警視庁竹の塚署は5日までに、タクシーの男性運転手(68)に暴行を加え、料金を支払わずに逃走したとして、強盗致傷の疑いで、東京都足立区の職業不詳後藤一馬容疑者(31)を逮捕した。

署によると、警察犬のアリスト号(ジャーマンシェパード、オス6歳)が事件発生現場から、容疑者のにおいを追跡し、後藤容疑者の自宅近辺にたどり着き、遺留物を発見。このお手柄がきっかけで、捜査員が防犯カメラ画像などから割り出した。遺留物を発見したのは事件発生場所から70~100メートル地点だった。

逮捕容疑は3月20日午前3時25分ごろ、足立区内の路上でタクシーから降車する際、料金6970円を支払わず、運転手を殴ったり、蹴ったりして逃走した疑い。運転手は顔面や足に全治1週間の打撲を負った。運転手によると、後藤容疑者は酒を飲んで泥酔状態だったという。後藤容疑者は「よく覚えていないが、間違いありません」と容疑を認めている。署は「アリスト号が遺留物を発見したことが、犯人逮捕の大きな要因。感謝しています」と話している。

アリスト号は参加した捜査で鑑識課長賞3件、警察署長賞4件の表彰を受けた“スゴ腕”だ。警視庁広報課ツイッターによると、鳥取県鳥取市生まれ。性格は甘えん坊だが、仕事では人のにおいを覚え捜索することが得意だという。一方で「訓練後、待ちに待った鶏のささみをおいしそうに食べます。雷の音が苦手」とかわいらしい一面も明かされている。