東京都大田区のマンションで1月、妻に有毒性の薬品「メタノール」を飲ませて殺害したとして製薬大手「第一三共」の研究員が逮捕された事件で、夫婦関係が悪化し、吉田佳右(けいすけ)容疑者(40)が妻に暴力を加えることもあったことが19日、捜査関係者への取材で分かった。
妻がスマートフォンに複数の口論の場面を記録していた。警視庁捜査1課は、妻のスマホの解析を進めるなどし、家庭内の状況も調べている。
関係者によると、2人は会社の同期で平成22年に結婚し、妻の容子さん(40)が退社。その後、長男が生まれたが、5年以上前から関係が悪化していたという。口論では吉田容疑者が暴力を加えることもあったとされ、容子さんはスマホに画像を記録していた。
事件直前も、吉田容疑者の異性関係などをめぐる行動で、口論があったとされる。逮捕前の任意聴取に、吉田容疑者も容子さんに暴力を振るうことがあったと認めていたという。
容子さんは1月16日に急性メタノール中毒で死亡した。14日夜ごろメタノールを混ぜた酒を飲まされたとされる。吉田容疑者は職場などからメタノールを家庭に持ち込んで酒に混入したとみられているが、容器などは見つかっておらず処分した可能性が高い。
逮捕後の捜査1課の調べに対し、吉田容疑者は「嫁に殺意を抱いたことはなく家にメタノールを持ち込んだことはない」などと容疑を否認し、その後は黙秘しているという。