交際相手の男性に、刃物で切り付けたとして、ベトナム人の女が、現行犯逮捕された。男性は、自宅近くの警察署に逃げ込んだが、女は、そこまで追いかけてきて、なおも、切りつけようとしたという。
今月5日午前4時半ごろ、横浜市磯子区の磯子警察署に、血を流した男性が逃げ込んできた。一緒に現れたのは、刃物を持った女だった。警察署の玄関付近、ちょうど車庫証明の窓口付近で、なおも、女は、男性に切りかかろうとしたそうだ。
早朝とは言え、当然、警察署内は、常に、警戒態勢が取られている。女は、その場で、宿直勤務中の警察官に取り押さえられ、殺人未遂の現行犯で逮捕された。逮捕されたのは、ベトナム人のレ・ティ・ゴック・ハン容疑者(35)だった。
切り付けられたのは、37歳のAさん。主に上半身に傷を負っていて、病院に運ばれたが、まもなく死亡した。実は、Aさんは、警察署のすぐ目の前、道路を挟んだ反対側のマンションに住んでいた。距離にして70メートルほどだ。片や、ハン容疑者は、Aさんの交際相手だったという。
刃傷事件からさかのぼること5日前の8月31日。Aさんは、磯子署に、相談を持ち掛けていたという。内容は「交際相手とトラブルになっている」というもの。その交際相手が、ハン容疑者だった。
男女の間の”イザコザ”は、よくある話だ。かつては「民事不介入」の名のもと、警察が動くことは少なかった。しかし、DV、ストーカーなどから、重大事件に発展するケースは後を絶たず。そのため、昨今の警察当局は、男女の仲に、適宜、介入するようになった。
Aさんからの相談についても、磯子署は、対応に乗り出した。ハン容疑者に対して、口頭で、「Aさんと距離を取るように」などと注意をしたとのこと。この「距離をとる」というのは、「近づかないように」という意味だ。
この口頭注意が、ストーカー規制法などに基づく、正式な手続きだったかどうかは分からないが、磯子署の対応は適切だったと言えよう。ハン容疑者に対しては、自宅のある札幌市まで帰るよう促したものとみられている。
ところが、事件当日、ハン容疑者は、Aさんの自宅マンションで、刃物で切りつけたとみられている。その上、逃げるAさんを、70メートルほど離れた警察署まで追いかけ、なおも刃物を振りかざすとは・・・。
マンションのエントランス、磯子署の玄関付近には、生々しい血痕が見られた。その”怒り””執念”は何だったのか。事件の背景について、今後、「続報」を掲載できればと考えている。
6日に送検された際、容疑を殺人に切り替えられたハン容疑者。逮捕直後、「刺してけがをさせたことは間違いない」と話していたが、取り調べ中に、Aさんが亡くなったことを聞かされると、「殺すつもりはなかった」などと泣き崩れたそうだ。