自己中心的な振る舞いで会社に迷惑をかける、効率重視に周囲を巻き込むetc. ――若手世代に潜むモンスター社員により、職場の社員全員が大迷惑を被るはめに……。彼らの特徴を分類するとともに、専門家たちにその撃退法を聞いた!◆証拠を突きつけて、主張をゴリ押し!
サッカーのVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)のように、上司の一挙手一投足を記録。証拠を突きつけて、主張をゴリ押し、上司がミスを認めるまで大暴れするのがVAR判定モンスターだ。
「接客態度を注意したら、『自衛のため』とICレコーダーで録音し始め、以降、私と話すときは常に録音している。周囲はその新人との接触を避けるばかりか、私まで村八分に」(34歳・販売)
「指示に漏れがあった旨を伝えると、『先日はこう仰ってました!』と私の言葉を一字一句文字起こしして猛抗議……。部署内は必要最低限の会話だけになり、業務が遅延している」(44歳・食品)
など、モンスター一匹によって職場は大混乱。
◆デジタル・ネイティブ世代は自己防衛の録音が常識
ただ、世代・トレンド評論家の牛窪恵氏はモンスター社員に一定の理解を示した。
「デジタル・ネイティブなので、自己防衛のための録音は常識。一方で、人間は失敗した際に、即アップデートが必要だよねと考えやすい。完全ではない上司に怒っているのではなく、完全を装うことに怒っているのです」
◆VAR判定モンスター社員の攻略法は…
精神科医の春日武彦氏も頷き、理不尽さを嫌う完璧主義なモンスターの攻略法をこう伝授する。
「指示の伝え漏れなど、隙を見せた上司が悪い。ただ、録音はやりすぎ。撃退するには、仕事の指示を一から百までんで含めるように延々と説明し続ける。このモンスターは長話を嫌うので、VAR判定する気なんてうせますよ」
重箱の隅々まで説明し、ログという印籠を封じるのだ!
◆●VAR判定モンスター社員の特徴
上司の言動はすべて記録
・LEVEL ★★★★(MAX 5つ)職場を混乱させる、周囲に迷惑をかけるなどの悪影響の大きさ。レベル4は影響度が高め
・攻撃 25000(1万超えたら要注意)周囲のHPを削ったり、直接的な被害をもたらす力の強さ。2万5000は職場にかなりのダメージを与える可能性が
・防御 30000(1万超えたら要注意)説得が通じるか否かといった心理的な障壁の高さや、打たれ強さ。3万と高く説得するには骨が折れそう
◆<撃退法>
こういった迷惑社員の扱い方をまとめると…
・弱点(モンスター社員を撃退する上で、フックとなる特徴や性質)→ 完璧主義
・効果属性(モンスター社員にとって天敵となる中年世代のタイプ)→ 重箱の隅おやじ
・攻略法(弱点を踏まえた、モンスター社員を撃退する方法)→ わかるまで説明地獄
⇒ツッコみどころが1个發覆なるまで説明してモンスターのHPを削り、VAR判定攻撃を防御!
【世代・トレンド評論家 牛窪 恵氏】立教大学大学院ビジネスデザイン研究科客員教授。多くの官公庁の委員を歴任。著書多数。9月、『恋愛結婚の終焉』(光文社新書)が発売に
【精神科医 春日武彦氏】医学博士。都立松沢病院精神科部長、都立墨東病院神経科部長などを歴任。現在も臨床に携わる。近著『「狂い」の調教』(扶桑社)ほか、著書多数
取材・文/週刊SPA!編集部 イラスト/さとうみゆき