“食材の大きさ不適切”と指摘 1歳男児が給食の肉つまらせ死亡 通報の遅れも…札幌市に検証報告書

札幌市北区の私立認可保育所で2024年10月、1歳の男の子が給食中に食べ物を喉につまらせ死亡した事故で、検証ワーキンググループは2025年9月10日、札幌市長へ検証報告書を提出しました。報告書では「離乳食の食材の大きさが男の子の咀嚼力に適合していなかったこと」や「119番通報が遅れた可能性」などが指摘されました。
この事故は、札幌市北区の私立認可保育所「アイグラン保育園拓北」で2024年10月、1歳の男の子が給食中に肉を喉につまらせ死亡したものです。

死亡した男の子は0歳児のクラスに入っていて、園児5人に対し、職員は2人。職員が1対1で食事の介助をしていました。検証ワーキンググループが9月10日に提出した報告書によりますと当時、男の子が食べ物を喉に詰まらせた様子を見せたため、園は救命措置を行い119番通報。男の子は病院へ搬送されましたが、死亡が確認されました。死因は、食事に含まれていた薄切り肉が気道内に詰まったことに伴う気道閉鎖による窒息だったということです。
具体的な事故の原因として、提供された食材の大きさが、男の子の咀嚼力に適合しておらず、適切でなかったことを指摘しました。園職員の間で男の子の咀嚼・嚥下力の状況や乳歯が生えているかなどの情報が共有されておらず、離乳の段階について認識に相違があったということです。また、園は家庭での食事に関する情報を得ることができていなかったとされています。離乳食に関する指針やマニュアル等に示された食材の大きさの目安には、解釈の幅が出る余地があり、現場の判断を難しくしていることも問題点として指摘されました。
さらに報告書では、当時マニュアルと異なる救命措置がとられていて、大声で人を呼んだり、119番に連絡することなく救命措置(背部叩打法)に移行したため、119番通報が遅れた可能性を指摘。園のマニュアルについて目を通していない職員がいたり、職員間での読み合わせが行われていなかったなど、安全管理に関する組織的な対応に問題があったとしています。報告書では再発防止に向けて、児童ひとりひとりの発達状況を正確に把握し、複数の担当者間で認識内容について確認しあう必要があるとしていて、各園において実践的な研修を実施するよう、啓発の強化を求めることなどを提言しました。