〈知人の資産家が余生の財産の使い道の1つとして、子孫を残したいとのことで、子供は欲しいけど、旦那さんは当面必要ないという女性を探してらっしゃいます〉
【画像】「ある資産家の精子で出産したら報酬は子供人数×1億円」ナゾの人物の正体は総資産3000億円を超える経済界のあの大物だった
この文言が、富裕層の男性とのギャラ飲み目的の港区女子らのLINEグループで出回り始めたのは昨年末。送っているのはラウンジやキャバクラのキャストを集めるスカウトたちだ。港区女子らが“出産案件”と呼ぶこの募集には、こうした文言が続く。
港区女子らにLINEで送られてきた“出産案件”の募集文面(前半)
〈ざっくり1億円が出産後に女性に渡され、仲介手数料として僕たちに500万円をお渡しいただく形です。子ども1人の出産につき9500万円をもらえます。人数増えればもちろん報酬も増えます〉
ある資産家から精子提供を受けて子どもを出産すると、およそ1億円を現金でもらえるというのだ。にわかには信じがたい都市伝説のような話だが、ある関係者は、この案件についてこう語る。
「出産案件に興味がある女の子を集めるようにスカウトに指示したのは、資産家の“アテンダー”の男。資産家は生まれた子どもの認知はせず、出産時の1億円を除いては基本的に養育費も支払わないし、死後の相続も発生しないという“払いきり”が条件です。 育児についても女性本人が育てても、他の人に任せても、そこは問われないようです。ただ、子どもが優秀に育っている場合は学費を支援したり、大人になった後にその“資産家”のグループ会社で役員に抜擢されたりすることもあるようで、スカウトは女の子たちにそう説明しています。 もちろん怪しい案件ですけど、子供を産んだ子がいたら支払われる報酬の5%がスカウトの取り分。女の子も9500万円をもらえるし、デカい案件なんですよね」 精子提供は様々な倫理的な問題を孕むため、いま諸外国で法整備が進んでいる。今年4月には、オランダの裁判所が精子提供を通じて550人以上の子どもの父親となったとされる男性に対し、これ以上の精子提供を禁じる命令を出したことが大きく報道された。 しかし日本においては、精子提供についての法律上の規制はない。そのためこうした諸問題を回避するために、日本産科婦人科学会の会告「提供精子を用いた人工授精に関する見解」 が実質的なガイドラインになっている。 第三者の提供精子を使う体外受精の対象を「法的に婚姻している夫婦」に限っており、提供者は原則匿名で、同一提供者からの出生児は10人以内などと規定。「精子提供は営利目的で行われるべきものではなく、営利目的での精子提供の斡旋もしくは関与または類似行為をしてはならない」としているのだ。 関係者や出産案件募集の内容が真実ならば、出産案件はガイドラインを大きく逸脱している可能性が高い。しかしいまや、出産案件LINEは港区女子のLINEグループ外にも広がりはじめているという。「出産となると女性にとってハードルが高いのもあってか、スカウトも手当たり次第案件を送っている感じはありましたね。最初はギャラ飲みのLINEグループやキャバ嬢とかでしたが、最終的にはTwitterでも拡散されていました」(同前)繁華街のカフェで“ナゾの男”と面接 都内に住むA子さん(30代)も出産案件のLINEを受け取った一人。目鼻立ちがはっきりとした色白の女性だ。A子さんは「ほんの好奇心で」スカウトに連絡を取ると、資産家と女性をつなげる役割だという男性と会うことになったという。 スカウトから指示された場所は繁華街のカフェチェーン店。そこで面接をすることになった。「男性はオオタと名乗りました。名刺などをもらったわけでもないので、本名や何者なのかはわかりません。見た感じは40、50代の、ふわっとした茶髪が印象的な物腰柔らかい男性でした。 まず年齢や職業、あとは結婚歴や子供の有無についていくつか質問を受けました。オオタさんは冗談も交えながら、フレンドリーな雰囲気で面接は進みました」 A子さんは「あまりにも怪しげな話だったので、面接の様子は録音していた」。その録音データでは以下のようなやりとりが記録されていた。オオタ氏がA子さんに説明した“出産案件”の“具体的手順”オオタ 「やりますか?」A子 「やってみたいです」オオタ 「そんな簡単に決めちゃっていいんですか?」A子 「簡単っていうか昔からそういう、シングルマザーが夢だったわけじゃないんですけどどんどん歳をとって葛藤があったり、結婚とか今すぐ無理なら将来パートナーだけでいいんだけど、やっぱり子供は欲しい。若いうちに子供を産みたかった」オオタ 「20代とか?」A子 「そうです」 面接が始まって約10分後、話は出産案件の具体的な手順に移っていく。オオタ 「仕組みは大体知ってますか?」A子 「軽めに聞きました」オオタ 「(中略)教育方針には一切口を出さないけど、DNAが成人できるまでのお金は出すから、あとはそれでやってくださいということです。もし最初からシングルマザーを選択したいのであれば、それでお互いがよければ自由にできるし、生活費だけあればいいじゃないですか?」A子 「まあそうですね」オオタ 「子供作る時も最初から体外受精。病院行って顕微授精して……」A子 「体外受精ってどうやってやるんですか? やったことがなくて」オオタ 「体外受精っていうのは病院にまず行って、たとえば新宿だったらY(※有名クリニック)みたいな大きいところ」 オオタ氏はクリニックでの体外受精の手順についても説明しはじめた。オオタ 「基本ここ(クリニック)にきたということは、不妊だからきたんですね、というテイです。だから不妊検査をします。これは誰がきてもします。その結果、あなたは大丈夫ですねってなると思うんですよ。なったら、じゃあ『私はすぐ子供が欲しいし年齢も年齢だし顕微授精やりたいんですよ、作りたいんですよ』と言って、1カ月後くらいにまた病院に行き注射を打ちにいくと、卵が育ってるんです」A子 「注射はどこに打つんですか? 自分で?」オオタ 「自分でやってもいいしやってもらってもいいし、で、注射を打ってるうちに卵が育ってきます。そしたら、そのちょうど3日後に育つね、とわかった時に、じゃあまた3日後に(クリニックに)きてねと言います。その時に、卵巣から針を抜いて取ります」 一般的には夫婦でクリニックを受診し、体外受精などの不妊治療に進む。ということは、夫の“替え玉”を用意するのか――。疑問が生じるが、オオタ氏はそのあたりには触れずに、こう話し続けた。オオタ 「お金は事前に渡しますので病院に行ったりして、妊娠して、その後、生活や仕事ができないってなってきたら、そしたら先に妊娠して3カ月とかになったら、そこで先に100万円もらって、その後5カ月~7カ月でお腹も大きくなり出して色々準備もしなければいけない期間になったら、そこでまた先にお金をもらって、そして最後生まれてきたら。現金で」A子 「へー。税金がかからないから?」オオタ 「そうです」 A子さんが語る。「めちゃくちゃ不思議な案件ですよね。受けるかどうかは正直五分五分、くらいの気持ちでした。ただ興味はあったので、二次面接も受けることにしたんです」 約1カ月後に行われた二次面接に現れたのもオオタ氏だった。「兄弟の保険証」で“既婚者偽装”し体外受精「二次面接では男性の兄弟がいるかどうかについて質問を受けました。なんでも、女性が結婚していて不妊に悩んでいる、という体裁をとらないと体外受精できないそうなんです。だから、苗字が同じ兄弟の保険証を借りてこなければいけない、という話でした。 でも、普通に考えて私が“夫”の保険証を持っていくだけで体外受精ができるものなんでしょうか? オオタさんが夫の代わりをするのかも?とも思いましたが、そのあたりはなんとなく確認しづらくて聞けませんでした。 “報酬”は現金だし、兄弟の保険証で結婚しているフリをしないといけないしで、さすがに危ない橋すぎるなと。それに最後まで相手の名前は明かしてくれませんでしたし、本当に1億円も支払われるなんて到底信じられなくて。結局、この“出産案件”は断ることにしました」依頼者は総資産3000億円を超える“経済界のあの大物” 異次元の報酬を得られるとはいえ、誰の子を出産するのかすら秘された“案件”。富裕層との接触が多い港区女子といえども、訝しむ女性は当然多い。そうした状況を受け、一部のスカウトが資産家の正体をLINEのやり取りの中でほのめかしはじめた。 出産案件の誘いを受けた、別の港区女子はこう証言する。「実はこの依頼者について、港区では“ある有名企業家”の名前があがっていたんです。そこでスカウトに依頼者は誰なのかを改めて問うと、ある男性の写真を送ってきて、私の既読がついた途端にすぐに『送信取消』して消しました。その写真にうつっていたのは、港区で噂されていた“ある有名企業家”でした。まさか本当にこんな大物が依頼者だったなんて……」 その「大物」の名前は東証プライム市場に上場するIT企業「株式会社光通信」の創業者で現会長の重田康光氏(58)。経済誌「フォーブス」が今年5月30日に発表した2023年の日本長者番付で12位にランクインするなど、総資産3000億円を超える。 しかし、果たして本当に重田氏が出産案件の依頼者なのだろうか。取材を進めると、記者らは重田氏本人の姿をある場所で目撃することになったのだ――。「エリートだけが先祖になれるんだよね」港区女子らに“1億円出産依頼”する総資産3000億円超の「光通信」会長・重田康光氏(58)が持つ“ブッ飛んだ思想”とは《本人に直撃》 へ続く(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
「出産案件に興味がある女の子を集めるようにスカウトに指示したのは、資産家の“アテンダー”の男。資産家は生まれた子どもの認知はせず、出産時の1億円を除いては基本的に養育費も支払わないし、死後の相続も発生しないという“払いきり”が条件です。
育児についても女性本人が育てても、他の人に任せても、そこは問われないようです。ただ、子どもが優秀に育っている場合は学費を支援したり、大人になった後にその“資産家”のグループ会社で役員に抜擢されたりすることもあるようで、スカウトは女の子たちにそう説明しています。
もちろん怪しい案件ですけど、子供を産んだ子がいたら支払われる報酬の5%がスカウトの取り分。女の子も9500万円をもらえるし、デカい案件なんですよね」
精子提供は様々な倫理的な問題を孕むため、いま諸外国で法整備が進んでいる。今年4月には、オランダの裁判所が精子提供を通じて550人以上の子どもの父親となったとされる男性に対し、これ以上の精子提供を禁じる命令を出したことが大きく報道された。
しかし日本においては、精子提供についての法律上の規制はない。そのためこうした諸問題を回避するために、日本産科婦人科学会の会告「提供精子を用いた人工授精に関する見解」 が実質的なガイドラインになっている。
第三者の提供精子を使う体外受精の対象を「法的に婚姻している夫婦」に限っており、提供者は原則匿名で、同一提供者からの出生児は10人以内などと規定。「精子提供は営利目的で行われるべきものではなく、営利目的での精子提供の斡旋もしくは関与または類似行為をしてはならない」としているのだ。
関係者や出産案件募集の内容が真実ならば、出産案件はガイドラインを大きく逸脱している可能性が高い。しかしいまや、出産案件LINEは港区女子のLINEグループ外にも広がりはじめているという。
「出産となると女性にとってハードルが高いのもあってか、スカウトも手当たり次第案件を送っている感じはありましたね。最初はギャラ飲みのLINEグループやキャバ嬢とかでしたが、最終的にはTwitterでも拡散されていました」(同前)
都内に住むA子さん(30代)も出産案件のLINEを受け取った一人。目鼻立ちがはっきりとした色白の女性だ。A子さんは「ほんの好奇心で」スカウトに連絡を取ると、資産家と女性をつなげる役割だという男性と会うことになったという。
スカウトから指示された場所は繁華街のカフェチェーン店。そこで面接をすることになった。「男性はオオタと名乗りました。名刺などをもらったわけでもないので、本名や何者なのかはわかりません。見た感じは40、50代の、ふわっとした茶髪が印象的な物腰柔らかい男性でした。 まず年齢や職業、あとは結婚歴や子供の有無についていくつか質問を受けました。オオタさんは冗談も交えながら、フレンドリーな雰囲気で面接は進みました」 A子さんは「あまりにも怪しげな話だったので、面接の様子は録音していた」。その録音データでは以下のようなやりとりが記録されていた。オオタ氏がA子さんに説明した“出産案件”の“具体的手順”オオタ 「やりますか?」A子 「やってみたいです」オオタ 「そんな簡単に決めちゃっていいんですか?」A子 「簡単っていうか昔からそういう、シングルマザーが夢だったわけじゃないんですけどどんどん歳をとって葛藤があったり、結婚とか今すぐ無理なら将来パートナーだけでいいんだけど、やっぱり子供は欲しい。若いうちに子供を産みたかった」オオタ 「20代とか?」A子 「そうです」 面接が始まって約10分後、話は出産案件の具体的な手順に移っていく。オオタ 「仕組みは大体知ってますか?」A子 「軽めに聞きました」オオタ 「(中略)教育方針には一切口を出さないけど、DNAが成人できるまでのお金は出すから、あとはそれでやってくださいということです。もし最初からシングルマザーを選択したいのであれば、それでお互いがよければ自由にできるし、生活費だけあればいいじゃないですか?」A子 「まあそうですね」オオタ 「子供作る時も最初から体外受精。病院行って顕微授精して……」A子 「体外受精ってどうやってやるんですか? やったことがなくて」オオタ 「体外受精っていうのは病院にまず行って、たとえば新宿だったらY(※有名クリニック)みたいな大きいところ」 オオタ氏はクリニックでの体外受精の手順についても説明しはじめた。オオタ 「基本ここ(クリニック)にきたということは、不妊だからきたんですね、というテイです。だから不妊検査をします。これは誰がきてもします。その結果、あなたは大丈夫ですねってなると思うんですよ。なったら、じゃあ『私はすぐ子供が欲しいし年齢も年齢だし顕微授精やりたいんですよ、作りたいんですよ』と言って、1カ月後くらいにまた病院に行き注射を打ちにいくと、卵が育ってるんです」A子 「注射はどこに打つんですか? 自分で?」オオタ 「自分でやってもいいしやってもらってもいいし、で、注射を打ってるうちに卵が育ってきます。そしたら、そのちょうど3日後に育つね、とわかった時に、じゃあまた3日後に(クリニックに)きてねと言います。その時に、卵巣から針を抜いて取ります」 一般的には夫婦でクリニックを受診し、体外受精などの不妊治療に進む。ということは、夫の“替え玉”を用意するのか――。疑問が生じるが、オオタ氏はそのあたりには触れずに、こう話し続けた。オオタ 「お金は事前に渡しますので病院に行ったりして、妊娠して、その後、生活や仕事ができないってなってきたら、そしたら先に妊娠して3カ月とかになったら、そこで先に100万円もらって、その後5カ月~7カ月でお腹も大きくなり出して色々準備もしなければいけない期間になったら、そこでまた先にお金をもらって、そして最後生まれてきたら。現金で」A子 「へー。税金がかからないから?」オオタ 「そうです」 A子さんが語る。「めちゃくちゃ不思議な案件ですよね。受けるかどうかは正直五分五分、くらいの気持ちでした。ただ興味はあったので、二次面接も受けることにしたんです」 約1カ月後に行われた二次面接に現れたのもオオタ氏だった。「兄弟の保険証」で“既婚者偽装”し体外受精「二次面接では男性の兄弟がいるかどうかについて質問を受けました。なんでも、女性が結婚していて不妊に悩んでいる、という体裁をとらないと体外受精できないそうなんです。だから、苗字が同じ兄弟の保険証を借りてこなければいけない、という話でした。 でも、普通に考えて私が“夫”の保険証を持っていくだけで体外受精ができるものなんでしょうか? オオタさんが夫の代わりをするのかも?とも思いましたが、そのあたりはなんとなく確認しづらくて聞けませんでした。 “報酬”は現金だし、兄弟の保険証で結婚しているフリをしないといけないしで、さすがに危ない橋すぎるなと。それに最後まで相手の名前は明かしてくれませんでしたし、本当に1億円も支払われるなんて到底信じられなくて。結局、この“出産案件”は断ることにしました」依頼者は総資産3000億円を超える“経済界のあの大物” 異次元の報酬を得られるとはいえ、誰の子を出産するのかすら秘された“案件”。富裕層との接触が多い港区女子といえども、訝しむ女性は当然多い。そうした状況を受け、一部のスカウトが資産家の正体をLINEのやり取りの中でほのめかしはじめた。 出産案件の誘いを受けた、別の港区女子はこう証言する。「実はこの依頼者について、港区では“ある有名企業家”の名前があがっていたんです。そこでスカウトに依頼者は誰なのかを改めて問うと、ある男性の写真を送ってきて、私の既読がついた途端にすぐに『送信取消』して消しました。その写真にうつっていたのは、港区で噂されていた“ある有名企業家”でした。まさか本当にこんな大物が依頼者だったなんて……」 その「大物」の名前は東証プライム市場に上場するIT企業「株式会社光通信」の創業者で現会長の重田康光氏(58)。経済誌「フォーブス」が今年5月30日に発表した2023年の日本長者番付で12位にランクインするなど、総資産3000億円を超える。 しかし、果たして本当に重田氏が出産案件の依頼者なのだろうか。取材を進めると、記者らは重田氏本人の姿をある場所で目撃することになったのだ――。「エリートだけが先祖になれるんだよね」港区女子らに“1億円出産依頼”する総資産3000億円超の「光通信」会長・重田康光氏(58)が持つ“ブッ飛んだ思想”とは《本人に直撃》 へ続く(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
スカウトから指示された場所は繁華街のカフェチェーン店。そこで面接をすることになった。
「男性はオオタと名乗りました。名刺などをもらったわけでもないので、本名や何者なのかはわかりません。見た感じは40、50代の、ふわっとした茶髪が印象的な物腰柔らかい男性でした。
まず年齢や職業、あとは結婚歴や子供の有無についていくつか質問を受けました。オオタさんは冗談も交えながら、フレンドリーな雰囲気で面接は進みました」
A子さんは「あまりにも怪しげな話だったので、面接の様子は録音していた」。その録音データでは以下のようなやりとりが記録されていた。
オオタ 「やりますか?」
A子 「やってみたいです」
オオタ 「そんな簡単に決めちゃっていいんですか?」
A子 「簡単っていうか昔からそういう、シングルマザーが夢だったわけじゃないんですけどどんどん歳をとって葛藤があったり、結婚とか今すぐ無理なら将来パートナーだけでいいんだけど、やっぱり子供は欲しい。若いうちに子供を産みたかった」
オオタ 「20代とか?」
A子 「そうです」
面接が始まって約10分後、話は出産案件の具体的な手順に移っていく。
オオタ 「仕組みは大体知ってますか?」
A子 「軽めに聞きました」
オオタ 「(中略)教育方針には一切口を出さないけど、DNAが成人できるまでのお金は出すから、あとはそれでやってくださいということです。もし最初からシングルマザーを選択したいのであれば、それでお互いがよければ自由にできるし、生活費だけあればいいじゃないですか?」
A子 「まあそうですね」
オオタ 「子供作る時も最初から体外受精。病院行って顕微授精して……」
A子 「体外受精ってどうやってやるんですか? やったことがなくて」
オオタ 「体外受精っていうのは病院にまず行って、たとえば新宿だったらY(※有名クリニック)みたいな大きいところ」
オオタ氏はクリニックでの体外受精の手順についても説明しはじめた。
オオタ 「基本ここ(クリニック)にきたということは、不妊だからきたんですね、というテイです。だから不妊検査をします。これは誰がきてもします。その結果、あなたは大丈夫ですねってなると思うんですよ。なったら、じゃあ『私はすぐ子供が欲しいし年齢も年齢だし顕微授精やりたいんですよ、作りたいんですよ』と言って、1カ月後くらいにまた病院に行き注射を打ちにいくと、卵が育ってるんです」A子 「注射はどこに打つんですか? 自分で?」オオタ 「自分でやってもいいしやってもらってもいいし、で、注射を打ってるうちに卵が育ってきます。そしたら、そのちょうど3日後に育つね、とわかった時に、じゃあまた3日後に(クリニックに)きてねと言います。その時に、卵巣から針を抜いて取ります」 一般的には夫婦でクリニックを受診し、体外受精などの不妊治療に進む。ということは、夫の“替え玉”を用意するのか――。疑問が生じるが、オオタ氏はそのあたりには触れずに、こう話し続けた。オオタ 「お金は事前に渡しますので病院に行ったりして、妊娠して、その後、生活や仕事ができないってなってきたら、そしたら先に妊娠して3カ月とかになったら、そこで先に100万円もらって、その後5カ月~7カ月でお腹も大きくなり出して色々準備もしなければいけない期間になったら、そこでまた先にお金をもらって、そして最後生まれてきたら。現金で」A子 「へー。税金がかからないから?」オオタ 「そうです」 A子さんが語る。「めちゃくちゃ不思議な案件ですよね。受けるかどうかは正直五分五分、くらいの気持ちでした。ただ興味はあったので、二次面接も受けることにしたんです」 約1カ月後に行われた二次面接に現れたのもオオタ氏だった。「兄弟の保険証」で“既婚者偽装”し体外受精「二次面接では男性の兄弟がいるかどうかについて質問を受けました。なんでも、女性が結婚していて不妊に悩んでいる、という体裁をとらないと体外受精できないそうなんです。だから、苗字が同じ兄弟の保険証を借りてこなければいけない、という話でした。 でも、普通に考えて私が“夫”の保険証を持っていくだけで体外受精ができるものなんでしょうか? オオタさんが夫の代わりをするのかも?とも思いましたが、そのあたりはなんとなく確認しづらくて聞けませんでした。 “報酬”は現金だし、兄弟の保険証で結婚しているフリをしないといけないしで、さすがに危ない橋すぎるなと。それに最後まで相手の名前は明かしてくれませんでしたし、本当に1億円も支払われるなんて到底信じられなくて。結局、この“出産案件”は断ることにしました」依頼者は総資産3000億円を超える“経済界のあの大物” 異次元の報酬を得られるとはいえ、誰の子を出産するのかすら秘された“案件”。富裕層との接触が多い港区女子といえども、訝しむ女性は当然多い。そうした状況を受け、一部のスカウトが資産家の正体をLINEのやり取りの中でほのめかしはじめた。 出産案件の誘いを受けた、別の港区女子はこう証言する。「実はこの依頼者について、港区では“ある有名企業家”の名前があがっていたんです。そこでスカウトに依頼者は誰なのかを改めて問うと、ある男性の写真を送ってきて、私の既読がついた途端にすぐに『送信取消』して消しました。その写真にうつっていたのは、港区で噂されていた“ある有名企業家”でした。まさか本当にこんな大物が依頼者だったなんて……」 その「大物」の名前は東証プライム市場に上場するIT企業「株式会社光通信」の創業者で現会長の重田康光氏(58)。経済誌「フォーブス」が今年5月30日に発表した2023年の日本長者番付で12位にランクインするなど、総資産3000億円を超える。 しかし、果たして本当に重田氏が出産案件の依頼者なのだろうか。取材を進めると、記者らは重田氏本人の姿をある場所で目撃することになったのだ――。「エリートだけが先祖になれるんだよね」港区女子らに“1億円出産依頼”する総資産3000億円超の「光通信」会長・重田康光氏(58)が持つ“ブッ飛んだ思想”とは《本人に直撃》 へ続く(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
オオタ 「基本ここ(クリニック)にきたということは、不妊だからきたんですね、というテイです。だから不妊検査をします。これは誰がきてもします。その結果、あなたは大丈夫ですねってなると思うんですよ。なったら、じゃあ『私はすぐ子供が欲しいし年齢も年齢だし顕微授精やりたいんですよ、作りたいんですよ』と言って、1カ月後くらいにまた病院に行き注射を打ちにいくと、卵が育ってるんです」
A子 「注射はどこに打つんですか? 自分で?」
オオタ 「自分でやってもいいしやってもらってもいいし、で、注射を打ってるうちに卵が育ってきます。そしたら、そのちょうど3日後に育つね、とわかった時に、じゃあまた3日後に(クリニックに)きてねと言います。その時に、卵巣から針を抜いて取ります」
一般的には夫婦でクリニックを受診し、体外受精などの不妊治療に進む。ということは、夫の“替え玉”を用意するのか――。疑問が生じるが、オオタ氏はそのあたりには触れずに、こう話し続けた。
オオタ 「お金は事前に渡しますので病院に行ったりして、妊娠して、その後、生活や仕事ができないってなってきたら、そしたら先に妊娠して3カ月とかになったら、そこで先に100万円もらって、その後5カ月~7カ月でお腹も大きくなり出して色々準備もしなければいけない期間になったら、そこでまた先にお金をもらって、そして最後生まれてきたら。現金で」
A子 「へー。税金がかからないから?」
オオタ 「そうです」
A子さんが語る。
「めちゃくちゃ不思議な案件ですよね。受けるかどうかは正直五分五分、くらいの気持ちでした。ただ興味はあったので、二次面接も受けることにしたんです」
約1カ月後に行われた二次面接に現れたのもオオタ氏だった。
「二次面接では男性の兄弟がいるかどうかについて質問を受けました。なんでも、女性が結婚していて不妊に悩んでいる、という体裁をとらないと体外受精できないそうなんです。だから、苗字が同じ兄弟の保険証を借りてこなければいけない、という話でした。
でも、普通に考えて私が“夫”の保険証を持っていくだけで体外受精ができるものなんでしょうか? オオタさんが夫の代わりをするのかも?とも思いましたが、そのあたりはなんとなく確認しづらくて聞けませんでした。
“報酬”は現金だし、兄弟の保険証で結婚しているフリをしないといけないしで、さすがに危ない橋すぎるなと。それに最後まで相手の名前は明かしてくれませんでしたし、本当に1億円も支払われるなんて到底信じられなくて。結局、この“出産案件”は断ることにしました」
依頼者は総資産3000億円を超える“経済界のあの大物” 異次元の報酬を得られるとはいえ、誰の子を出産するのかすら秘された“案件”。富裕層との接触が多い港区女子といえども、訝しむ女性は当然多い。そうした状況を受け、一部のスカウトが資産家の正体をLINEのやり取りの中でほのめかしはじめた。 出産案件の誘いを受けた、別の港区女子はこう証言する。「実はこの依頼者について、港区では“ある有名企業家”の名前があがっていたんです。そこでスカウトに依頼者は誰なのかを改めて問うと、ある男性の写真を送ってきて、私の既読がついた途端にすぐに『送信取消』して消しました。その写真にうつっていたのは、港区で噂されていた“ある有名企業家”でした。まさか本当にこんな大物が依頼者だったなんて……」 その「大物」の名前は東証プライム市場に上場するIT企業「株式会社光通信」の創業者で現会長の重田康光氏(58)。経済誌「フォーブス」が今年5月30日に発表した2023年の日本長者番付で12位にランクインするなど、総資産3000億円を超える。 しかし、果たして本当に重田氏が出産案件の依頼者なのだろうか。取材を進めると、記者らは重田氏本人の姿をある場所で目撃することになったのだ――。「エリートだけが先祖になれるんだよね」港区女子らに“1億円出産依頼”する総資産3000億円超の「光通信」会長・重田康光氏(58)が持つ“ブッ飛んだ思想”とは《本人に直撃》 へ続く(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
異次元の報酬を得られるとはいえ、誰の子を出産するのかすら秘された“案件”。富裕層との接触が多い港区女子といえども、訝しむ女性は当然多い。そうした状況を受け、一部のスカウトが資産家の正体をLINEのやり取りの中でほのめかしはじめた。
出産案件の誘いを受けた、別の港区女子はこう証言する。
「実はこの依頼者について、港区では“ある有名企業家”の名前があがっていたんです。そこでスカウトに依頼者は誰なのかを改めて問うと、ある男性の写真を送ってきて、私の既読がついた途端にすぐに『送信取消』して消しました。その写真にうつっていたのは、港区で噂されていた“ある有名企業家”でした。まさか本当にこんな大物が依頼者だったなんて……」
その「大物」の名前は東証プライム市場に上場するIT企業「株式会社光通信」の創業者で現会長の重田康光氏(58)。経済誌「フォーブス」が今年5月30日に発表した2023年の日本長者番付で12位にランクインするなど、総資産3000億円を超える。 しかし、果たして本当に重田氏が出産案件の依頼者なのだろうか。取材を進めると、記者らは重田氏本人の姿をある場所で目撃することになったのだ――。「エリートだけが先祖になれるんだよね」港区女子らに“1億円出産依頼”する総資産3000億円超の「光通信」会長・重田康光氏(58)が持つ“ブッ飛んだ思想”とは《本人に直撃》 へ続く(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
その「大物」の名前は東証プライム市場に上場するIT企業「株式会社光通信」の創業者で現会長の重田康光氏(58)。経済誌「フォーブス」が今年5月30日に発表した2023年の日本長者番付で12位にランクインするなど、総資産3000億円を超える。
しかし、果たして本当に重田氏が出産案件の依頼者なのだろうか。取材を進めると、記者らは重田氏本人の姿をある場所で目撃することになったのだ――。
「エリートだけが先祖になれるんだよね」港区女子らに“1億円出産依頼”する総資産3000億円超の「光通信」会長・重田康光氏(58)が持つ“ブッ飛んだ思想”とは《本人に直撃》 へ続く
(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))