9・27は本当に大丈夫なのか。参院選中の銃撃事件で死去した安倍晋三元首相の国葬が27日に東京・日本武道館で行われる。反対世論に火がつき、「武道館を包囲しよう」などと複数の反対デモも行われる混乱が予想されるなか、国葬の受付票がネット上に“流出”。「偽造されかねない」と不安の声も聞かれ始めた。
国葬を巡っては、各報道機関の世論調査で賛否が分かれている。国会も日本維新の会と国民民主党が出席する一方で、野党第1党の立憲民主党は15日、泉健太代表ら執行役員の欠席を正式に決定。ほかに野党は共産党、社民党が欠席を表明し、れいわ新選組の山本太郎代表は「欠席ではなくボイコット」と欠席の返信もしないとしている。
国葬には6000人程度の参列者が見込まれ、海外からはハリス米副大統領やEUのミシェル欧州理事会議長、カナダのトルドー首相、インドのモディ首相、豪州のアルバニージー首相ら190か国以上の海外要人の参列が見込まれる。
警察庁の露木康浩長官は13日に開いた警備対策推進室会議で、「国内外の要人の安全確保を徹底してほしい。警察の総力を挙げて対策を講じる」と最高レベルの警備体制を敷く構えを明かしているが、ネット上では物議を醸す行為が起きていた。
立民の蓮舫氏や辻元清美氏らが国葬の案内状の写真とともに欠席をツイッターで表明し、ネット上で反対運動のトレンドになった一方で、案内状だけでなく、受付票までSNSに投稿する人が複数現れたのだ。「ハガキより一回り小さいサイズの受付票は整理番号が振ってあるので、セキュリティー上、さらしてはいけないだろうと非難ごうごう。投稿した野党元職はすぐに投稿を削除したのですが、ほかにも複数の人が投稿していました。受付票の色や整理番号のパターンを分析され、複製されかねませんよ」(永田町関係者)
大手フリマアプリやオークションサイトで、「国葬」と検索すると、サジェストワードで「招待状」が表示される。実際に案内状や受付票が出品されていることはないが、なんとか国葬に参列できないかとあらゆる手を探っている人がたくさんいるわけだ。
案内状や招待状を巡るドタバタは過去にもあった。首相主催でやり玉にも挙がった新宿御苑での「桜を見る会」は案内状が譲渡・転売され、入手すれば事実上、誰でも入れるザル状態だった。一方、天皇、皇后両陛下主催で宮内庁仕切りのもと行われる「園遊会」はしっかり管理され、招待状を受け取った本人しか入れない厳格な運営だった。
今回の国葬では事前に武道館外で受付場所が設けられ、「封筒、受付票、本人確認書類」の3点が必要とされている。手荷物検査、金属探知機などのチェックも行われるとみられる。
ただ、欠席表明が相次ぎ、武道館内に空席が目立つのを恐れたのか、案内の枠を急きょ広げた。元職の国会議員にまで案内状が届き、返送期日が修正テープ上に手書きで加筆されただけでなく、速達での発送、名前の間違いなど混乱が生じていて、「しっかりと名簿を管理できているか」との心配の声も寄せられている。
「今回は園遊会以上の厳戒態勢で、なりすましや偽造で入り込むのは無理だと思いますよ。警察庁も安倍元首相の事件があっただけにもう失態は許されないので、相当ナーバスになっています。不審な点があれば、入場させない断固たる措置を取るのではないか」(与党関係者)
とはいえ何が起きるか分からない。国葬を無事終えることができるのだろうか。