宴会の席や二次会、友人たちとの集まり、時間つぶし……など、さまざまな場面で活用されるレクリエーションのひとつが「カラオケ」。気分転換に、コミュニケーションの一環として、さらには芸能界デビューの足がかりなど目的・用途は人それぞれです。老若男女楽しめるカラオケ カラオケ関連企業の新商品リリースもめざましく、2022年8月には、カラオケルーム・ビッグエコーが『なりきりマイク feat.ELT持田香織 スペシャルルーム』をオープンしたことが話題となりました。ヤマハが開発した『TransVox 』技術により、専用マイクで歌うと誰でもELTの持田香織さんの歌声になれるというAIを駆使したサービスが楽しめます。ビッグエコー3店(東京・静岡・大阪)で、10月11日まで展開します。

さて、カラオケをする際に必要な基本セットといえば、マイク、画面モニター、リモコンの3つが浮かぶと思います。その中の「リモコン」は曲を選ぶための重要なアイテムですよね? けれど、昔は曲を入力する際はリモコンではなく、曲番号が大量に記載された「歌本」が活躍していました。曲選びに欠かせない「リモコン」だが、前世代は「歌本」が絶対的な存在だった この歌本ですが、最近めっきり見かけることがなくなりました。世代によってはその存在を知らない人もいるのでは? はたして歌本は現在どうなっているのでしょうか? 業務用通信カラオケ「JOYSOUND」を展開する(本社:愛知県名古屋市)に聞きいてみました。JOYSOUNDの初期「歌本」2019年12月に発行された最後のJOYSOUNDの「歌本」 エクシングによると「歌本」の最終発行は2019年12月。それ以降は歌本を作っていないとのこと。意外と最近まで発行していた印象ですが、やはり最終発行までに年々発行部数は減少していたそうで、その主な理由は「入曲リモコンの普及」にあります。 ちなみに、JOYSOUNDで最初に歌本が登場したのが1992年のこと。約10年後の2004年、カラー液晶の入曲リモコン「キョクナビ」が登場。最近ではスマホのような使用感で扱えるなど使い勝手はどんどん進化しています。タッチ操作で歌いたい曲がすぐに入力できる便利さが歌本にはない魅力! そんな技術の進化とともに年々増えていったのが「曲数」です。最終版の歌本が発行された時には25万曲以上、2022年9月現在にはなんと33万曲以上を収録。本自体の厚さはゆうに電話帳を超えるほど。初版はどうだったかというと、収録は3000曲ほどで厚さも0.8センチ程度だったそう。 皮肉にも、自慢の楽曲数すら“歌本続行不可”をうながした一因で、「曲数増加でどんどん本を分厚くせざるをえない」「楽曲配信スピードの加速による更新頻度増加」など、発刊自体のハードルがどんどん高くなっていった模様。 こうしてみると「歌本消滅」は、もはや必然だったように思えます。初代歌本(左)と最終発行の歌本(右)。厚さの違いに注目!「DAM」を運用する第一興商(本社:東京都品川区)にも聞きました。 DAMでは歌本にあたる「目次本」を発行してきましたが、カラオケ楽曲全体を網羅した「ベスト目次本」の最終発行は2019年11月、新曲配信分に特化した「新曲目次本」の最終発行は2020年3月だったそうで、現在DAMではリモコン「デンモク」が主流に。「デンモクの発売以降、目次本との共存を模索し、試行錯誤を重ねてまいりました。同時に紙資源の使用を減らすことが環境問題への取組みとして貢献できると考え、お客様からは多大なご理解を頂いています」(第一興商) 目次本の廃止は環境問題への配慮でもあったことを教えてくれました。紙ベースの「歌本」や「目次本」は、環境考慮志向の現代においてフィットしづらくなった「マイクで歌っているところをプリントシールにできる『PriDAM』というサービスや、人気ゲーム『ダンスダンスレボリューション』をカラオケで楽しめる『DAM-DDR』などを展開しておりました。いずれも時代のニーズに合ったコンテンツを生み出してきました」(第一興商) 。 歌以外にも楽しめるコンテンツの開発・リリースに積極的に挑戦。そのときどきのトレンドを的確に捉えて話題となりましたが、時代の流れとともに止むなく消えていったサービスもいくつかあったことを知ることができました。☆☆☆☆ コロナウイルス蔓延防止意識の高まりもあり、そもそもカラオケを楽しむ機会が遠のいている昨今ですが、カラオケは世界でも知られる「日本発祥の文化」。消えていったものもありますが、よりにエンタメ性の高い世界観を発信するため各企業が切磋琢磨しています。今後の革新的な進化に期待ですね!(取材・文=宮田智也 / 放送作家)
宴会の席や二次会、友人たちとの集まり、時間つぶし……など、さまざまな場面で活用されるレクリエーションのひとつが「カラオケ」。気分転換に、コミュニケーションの一環として、さらには芸能界デビューの足がかりなど目的・用途は人それぞれです。
カラオケ関連企業の新商品リリースもめざましく、2022年8月には、カラオケルーム・ビッグエコーが『なりきりマイク feat.ELT持田香織 スペシャルルーム』をオープンしたことが話題となりました。ヤマハが開発した『TransVox 』技術により、専用マイクで歌うと誰でもELTの持田香織さんの歌声になれるというAIを駆使したサービスが楽しめます。ビッグエコー3店(東京・静岡・大阪)で、10月11日まで展開します。
さて、カラオケをする際に必要な基本セットといえば、マイク、画面モニター、リモコンの3つが浮かぶと思います。その中の「リモコン」は曲を選ぶための重要なアイテムですよね? けれど、昔は曲を入力する際はリモコンではなく、曲番号が大量に記載された「歌本」が活躍していました。
この歌本ですが、最近めっきり見かけることがなくなりました。世代によってはその存在を知らない人もいるのでは? はたして歌本は現在どうなっているのでしょうか? 業務用通信カラオケ「JOYSOUND」を展開する(本社:愛知県名古屋市)に聞きいてみました。
エクシングによると「歌本」の最終発行は2019年12月。それ以降は歌本を作っていないとのこと。意外と最近まで発行していた印象ですが、やはり最終発行までに年々発行部数は減少していたそうで、その主な理由は「入曲リモコンの普及」にあります。
ちなみに、JOYSOUNDで最初に歌本が登場したのが1992年のこと。約10年後の2004年、カラー液晶の入曲リモコン「キョクナビ」が登場。最近ではスマホのような使用感で扱えるなど使い勝手はどんどん進化しています。
そんな技術の進化とともに年々増えていったのが「曲数」です。最終版の歌本が発行された時には25万曲以上、2022年9月現在にはなんと33万曲以上を収録。本自体の厚さはゆうに電話帳を超えるほど。初版はどうだったかというと、収録は3000曲ほどで厚さも0.8センチ程度だったそう。
皮肉にも、自慢の楽曲数すら“歌本続行不可”をうながした一因で、「曲数増加でどんどん本を分厚くせざるをえない」「楽曲配信スピードの加速による更新頻度増加」など、発刊自体のハードルがどんどん高くなっていった模様。
こうしてみると「歌本消滅」は、もはや必然だったように思えます。
「DAM」を運用する第一興商(本社:東京都品川区)にも聞きました。 DAMでは歌本にあたる「目次本」を発行してきましたが、カラオケ楽曲全体を網羅した「ベスト目次本」の最終発行は2019年11月、新曲配信分に特化した「新曲目次本」の最終発行は2020年3月だったそうで、現在DAMではリモコン「デンモク」が主流に。
「デンモクの発売以降、目次本との共存を模索し、試行錯誤を重ねてまいりました。同時に紙資源の使用を減らすことが環境問題への取組みとして貢献できると考え、お客様からは多大なご理解を頂いています」(第一興商)
目次本の廃止は環境問題への配慮でもあったことを教えてくれました。
「マイクで歌っているところをプリントシールにできる『PriDAM』というサービスや、人気ゲーム『ダンスダンスレボリューション』をカラオケで楽しめる『DAM-DDR』などを展開しておりました。いずれも時代のニーズに合ったコンテンツを生み出してきました」(第一興商) 。
歌以外にも楽しめるコンテンツの開発・リリースに積極的に挑戦。そのときどきのトレンドを的確に捉えて話題となりましたが、時代の流れとともに止むなく消えていったサービスもいくつかあったことを知ることができました。
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コロナウイルス蔓延防止意識の高まりもあり、そもそもカラオケを楽しむ機会が遠のいている昨今ですが、カラオケは世界でも知られる「日本発祥の文化」。消えていったものもありますが、よりにエンタメ性の高い世界観を発信するため各企業が切磋琢磨しています。今後の革新的な進化に期待ですね!