猛毒キノコ「カエンタケ」が、狭山丘陵の広がる埼玉県西部を中心に埼玉県内で相次いで見つかっている。
触れると炎症を起こし、過去には食べた人の死亡例もある。自治体などは「絶対に触ったり、食べたりしないで」と注意を呼びかけている。(大須賀軒一)
入間、所沢両市の同丘陵にある県立さいたま緑の森博物館では7月17日、散策路近くで、巡回中の職員がこぶし大のカエンタケを見つけた。穴を掘って埋めたが、2~3センチの小さなものや、7センチほどのものなどが次々と出現。職員は「過去にも確認例はあったようだが、こんなに出たのは初めて。出現は断続的に続いており、来園者の安全を考えて見つけ次第埋めている」と説明している。
子どもや高齢者の入場も多い狭山市の智光山公園では8月下旬、ナラの切り株の近くで見つかった。管理事務所によると、確認例は初めて。園内にはこども動物園やキャンプ場があるため、手袋などで装備を固めた職員が回収して焼却した。
三芳町では8月上旬、管理地の雑木林で職員が見つけた。町による確認例は初めて。回収して袋に密閉したが、担当者は「焼却時に毒が飛散するかもしれないので、ごみ処理施設で保管している」と困惑気味だ。9月に入っても出現は確認されている。
厚生労働省によると、カエンタケは赤やオレンジ色で、手指やトサカのような形状をしている。食後30分ほどで発熱、腹痛などの症状が表れ、2日後には消化器不全や脳神経障害などを引き起こす。主に夏から秋が発生時期という。
県内では今夏、日高市や飯能市などでも出現が確認されている。キノコに詳しい県立自然の博物館(長瀞町)の木山加奈子学芸員は「枯れた広葉樹の根元に出ることが多く、報告例の増加は県内でも広がるナラ枯れが影響している可能性がある。近寄らないことが大事」と注意を呼びかけている。