アイドルやメイド、魔女など特定の世界観を従業員の衣装やメニューで表現する飲食店「コンセプトカフェ」(コンカフェ)が神戸・三宮に次々と出店し、兵庫県警が対策を進めている。
風俗営業法上の許可を得ずに「接待」にあたるサービスを提供する店があるとみられるためで、9、10月には2店舗を摘発し、経営者を逮捕した。パトロールの実施などで取り締まりを強化し、適切な営業のあり方を指導するとともに悪質な業者の排除を目指す。(長野祐気、新谷諒真)
コンカフェには、ほかに戦国武将や忍者をテーマとした店などもあり、東京・秋葉原などで若者を中心に人気を呼んでいる。県警保安課によると、今春頃から、阪急・神戸三宮駅北側の繁華街で、コスプレ姿の従業員が来店を呼びかける様子が目立ち始めたという。
13日夜には、生田署員や県職員ら約20人が三宮の繁華街をパトロールし、コンカフェの店員とみられる扮装(ふんそう)をした女性らに「客引きはしないでください」などと呼びかけた。
県警が問題視するのは、いわゆるキャバクラなどと同様の接待行為がなされているのに、風営法上の「社交飲食店」の営業許可を受けていないケースだ。
風営法は、規制対象とする接待行為を「歓楽的雰囲気を醸し出す方法で客をもてなすこと」と定めている。一般的に「談笑」「歌唱」「踊り」などを指すことが多いとされ、社交飲食店の許可なくこうした接待行為を行えば違法となる。
客引きについても、社交飲食店では禁じられているが、一般の飲食店の場合は状況が異なり、「よっぽど執拗(しつよう)につきまとうなどしない限り摘発は難しいだろう」(県警幹部)とする。
県警は各店舗の経営実態を調べて注意を促そうと、6月、三宮で2度にわたってパトロールを実施。コンカフェをうたって来店を呼びかける女性従業員ら延べ34人から経営実態を聞き取り、違法営業にならないよう口頭で指導した。
ただ、指導だけでは悪質な店舗を見つけ出し、根絶するのは難しい。
捜査関係者によると、県警保安課と生田署が摘発したコンカフェ2店舗では、魔女やアイドルの扮装をした女性従業員が、カウンター越しに継続的に談笑するなどの接待をしていたという。
また、17歳以下の女性従業員が複数人働いていたことも確認されているといい、県警保安課の藤原生夫次席は「カフェと名乗りながら、実態はキャバクラという店も多い。子どもの健全育成を阻害する恐れもあり、警戒を強めていきたい」とする。