全国各地で桜が見ごろを迎えている。なかでも「目黒川桜まつり2025」が開催される東京都・目黒川沿いは、毎年特に多くの人出が予想されている。そこで今回、昨年の花見シーズンに「入店まで6時間待ち」を記録した、目黒川沿いの人気カフェ「スターバックス リザーブ ロースタリー東京」の現地ルポを実施。同店舗は、外国人観光客からも高い人気を集めている一方で、その激しすぎる混雑をめぐっては、これまでに利用者からさまざまな声が寄せられている。
〈画像あり〉5時間待ちでも注文したい…外国人観光客が列をなす限定カクテル
日本気象協会によると、東京都における今年の桜の満開は3月31日と予想されており、各地で混雑が見込まれている。
なかでも「桜の名所」として知られる目黒川沿いでは、例年、多くの花見客でにぎわう様子が春の風物詩となっている。さらに、3月29日(土)から30日(日)にかけては「中目黒桜まつり2025 」が開催されることから、この2日間は混雑のピークを迎えると予想されている。
最近ではインバウンド需要の回復により、花見を楽しむ外国人観光客の数も年々増加傾向にある。なかでも、中目黒駅および池尻大橋駅から徒歩約14分の場所に位置する「スターバックス リザーブ ロースタリー東京」(以下、ロースタリー東京)は、外国人観光客の間でも人気の観光名所として評判だ。
そこで今回、「中目黒桜まつり2025」の開催前日にロースタリー東京を訪れ、その実態を調査してきた。
ロースタリー東京は目黒川沿いに位置し、テラス席から満開の桜を一望できることから圧倒的な支持を集めており、過去の花見シーズン には前代未聞の「入店まで6時間待ち」を記録。こうした状況を受け、QRチケットの発行 やオンラインによる前日予約の導入 といった対策が講じられている。
店舗関係者は、こうした対策に至った背景について、次のように語る。
「SNSの影響もあり、観光客は年々増えています。そのため、システムが改良されていて、かつては紙で整理券を配付していたのが、前日にオンライン予約ができるようになりました。オンライン予約をしていなかった場合でも、店舗の隣のビルでQRチケットを発行することができます」(ロースタリー東京の関係者)
QRチケットを発行した場合は、自身の順番が近づくと登録したメールアドレスに通知が届き、通知から2時間以内であれば入店が可能となる仕組みだ。なお、「中目黒桜まつり2025」の開催期間中は特に混雑が予想されており、QRチケットを利用した場合でも、およそ5~6時間の待ち時間が発生する見通しだという。
また前出の関係者は、店舗の混雑状況について次のように続けた。
「開店時間は朝8時ですが、今日はその前にすでに30人ほどの行列ができていました。お花見シーズンは連日、朝早くから長蛇の列ができます。
今年はまだ桜が満開ではないにもかかわらず、平日の昼間でも3時間待ちは当たり前で、2時間待ちなら空いているほうです。桜が散るまでは、土日では6時間待ちになることも珍しくありません。
日本人のお客様は、事前にオンラインで予約される方が多いです。ただ、外国人観光客の中には、前日に予約できることを知らずに来店され、戸惑う方も多く見受けられます」(ロースタリー東京の関係者)
実際、ロースタリー東京の周辺には、QRチケットの順番を待つ人々が列をなしており、賑わいを見せていた。
韓国から訪れた女性(30代)は、同店舗が外国人観光客から高い人気を集めている理由について、次のように語った。
「この店舗のように『スターバックス リザーブ ロースタリー』と名付けられているスタバは特別で、世界にわずか4カ国、合計6店舗しか存在しません。私の国にはないので、とても楽しみにして来ました。でも、平日の昼間でも3時間待ちとは驚きです。これから訪れる人には、絶対に前日予約をおすすめします」
一方で、混雑の激しさに対して、怒りや落胆の声を上げる外国人観光客の姿も多く見受けられた。
「スタバから桜が見えるというだけで、こんなに待たされるとは思わなかったよ! もう帰る!」(イギリス人男性・40代)
「SNSですごく話題になっていたから来たけど、当日だと席の指定ができないみたいでガッカリ……。せっかくなら窓際の席で、桜を背景に“映える”写真を撮ってSNSにアップしたかったのに!」(中国人女性・30代)
「待ち時間が長すぎるから中に入るのはあきらめました。せめて桜と一緒にスタバに来た記念写真をInstagram用に撮ろうと思ったのに、人が多すぎて、きれいな写真が全然撮れないよ!」(韓国人男性・30代)
「コーヒーのために何時間も待つなんてクレイジーだよ。そもそもスタバは僕の国発祥なんだから、待つのをやめて寿司を食べに行くことにするよ」(アメリカ人男性・40代)
「事前予約できるなんて知らなくて後悔しています。中に入るのはあきらめて、タンブラーだけ買って帰ろうと思います。この限定タンブラーは観光客の間でも人気だし、これさえあれば“スタバに行った”という記念になりますから」(フィリピン人女性・30代)
試しに取材班もQRチケットを発行してみたところ、平日の17時台にもかかわらず、なんと2時間待ち。2時間待ってようやく入店できたものの、 店内は非常に混雑しており、席の確保も一苦労。そのうえ、注文するにも長蛇の列に並ばなければならない。
店内を見渡すと、客の過半数が外国人観光客だったが、春休みシーズンということもあり、日本人の学生の姿もちらほら見られた。
奈良県から訪れたという女子大学生(20代)は、次のように驚きを語った。
「春休み中の旅行で東京に来たので、せっかくだからここでしかできない体験をしようと思いました。日本のスタバでお酒を提供しているのはロースタリー東京だけなんです。でも、カクテルが1杯2200円もして、びっくりしました(笑)」
また、神奈川県から来たという女子大学生(20代)は、外国人観光客と同様に混雑への不満を口にした。
「やっと中に入れたと思ったら、席を確保するのに1時間近くかかりました。何も注文せずに長時間居座っている外国人観光客も多くて……。時間制限を設けるなどの対策をしてほしいですね」
いまや世界的に注目を集めるロースタリー東京だが、その一方で、現場にはさまざまな課題が見え隠れしている。来年の花見シーズンには、さらなる改善が求められるかもしれない。
※「集英社オンライン」では、今回の記事に関連してオーバーツーリズムに関する情報を募集しています。下記のメールアドレスかX(旧Twitter)まで情報をお寄せください。メールアドレス:[email protected](旧Twitter)@shuon_news
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班