー数は22万人を超える。他方で、カワウソの写真をふんだんに使った飼育本を執筆したり、自らのカワウソ飼育のためにクラウドファンディングも実施。アウディやフェラーリを乗り回す派手な生活ぶりもツイッター上で明かしていた。カワウソが怯えているように見える「ただ、SNSの写真からはカワウソが怯えているように見えるなど、かねてから『まともに飼育できていないのではないか』とする噂が絶えませんでした。そうした中、炎上したのが問題の動画です。A子はSNS上で“流出犯”を決めつけ、虐待ではないと釈明したものの、今回の送検となりました」(同前) その背景には、カワウソを巡る国際的な問題もある。そもそも人類が長い年月をかけて手懐けてきた犬や猫などの愛玩動物と違い、カワウソは野生動物。アゴの力は大型犬並みで、知能は高いものの気性は荒く、飼育の難易度は高い。飼育目的の輸入も19年から禁じられている。絶滅危惧種のコツメカワウソ iStock(虐待されたカワウソではありません) 捜査関係者が指摘する。「国際的な動物保護団体がコツメカワウソの東南アジアからの密輸に厳しい目を向けており、主要輸出先の日本は批判の対象になってきた。密輸業者だけでなく、飼い主の取り締まりも強化することで、国内での密輸や密飼育に警鐘を鳴らせるほか、国外へのアピールもできる。今後こうした流れは加速していきそうです」 虐待されていたカワウソは一時的に施設に保護されているが、最終的な行き先は決まっていないという。(「週刊文春」編集部/週刊文春 2022年10月13日号)
事件発覚のきっかけは、東京・池袋のカワウソカフェ(カワウソと触れ合える店)のポストに投函されたUSBメモリーに入っていた動画だった。そこに映し出されていたのは、女がカワウソを棒で叩いたりする様子。店側は今年春、情報提供を求めるため動画をネット上で公開するとともに、警察に通報したという。
「動画は一気に拡散され、ネット上で炎上した。通報を受けた署が8月にA子の自宅マンションの家宅捜索に踏み切り、2匹を保護した。2匹に怪我はありませんでした」(同前)
約15年前からカワウソを飼育していたというA子。インスタグラムにはカワウソにエサをやったりする様子や成長記録などをたびたび投稿し、フォロワー数は22万人を超える。他方で、カワウソの写真をふんだんに使った飼育本を執筆したり、自らのカワウソ飼育のためにクラウドファンディングも実施。アウディやフェラーリを乗り回す派手な生活ぶりもツイッター上で明かしていた。
「ただ、SNSの写真からはカワウソが怯えているように見えるなど、かねてから『まともに飼育できていないのではないか』とする噂が絶えませんでした。そうした中、炎上したのが問題の動画です。A子はSNS上で“流出犯”を決めつけ、虐待ではないと釈明したものの、今回の送検となりました」(同前)
その背景には、カワウソを巡る国際的な問題もある。そもそも人類が長い年月をかけて手懐けてきた犬や猫などの愛玩動物と違い、カワウソは野生動物。アゴの力は大型犬並みで、知能は高いものの気性は荒く、飼育の難易度は高い。飼育目的の輸入も19年から禁じられている。
絶滅危惧種のコツメカワウソ iStock(虐待されたカワウソではありません)
捜査関係者が指摘する。
「国際的な動物保護団体がコツメカワウソの東南アジアからの密輸に厳しい目を向けており、主要輸出先の日本は批判の対象になってきた。密輸業者だけでなく、飼い主の取り締まりも強化することで、国内での密輸や密飼育に警鐘を鳴らせるほか、国外へのアピールもできる。今後こうした流れは加速していきそうです」
虐待されていたカワウソは一時的に施設に保護されているが、最終的な行き先は決まっていないという。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2022年10月13日号)