6月下旬から続いていた30度を超える真夏日が、7月の声を聞いても続いていた関東地方。
7月1日の神奈川県横浜市の新横浜駅構内では、あわただしく行きかうワイシャツ姿のサラリーマンやインバウンドの観光客らに混じって、ネクタイにスーツ姿の屈強な男たちが朝早くから集まっていた。構内で待機している彼らの中には、高級果物店の紙袋を手に持つ者もいる。その周辺では、神奈川県警の捜査員数人が警戒のため張り付いていた。
神奈川県有数のターミナル駅・新横浜駅で、一体何が起こっていたのか。
「横浜市に最大拠点の稲川会館を持つ暴力団・稲川会の最高幹部たちです。この日は、親戚団体の六代目山口組に『暑中の挨拶』をするために集まっていました。高級果物店の紙袋は手土産でしょう。六代目山口組は、今日から3日間、静岡県・愛知県の二次団体で出迎える体制を取っており、全国の六代目山口組の親戚・友好団体が挨拶に集まります。
その一番手が稲川会。六代目山口組・竹内照明若頭(65)と稲川会の内堀和也会長は、『五分の兄弟盃』を交わしていることもあって、両組織の関係は長く深い。現地では司忍組長(83)以下、最高幹部が出迎えます。毎年の恒例行事ですが、お互いの結束を確認しあう、渡世では大事な行事なのです」(暴力団業界に精通しているジャーナリスト)
午前9時過ぎ、センチュリーに乗った内堀会長が駅に到着。待機していた最高幹部組員数人とともに新幹線に乗り込んだ。その表情は柔らかく、慣れ親しんだ恒例行事ということもあってか、終始リラックスしているように感じられた。
「暑中の挨拶」が終わった翌日の4日、内堀会長の姿は、東京・六本木の稲川会の本部会館にあった。福岡県に本部を構える友好団体の道仁会の最高幹部が、「暑中の挨拶」に訪れたためだ。
「道仁会の小林哲治前会長は、分裂抗争中の六代目山口組と神戸山口組の間に入って抗争終結に向けて動いていたことで知られており、神戸の井上邦雄組長(76)と会談した時も、引退を持ちかけたともいわれています。今年4月上旬、六代目山口組は一方的に兵庫県警に抗争終結の『誓約書』を出していますが、この下地作りに奔走したのが内堀会長です。こうした経緯もあって、その関係はより深まっているのではないでしょうか」(全国紙社会部記者)
午前11時過ぎ、神奈川県警と警視庁の捜査員数人が警戒にあたる中、内堀会長が本部会館に到着。出迎えの組員の「お疲れさまです!」の声が飛び交うなか会館に入っていったが、恒例行事の友好団体の挨拶の出迎えのためか、その表情は柔らかかった。
午前11時半、道仁会の最高幹部ら数人が到着。15分ほどの挨拶を終えると、稲川会館に迎えに来ていた住吉会の車に乗り、そのまま住吉会に移動していった。
連日の積極外交を見せた内堀会長。その中でも気になるのは、やはり六代目山口組との関係性だ。前出のジャーナリストが語る。
「抗争終結の下地を作ったのは、ほかならぬ内堀会長です。『暑中の挨拶』で一番手だったことからも、六代目山口組との関係が強固であることが分かります。六代目山口組では、竹内若頭が若手登用の『改革人事』を行うなど、新体制作りを着々と進めている。両組織の関係は、今後より密接になっていくでしょう」
渡世に大きな影響を与えてきた「山口組分裂抗争」は、今年8月下旬に丸10年が経過する。神戸山口組が不気味な沈黙を続ける中、各団体は次を見据え、積極的な外交を続けているのだ。