横断歩道渡っていた88歳女性を乗用車ではねて死亡させ逃走か…51歳男を逮捕 東京・板橋区 容疑を否認

先月5日、東京・板橋区の路上で横断歩道を渡っていた88歳の女性を乗用車ではねて死亡させ、そのまま逃走したとして51歳の男が逮捕されました。 ひき逃げなどの疑いで逮捕された板橋区の会社員・牧野利充容疑者(51)は、先月5日の午後1時半すぎ、板橋区の路上で、徒歩で横断歩道を渡っていた近くに住む塩井久美子さん(88)を乗用車ではねて死亡させ、そのまま逃走した疑いがもたれています。 警視庁によりますと、塩井さんは1人で歩いていたところ、牧野容疑者の乗用車にひかれて頭を強く打ち、事故から10日後に死亡しました。 防犯カメラなどの捜査で逮捕に至ったということで、牧野容疑者の乗用車の左前方部分には人とぶつかったような傷があったということです。 取り調べに対し、牧野容疑者は「歩行者にぶつかってはいません」と容疑を否認しています。

《おじさんの居場所は残るのか》『サ道』作者・タナカカツキ氏が課題視するサウナ施設の現在「裸の行列ができる」「空いているけどやたら高級…」

2000年代前半から始まったとされる昨今のサウナブーム。2025年になった今、一時期ほどの過熱ぶりはひと段落したようにも見えるが、その熱はいまだ広がり続けている。厚生労働省の「衛生行政報告例」によると、公衆浴場の軒数は全体的に減少してはいるものの、サウナ施設やスーパー銭湯など、“銭湯以外”の公衆浴場は緩やかに増加している。
【写真】公益社団法人日本サウナ・スパ協会が認定する日本唯一の「サウナ大使」であるタナカ氏。楽しみ方が多様化しているサウナの様子を紹介
昨今のサウナブームを盛り上げてきた、「ととのった~!」のセリフで知られる『マンガ サ道』。作者のタナカカツキ氏は、公益社団法人日本サウナ・スパ協会が認定する日本唯一の「サウナ大使」だ。大使に、ブームが定着した今だからこそ見えてきたサウナの現在地、そしてこれからについて伺った。【前後編の後編。前編を読む】
『サ道』がドラマ化された2019年以降、ドラマで舞台となったサウナをはじめ、人気施設の大混雑がたびたび話題となった。入場制限を行う施設が増え、サウナ室の前では裸の行列ができるような事態に……。ドラマ『サ道』で主人公らが行きつけにしていた上野の『サウナ&カプセルホテル北欧』は混雑時間帯の完全予約制を導入した。
「いまだにサウナブームって言われるけど、私は違うと思うんです。例えば、今日本では20人に1人がヨガをやっているそうですよ。本当にたくさんの人がやっているけど、今はヨガブームって言わないでしょう。それってヨガが日常のなかで定番になってきたから。サウナも定番になってきたということなんじゃないかと思います」
一方で、前述のような施設の混雑については、タナカ氏も課題感があるという。
「サウナ室の前で裸の行列ができるとか、空いているところはやたら高級で、お金ありきの楽しみみたいになってしまっているのは大問題です。サウナ施設は今どんどん増えているけど、まだまだ足りない。
私は、サウナを“インフラ”として整備してもいいんじゃないかと考えているんです。情報化社会でデジタルデトックスなど、メンタルケアの重要性が高まってきていますよね。それがすぐにできるサウナに、国が政策として向き合って、施設そのものをどんどん増やしていく必要があるんじゃないかなとわりと本気で思っています」
ライフスタイルの変化とともに人々の「休み方」も変化してきた。サウナもまた、新しい形を模索する施設が増えてきているという。
「佐賀県にある『らかんの湯』という施設は森に囲まれていて、浴室内にも大きな岩や木が鎮座し、張り紙や時計など余計な情報が極限まで少なく、神社みたいな緊張感があるんです。人工的な賑わいもなくて、そんな浄化されるようなサウナ施設が実現していることに驚きました。美しい振る舞いをしなくては、という空気があって、人間としての尊厳を思い出すような……そんな気分になります」
こうした感覚を得ることが今を生きる人々にとって重要だと、タナカ氏は続ける。
「スマホひとつで娯楽などさまざまな情報に触れられる今、疲れているのは脳のほう。映画やゲームなど映像からの単純な刺激ではなく、自然に触れたり、美味しいものを食べたり、お湯に浸かったり、五感全体が喜ぶような、そんな休み方に注目しています。感覚が満たされることで思考が一旦止まって、脳を休められるイメージです。
あとは瞑想のような休み方もいいと思います。刺激を減らし、心身を休めてみると、頭の中が整理されたり、新しいアイディアが思い浮かんだりする。
最近ではメディテーション(瞑想)がテーマのサウナ施設が増えていますが、気持ちを正してくれるような“浄化型のサウナ”が今、世間から求められているんじゃないでしょうか」
そうしたサウナが注目されると、「昭和」を感じさせるノスタルジックなサウナや、スーパー銭湯などの賑わいなど、かつての「自分たちの場所」から追い出されてしまったおじさんの行方も気になるところだ。
「おじさんの居場所、なくならないと思いますよ。女性が増えているとはいっても、やっぱりまだまだ男性のユーザーが多いですよね。男性専用の施設もいまだに作られている。それに、サウナ室のテレビで野球や相撲を見て盛り上がる、不思議な一体感みたいなものも多様な楽しみ方のひとつです。
そういう風景は少なくなっていくのかもしれないですけど、残ってほしいな、とは思います。みんな同じ方向に向かっていく必要はなく、例えばメディテーションの逆張りで、みんなでテレビを見て盛り上がる『テレビジョンサウナ』とか、エンタメに振り切ったサウナみたいなものも出てくるかもしれませんよ」
かつてのサウナに比べると、世の中のニーズに合わせ、サウナ室や水風呂の温度、充実した館内設備に恵まれた施設が増えた。昨今はサウナの「スペックバブル」な時代でもある、とタナカ氏は話す。そんな時代だからこそ、スペックの競争が終わり、次は「人」に注目が集まるのでは、と予想しているそうだ。
「2014年、ヨーロッパを訪れて、さまざまなサウナ文化に触れました。バルト三国にある湖畔の小屋のサウナや、ドイツの巨大な遊園地みたいなサウナにも行きましたよ。後者は『東京ディズニーシー』くらいの広さで、サウナが35種類もあるんです。ヨーロッパでは、若い人たちや女性にもサウナが大人気なんですね。健康意識が高いのかもしれません。
今って、いろいろ自分で決めないといけない時代じゃないですか。少なくともサウナの中では決めなければいけない悩みから解放されたいと思うんですよ。体のことって、わかっているようで自覚できていないことがたくさんありますよね。
たとえばサウナに入る前に『最近どうですか? 眠れてますか』なんて会話をして、それから顔色などもみて、その人に合ったプログラムを考えてくれる。そういう、個別にサウナ体験を最適化してくれるようなサービスが、より価値を持つ時代がくると思っています」
そうしたなかタナカ氏が総合プロデュースしてきたのは「渋谷SAUNAS(サウナス)」だ。次は2025年12月に「高輪SAUNAS(サウナス)」をオープンさせる。同施設は、そうしたサウナ室内でのプログラムに特化するという。
「もう“どんなサウナ室を作ろう?”という発想はもうやめたんです。今、重要視しているのは“どんなプログラムをやるのか”ということ。『こう動くからここにバケツを置く』『水を撒くから床はこの素材』といったように、プログラムのオペレーションありきの設計を意識しています」
サウナは一時的なブームではなく、生活に根付き、ゆくゆくはインフラとして整備されるべき、とまで将来の“あるべき姿”について語ったタナカ氏。これからプロデュースする施設は、温浴業界に新風をもたらす革新的なサウナになりそうだ。
(了。前編を読む)