先の自民党総裁選で高市早苗氏(64)が小泉進次郎氏(44)優勢の下馬評を覆し、史上初の女性総裁の座を射止めた。
勝因は多々あるが、大きかったのはやはり“キングメーカー”麻生太郎氏(85)の存在だろう。
「結局はボス(麻生氏)が議員票を差配した。細かい貸し借りを作って、決選投票で高市氏を勝たせた。今年で85歳。老いてなお壮健ということだろう」
とは全国紙政治部記者。他方で自民党の「解体的出直し」を掲げるなか、派閥政治に回帰したという評価もある。
“勝ち確”とまで言われながら敗北した小泉氏には落胆の声が多く聞かれる。地元神奈川の有権者も
「まさか負けるとは……」
と嘆息する。これで総裁選は2連敗。「将来の総理」とおだてられてきた男の行く末は危うい。
「昨年はともかく、今回の総裁選を落としたのは痛い。決選投票直前のスピーチは中身がなく、熱意も感じなかった。三度目の正直……という言葉はあるが、もう厳しいのではないか。“総理になりたくてもなれない男”のイメージになった」(自民党関係者)
早ければ10月中旬にも首班指名選挙が行われる。野党が統一候補を立てる可能性も出てきているが、道のりは険しく、このまま高市新首相となる公算が大きい。
今後の政権運営においては、高市氏よりも、後見人の麻生氏の“脳内”を解読することが重要だ。
まず連立相手だが、長年自民党と協力関係を築いてきた公明党との間にすきま風が吹いていることは事実だ。
総裁選に勝利した高市氏に公明党の斉藤鉄夫代表(73)が、政治とカネの問題や歴史認識を巡り異例の忠告をしたのがその表れ。加えて麻生氏は“大の公明党嫌い”といわれるが……。
「結局のところ、公明党は自民党と連立を続けることになるのでは」
と話すのは、政治評論家の有馬晴海氏だ。本サイトの取材に対し、
「“福祉と平和”をうたう公明党の支持母体である創価学会の信者にとっては、靖国参拝する高市政権に対して“手伝えるか”という思いは強い。また清廉性を求める彼らにとって、“裏金議員”である萩生田光一氏(62)の幹事長代行への起用も許せないのでしょう。そんな支持者たちの不満を斉藤鉄夫代表は自民党にぶつけている。自民党は公明党の支援がないと、50人ほど落ちるといわれています。ただ、公明党側も政治的に力をつけないと党勢を維持するのは難しい。25年も連立を維持しているということもあり、元サヤに収まるでしょう」
と見立てる。協議を重ね、共に“落としどころ“を見つける作業となる。
もっか新たなパートナーとして名前が挙がるのが玉木雄一郎氏(56)率いる国民民主党だ。総裁選の前後で党No.2の榛葉賀津也氏(58)は麻生氏と面会を重ねた。
「麻生氏の大本命は国民民主との連立だ。高市氏と国民民主の政策は近く『組める』という判断。国民民主が実現を望むガソリン減税と“年収の壁”議論を速やかに解決し、それを手土産に取り込みたい考えだろう。高市+玉木という二枚看板は保守層に響くと考えている」(政界関係者)
高市氏は早期の衆院解散を否定している。総裁選告示日の9月22日には記者団の問いに
「(解散は)考えられないことだ」
と強調。しかし、麻生氏の頭の中には常に「選挙」のことがあるという。
少数与党である以上、衆参で法案を通すには逐一野党との協議が必要。この形式が「不健全」というのが持論なのだ。前出の自民党関係者が声をひそめる。
「政界では『すぐの選挙はない』と断言する人もいるが、甘く見ないほうがいい。“鉄は熱いうちに打て”だ。政権基盤を固めたあと、年内もしくは年明けにも動きがあってもおかしくない」
石破政権下で離れてしまった保守層の支持は、高市効果で急速に戻りつつある。実際に最新のJNNの世論調査では、高市新総裁に「期待する」と回答した人は66%にのぼったという。
前出の政治評論家・有馬晴海氏は、
「一時的に自民党の支持率が上がるかもしれませんが、怖くて解散を決断することはできないでしょう。参政党も議席を伸ばすでしょうし、その割を食うのは自民党ですからね。1~2年しっかり仕事をして評価してもらうことが必要では」
と分析する。
高市首相となり日本の右傾化は避けられず、トランプ米大統領は歓迎だろうが、中国との関係悪化は懸念される。積極財政による物価高も予想される。
果たして国民生活はどうなるのだろうか――。