北朝鮮による3日朝のミサイル発射を受け、全国瞬時警報システム(Jアラート)が宮城、山形、新潟の3県を対象に発令された。一時は「日本の上空を通過したとみられる」と発表され、自治体職員らが被害の確認などにあたった。Jアラート発令は10月4日以来で、漁業関係者や祝日の観光地を訪れていた人たちからは「慣れが出てしまう」との声もあった。
【北朝鮮、連日のミサイル 11月3日は朝から3発】 「頻繁に起きているので正直『またかや』と。政府には北朝鮮をけん制する発信を続けてほしい」。最近相次いでいる北朝鮮のミサイル発射に、宮城県漁業協同組合気仙沼総合支所の男性職員(60)はため息をついた。一時は「ミサイルは上空を通過し、太平洋に落下したとみられる」との情報が流れ、その後に修正されたことには「二転三転するのも困る。予測の精度を上げてほしい」と話す。

日本三景の一つ、松島は全国旅行支援が実施されている中で紅葉シーズンを迎え、大勢の観光客が訪れていた。栃木県から家族4人で来ていた30代男性は「一瞬怖いと思ったが結局何も起きず。Jアラートに慣れすぎて、あまり緊急性を感じなくなってしまっている」と漏らした。 山形県酒田市の酒田港では、漁協職員約30人がイカ釣り船「第86若潮丸」(199トン)の水揚げ作業の真っ最中にJアラートが鳴り響いた。港内が緊迫する中、職員らは不安げな表情で作業を続けていた。 北朝鮮に近い大和(やまと)堆(たい)西側の日韓暫定水域での操業から戻ったばかりの船団長、本間健さん(66)は「またか」と顔をしかめた。「自分の船や仲間の船にミサイルが当たるかもと肝を冷やした。もう何十発も発射されているが、乗組員の命を預かっているので、そのたびに不安でいっぱいだ」と話した。 新潟県庁では午前9時過ぎ、担当職員や県警関係者らによる緊急の会議が開かれた。ミサイル発射で新潟県がJアラート発令の対象とされたのは2017年9月以来5年ぶりだったが、県危機対策課の担当者は「混乱はなかった」と述べた。会議では、東京電力柏崎刈羽原発に異常はないことや、漁船などにも被害がないことが確認された。 総務省消防庁によると、新潟県関川村で防災行政無線の設備不具合に伴うトラブルがあったものの、対象地域の全市町村では何らかの手段でJアラートの情報が伝達されたという。 またJR東日本によると、東北新幹線と上越新幹線、北陸新幹線のそれぞれ一部区間で午前7時50分ごろ、安全確認のため運転を停止した。いずれも午前8時6分に運転を再開した。国土交通省は午前11時から幹部会議を開き、航空機や船舶などの被害は確認されていないことが報告された。【平家勇大、百武信幸、長南里香、内田帆ノ佳】「挑発やめて」大阪のコリアタウンにも衝撃 在日コリアンが多く住む大阪市生野区のコリアタウンにも衝撃が広がった。この日は祝日とあって、街は多くの観光客らでにぎわっていた。 商店街で韓国の餅菓子を販売する在日3世の男性店主(61)は午前8時ごろ、テレビのニュースで発射を知ったという。男性は「最近はミサイルの発射が頻繁で異常だと思っていた。米韓も合同訓練をやっているが、けん制や挑発はやめて、早く情勢が安定してほしい」と願った。 鹿児島県から観光に訪れていた女性(60)は「ソウルでは梨泰院(イテウォン)の雑踏事故があったばかり。国際的に弔意が広がっている中で、何でこんなことをするのか」と憤った。【松室花実】
「頻繁に起きているので正直『またかや』と。政府には北朝鮮をけん制する発信を続けてほしい」。最近相次いでいる北朝鮮のミサイル発射に、宮城県漁業協同組合気仙沼総合支所の男性職員(60)はため息をついた。一時は「ミサイルは上空を通過し、太平洋に落下したとみられる」との情報が流れ、その後に修正されたことには「二転三転するのも困る。予測の精度を上げてほしい」と話す。
日本三景の一つ、松島は全国旅行支援が実施されている中で紅葉シーズンを迎え、大勢の観光客が訪れていた。栃木県から家族4人で来ていた30代男性は「一瞬怖いと思ったが結局何も起きず。Jアラートに慣れすぎて、あまり緊急性を感じなくなってしまっている」と漏らした。
山形県酒田市の酒田港では、漁協職員約30人がイカ釣り船「第86若潮丸」(199トン)の水揚げ作業の真っ最中にJアラートが鳴り響いた。港内が緊迫する中、職員らは不安げな表情で作業を続けていた。
北朝鮮に近い大和(やまと)堆(たい)西側の日韓暫定水域での操業から戻ったばかりの船団長、本間健さん(66)は「またか」と顔をしかめた。「自分の船や仲間の船にミサイルが当たるかもと肝を冷やした。もう何十発も発射されているが、乗組員の命を預かっているので、そのたびに不安でいっぱいだ」と話した。
新潟県庁では午前9時過ぎ、担当職員や県警関係者らによる緊急の会議が開かれた。ミサイル発射で新潟県がJアラート発令の対象とされたのは2017年9月以来5年ぶりだったが、県危機対策課の担当者は「混乱はなかった」と述べた。会議では、東京電力柏崎刈羽原発に異常はないことや、漁船などにも被害がないことが確認された。
総務省消防庁によると、新潟県関川村で防災行政無線の設備不具合に伴うトラブルがあったものの、対象地域の全市町村では何らかの手段でJアラートの情報が伝達されたという。
またJR東日本によると、東北新幹線と上越新幹線、北陸新幹線のそれぞれ一部区間で午前7時50分ごろ、安全確認のため運転を停止した。いずれも午前8時6分に運転を再開した。国土交通省は午前11時から幹部会議を開き、航空機や船舶などの被害は確認されていないことが報告された。【平家勇大、百武信幸、長南里香、内田帆ノ佳】
「挑発やめて」大阪のコリアタウンにも衝撃
在日コリアンが多く住む大阪市生野区のコリアタウンにも衝撃が広がった。この日は祝日とあって、街は多くの観光客らでにぎわっていた。
商店街で韓国の餅菓子を販売する在日3世の男性店主(61)は午前8時ごろ、テレビのニュースで発射を知ったという。男性は「最近はミサイルの発射が頻繁で異常だと思っていた。米韓も合同訓練をやっているが、けん制や挑発はやめて、早く情勢が安定してほしい」と願った。
鹿児島県から観光に訪れていた女性(60)は「ソウルでは梨泰院(イテウォン)の雑踏事故があったばかり。国際的に弔意が広がっている中で、何でこんなことをするのか」と憤った。【松室花実】