自宅で小野優陽(ゆうは)ちゃん=当時(2)=の両手足を粘着テープで縛って監禁した上、丸2日近く放置して熱中症で死亡させたとして保護責任者遺棄致死と逮捕監禁の罪に問われた無職、桃田貴徳(たかのり)被告(52)の裁判員裁判が16日から、大阪地裁堺支部で始まった。
放置中に連日、大阪市のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)へ行っていたとされる桃田被告は全面的に無罪を主張。優陽ちゃんとの関係性のほか、テープによる拘束や監禁などが「正当な養育」といえるかが争点に浮上した。
?立場?から否定
「養育者ではないし、私は緊縛もしていない。ベビーサークルは一番安全な場所と考えていた。不法というのは事実と違います」。16日の初公判で桃田被告は起訴内容を全面的に否認した。
起訴状によると、優陽ちゃんの祖母、小野真由美被告(47)=同罪で起訴=と共謀し、昨年6月24~29日、大阪府富田林市の小野被告宅で、乳児用の柵「ベビーサークル」の中に断続的に監禁。27日夜~29日は両手足を粘着テープで緊縛した上、十分な水や食事を与えずに放置し、死亡させたとされる。
起訴内容の中で桃田被告は小野被告の内縁の夫との位置付けだが、弁護側は事件前に「内縁関係や同居を解消した」と養育者の立場を否定。さらに、ベビーサークルの中に優陽ちゃんを入れたのも、安全確保のための正当な行為だと訴えた。
1カ月で外泊12日
検察側は冒頭陳述で、両被告は平成26年ごろから同居し、桃田被告が生活費を負担する「事実上の夫婦」と説明。優陽ちゃんは小野被告の三男の娘だが、生後約半年で両被告が引き取った。
おむつを脱いで汚物を散らかされたことなどで「優陽ちゃんを疎ましく思って緊縛するようになった」と指摘。ベビーサークルからの脱出や、おむつを外へ投げるのを防ぐため、事件約1カ月前までにベビーサークルの四方側面を板張りしたり蓋を付けたりする改造作業を終えたとした。
証拠調べによると、両被告は同月27日と28日、USJ近くのホテルに宿泊。同28日から2日連続でUSJへ入園していた。
事件が起きた昨年6月の1カ月間で小野被告の外泊は計12日に及ぶ。事件以前に小野被告がLINE(ライン)で親族に「悪させんようにテープで固定してきた」とのメッセージを送っており、外泊中に優陽ちゃんを粘着テープで拘束するのが常態化し、深刻なネグレクト(育児放棄)状態に陥っていた可能性がある。
改造の必要性は
対する弁護側は、まず小野被告との関係性について「同月22日に解消し、その後も復縁話はなかった」と主張する。
小野被告宅では、優陽ちゃんのほか、当時高校1年で15歳だった小野被告の四男や、5歳だった両被告の実子が同居していた。
外泊の一部は「内縁関係の解消で精神面が不安定になった実子を旅行に連れて行くため」と述べ、両被告が不在であっても高校生である四男の存在を踏まえれば「置き去りにはあたらない」と反論した。
さらに、ベビーサークルの改造の必要性なども今後の審理で立証する姿勢を示したが、16日に開示された証拠から、その一端が明らかになった。
優陽ちゃんはおむつを脱いで排泄(はいせつ)し、便で遊んで部屋や体を汚すことが何度もあったことがうかがえ、実際に小野被告は子育ての悩みを行政側に繰り返し打ち明けていた。桃田被告は育児にはあまり関与していなかったとみられる。
こうした状況を踏まえ、17日からの審理では一連の行為の違法性や、桃田被告の責任をいかに立証するかが焦点となりそうだ。