盗撮した男性から現金を脅し取ろうとしたとして、「私人逮捕系」ユーチューバーの男2人が逮捕された事件で、うち1人が調べに対し、「金が受け取れれば動画を消していた」と供述していることが捜査関係者への取材でわかった。
神奈川県警は2人が盗撮者の弱みにつけ込んで恐喝行為を繰り返し、支払われなかった場合は、取り押さえる様子を撮影した動画を投稿していたとみている。(佐藤官弘)
■弱みにつけ込み
神奈川県警戸部署の発表などによると、逮捕されたのは横浜市神奈川区の33歳の男と鶴見区の34歳の男。2人は昨年8月15日、西区の横浜駅周辺で、盗撮していた20歳代男性に警察へ連れて行くなどとほのめかし、引き留めた際に手を痛めたと言いがかりをつけて現金を脅し取ろうとした疑い。男性が交番に被害を訴えた。33歳の男は「身に覚えがない」、34歳の男は「恐喝はしていない」と否認し、うち1人は「折り合いがつけば動画を消してお金を受け取っていた」とも供述しているという。
捜査関係者によると、2人は2022年から横浜駅周辺などで盗撮したと決めつけた人に同様の行為を繰り返していた。実際に盗撮していた人もおり、「今後の人生どうなるんだろう」と弱みにつけ込み、警察への口止め料などを受け取っていたとみられるという。
■動画で広告収入
2人は昨年からユーチューバーとして活動し、金銭が支払われなかった場合は、相手を取り押さえる様子を撮影した動画をユーチューブに投稿していたという。
ユーチューブでは、再生数やチャンネル登録者が一定数を超えれば広告収入が得られる。盗撮者を逮捕して警察に引き渡す人はSNS上などで「盗撮バスター」と呼ばれており、動画メディアに詳しい東京経済大の北村智教授は「刺激的な映像を投稿することで再生回数を稼ぎ、収益をあげようとするユーチューバーは少なくない」と語る。
■誤認逮捕の恐れ
現行犯の場合、一般人でも犯人を逮捕することはできる。ただ、最近では「私人逮捕系」ユーチューバーが犯罪と無関係の人を犯人と決めつける動画をインターネットに流したり、不当に拘束したりした疑いで逮捕される事件も起きている。今回と同様の恐喝事件で被告を弁護したことがある岡本裕明弁護士は「法と犯罪事実に基づいて逮捕権を行使する警察官などと異なり、一般人が逮捕を繰り返す行為は、誤認逮捕や無実の人を不当に拘束する危険がある」と指摘している。