参院選の立候補者に金銭を要求したとして日本維新の会の吉田豊史衆院議員(52)が29日、党から離党勧告を受け、富山市内で記者会見を開いた。
金銭を求めたことは認めた上で「選挙体制を確認するためで、着服の意図は100%ない」と説明し、議員辞職も否定した。処分を不服として、党に異議申し立てを行う意向も示した。
この日、藤田文武・党幹事長が記者会見を開き、処分を公表した。党によると、県内組織「富山維新の会」代表の吉田氏は、参院選の比例選に出馬した上野蛍・元富山市議に対して、政治資金収支報告書に記載しない形で1000万円を要求した。上野氏は拒否し、実際には支払われなかった。処分は同日付。
藤田氏によると、今月初旬、党に情報提供があり、上野、吉田両氏への聞き取りを実施。上野氏から提出された録音データも参考にした。党規約上、離党勧告は除名の次に重い。
党によると、公職選挙法や民法に違反する可能性は低いが「上の者が下の者にプレッシャーをかけたり、金銭を要求したりすることはあってはならず、政治家としてのモラルに反している」(藤田幹事長)として、厳しい処分を決めた。
吉田氏は、1000万円は出馬への覚悟と準備を示すために必要な資金だったとした。「『(お金を)持っています』という確認の言葉がほしかっただけだ」とした。上野氏に対しては「パワハラになってしまったと思う」と謝罪する意思を示した。
維新は参院選の富山選挙区で新人の京谷公友氏を擁立したが、京谷氏には金銭を要求していない。この件については「上野さんとは付き合いが短く、候補としてふさわしいか確認する必要があった」と説明した。
維新の党規約では、処分から7日以内であれば、異議申し立てができる。離党勧告処分が確定しても離党しない場合は、処分から10日後に除名される。
吉田氏は「不用意に『お金を持ってきて』と言ったことは反省点で、調子に乗っていた部分があった」と釈明。一方で党の決定には「経緯は色々おかしなところがある」と不信感を示し、弁護士を選任した上で「徹底的に抗弁して名誉回復したい」と強調した。
弁護士は「私が維新に対してどれくらいの思いでやってきたかわかっている」として大阪府知事の吉村洋文・党共同代表に依頼する意向も示した。
吉田氏は県議を経て、2014年の衆院選で初当選。昨年の衆院選でも富山1区で落選したが、比例で復活当選を果たしていた。