大阪府摂津市のマンションで令和3年、新村(にいむら)桜利斗(おりと)ちゃん=当時(3)=が熱湯を浴びて死亡した事件で、桜利斗ちゃんの母親(24)と当時交際し、殺人罪などに問われた無職、松原拓海(たくみ)被告(25)の裁判員裁判の初公判が22日、大阪地裁(坂口裕俊裁判長)で開かれた。
弁護側は冒頭陳述で、シャワーの熱湯を浴びせる故意はなかったと主張した。
弁護側はこの中で、風呂場の浴槽に向けて高温のシャワーを出し続けることで「浴室をサウナ状態にし、桜利斗ちゃんにおしおきしようとした」と主張。シャワーの温度を60~75度に設定し、外から浴室の鍵をかけて桜利斗ちゃんを閉じ込めたことは認めつつ「(脱水症状で)ばてる危険性は認識していたが、シャワーの湯が桜利斗ちゃんにかかる危険性は認識していなかった」と述べ、殺人罪は成立せず傷害致死罪にとどまると訴えた。
一方、検察側は冒頭陳述で、松原被告がシャワーの温度を60~75度に設定して桜利斗ちゃんに浴びせ続けたことで「全身の90%という広範囲に重い熱傷を負わせた」と指摘した。
起訴状によると、3年8月31日午後、母親の自宅マンションで桜利斗ちゃんに熱湯を浴びせ続けるなどして、熱傷性ショックで死亡させたとしている。
また、同年6月に母親と共謀して約25分間で3回にわたり桜利斗ちゃんの頭部を円筒状のクッションで殴って転倒させたとする、暴行罪にも問われている。
母親はこの暴行罪で罰金10万円の略式命令を受けており、松原被告も暴行罪については争わない方針を示した。