一生の傷、だけど私の区切りに――。陸上自衛隊郡山駐屯地(福島県)に所属していた元1等陸士、五ノ井里奈さん(23)が複数の男性隊員から性暴力を受けていた問題で、関与した隊員のうち4人が17日午前、非公開の場で、五ノ井さんに直接謝罪した。午後、東京都内で開かれた記者会見で、五ノ井さんが明らかにし、「謝罪を受けた時は涙が流れました。遅いなって思いつつも、やっとこの日が来たんだというふうに、思いました」と述べた。
【写真特集】「一生の傷」言葉に詰まる被害女性 謝罪を受けた状況について、五ノ井さんは「1時間程度、1人ずつ謝罪を受けた。加害者たちは事実を認め、何度も頭を下げ、涙を流している人もいた」と報告。3人は土下座して謝ったという。 なぜ最初は加害を認めなかったかと問うたところ、「『やっぱり家族に知られたくなかった』と言う人もいれば、他の隊員をかばう(発言をした)人もいました」と話した。また、加害側から受け取ったという手紙を手に「『自衛隊で活躍したい』という(五ノ井さんの)夢を、私の軽率な行動で壊してしまい、大変申し訳ありませんでした」などと読み上げた。 一方、謝罪は受けたが、加害行為が消えるわけではない。 「謝罪をされたから許される問題でもないと思うし、私の傷は一生の傷なので、しっかりと自分のしたことに責任を持って、罪をつぐなってほしいと思っています」と時折考えながら話した。 五ノ井さんは2020年9月に郡山駐屯地に配属されて以降、日常的なセクハラや性暴力があったと訴えてきた。防衛省は22年9月末、20年秋に複数の隊員に体を触られた▽21年8月の訓練中に宿舎で押し倒されて性的な身体接触をされ、行為を口外しないよう口止めされたりした――などの被害を認定。加害側からの直接の謝罪は、五ノ井さんが要求していた。 約1時間の会見。最後に立ち上がり、こう話した。 「最初は自分との闘いで、先の見えない闘いでしたが、自分を信じて、絶対うそはついていないと思って、毎日いろんなことを言われながらも、自分だけを信じて進んできました」 被害を訴えてきた日々を振り返り、こう言い切った。 「私が目的としていた加害者の方からの直接謝罪をもらえたことは、本当に遅かったですけれど、私の区切りとさせていただきます」 五ノ井さんは22年6月に退職し、動画投稿サイトで実名を公表して被害を告発。8月にインターネットで上で集めた10万人を超える署名を防衛省に提出し、内部ではなく第三者による調査を求めていた。 「ここに至るまで本当にたくさんの方のご協力を頂き、この場をお借りして、本当に心から感謝申し上げます。本当にありがとうございました」 そして今後のこと。区切りを迎えたいま、「自分らしく」との思いを吐露した。 「今後、私は被害に遭ったからこう生きなければならないとか、静かに生活しなければいけない、笑ってはいけないというわけではなく、被害者としてではなく一人の人間として、強く生きて、いろんな人を笑顔にさせたり、人のために何かできることをしたり、とにかく自分らしく生きていきたいと思います」【宇多川はるか】
謝罪を受けた状況について、五ノ井さんは「1時間程度、1人ずつ謝罪を受けた。加害者たちは事実を認め、何度も頭を下げ、涙を流している人もいた」と報告。3人は土下座して謝ったという。
なぜ最初は加害を認めなかったかと問うたところ、「『やっぱり家族に知られたくなかった』と言う人もいれば、他の隊員をかばう(発言をした)人もいました」と話した。また、加害側から受け取ったという手紙を手に「『自衛隊で活躍したい』という(五ノ井さんの)夢を、私の軽率な行動で壊してしまい、大変申し訳ありませんでした」などと読み上げた。
一方、謝罪は受けたが、加害行為が消えるわけではない。
「謝罪をされたから許される問題でもないと思うし、私の傷は一生の傷なので、しっかりと自分のしたことに責任を持って、罪をつぐなってほしいと思っています」と時折考えながら話した。
五ノ井さんは2020年9月に郡山駐屯地に配属されて以降、日常的なセクハラや性暴力があったと訴えてきた。防衛省は22年9月末、20年秋に複数の隊員に体を触られた▽21年8月の訓練中に宿舎で押し倒されて性的な身体接触をされ、行為を口外しないよう口止めされたりした――などの被害を認定。加害側からの直接の謝罪は、五ノ井さんが要求していた。
約1時間の会見。最後に立ち上がり、こう話した。
「最初は自分との闘いで、先の見えない闘いでしたが、自分を信じて、絶対うそはついていないと思って、毎日いろんなことを言われながらも、自分だけを信じて進んできました」
被害を訴えてきた日々を振り返り、こう言い切った。
「私が目的としていた加害者の方からの直接謝罪をもらえたことは、本当に遅かったですけれど、私の区切りとさせていただきます」
五ノ井さんは22年6月に退職し、動画投稿サイトで実名を公表して被害を告発。8月にインターネットで上で集めた10万人を超える署名を防衛省に提出し、内部ではなく第三者による調査を求めていた。
「ここに至るまで本当にたくさんの方のご協力を頂き、この場をお借りして、本当に心から感謝申し上げます。本当にありがとうございました」
そして今後のこと。区切りを迎えたいま、「自分らしく」との思いを吐露した。
「今後、私は被害に遭ったからこう生きなければならないとか、静かに生活しなければいけない、笑ってはいけないというわけではなく、被害者としてではなく一人の人間として、強く生きて、いろんな人を笑顔にさせたり、人のために何かできることをしたり、とにかく自分らしく生きていきたいと思います」【宇多川はるか】