先の大戦中に飛行場建設に従事した朝鮮人労働者の子孫らが暮らす京都府宇治市の「ウトロ地区」への放火事件で、有本匠吾(しょうご)被告(23)に懲役4年の実刑判決が言い渡された30日、ウトロ地区の住民らが記者会見し、判決を一定評価するとともに「差別」の文言が入らなかったことに対して落胆の思いを語った。
「社会が一歩一歩進んでいると感じる判決であったが、差別という言葉を使わなかったのは残念でならない」。ウトロ平和祈念館副館長の金秀煥(キムスファン)さんは険しい表情で不満をあらわにした。
住民らは犯行がヘイトクライム(憎悪犯罪)だと訴えてきたが、「差別」という言葉は判決理由に含まれなかった。国内ではヘイトクライムに関する法規制はなく、弁護団は、求刑通りの懲役刑としたことに「裁判長が犯行を重く見ているということ」と説明。その上で「差別という言葉を意図的に避けているとしか言いようがなく、残念だ」と指摘した。
また、「今後同様の事件が起きないという保証はない。ヘイトクライムにどのように法的に対応するのか議論していかなければならない」と述べた。