先月5日、東京・板橋区の路上で横断歩道を渡っていた88歳の女性を乗用車ではねて死亡させ、そのまま逃走したとして51歳の男が逮捕されました。 ひき逃げなどの疑いで逮捕された板橋区の会社員・牧野利充容疑者(51)は、先月5日の午後1時半すぎ、板橋区の路上で、徒歩で横断歩道を渡っていた近くに住む塩井久美子さん(88)を乗用車ではねて死亡させ、そのまま逃走した疑いがもたれています。 警視庁によりますと、塩井さんは1人で歩いていたところ、牧野容疑者の乗用車にひかれて頭を強く打ち、事故から10日後に死亡しました。 防犯カメラなどの捜査で逮捕に至ったということで、牧野容疑者の乗用車の左前方部分には人とぶつかったような傷があったということです。 取り調べに対し、牧野容疑者は「歩行者にぶつかってはいません」と容疑を否認しています。
世田谷ストーカー殺人事件裁判「『オッパオッパ』と悲鳴が」被告人と対峙した被害者の元夫が悲痛の訴え
交際相手の女性の首にナイフを突き刺して殺害し、殺人罪などに問われた男の裁判員裁判が8月19日から東京地裁で行われている。
事件は昨年9月1日の白昼に発生した。東京・世田谷で、韓国籍のパク・ヨンジュン被告(31)は交際相手だった女性、韓国籍のバン・ジ・ウォンさん(当時40)を殺害。パク被告は、殺人および、ストーカー規制法違反の罪に問われている。
「8月19日の初公判でパク被告は、『殺意を持って殺人を行ったわけでない』と殺意を否定。ストーカー規制法違反については認めています。検察によると、2人はSNSで知り合い、昨年4月ごろから遠距離恋愛を始めています。同8月にパク被告が来日した際、交際を巡ってトラブルになり、パンさんは警察に相談。警察がパク被告に帰国を促し成田空港まで送り届けましたが、パク被告は搭乗をキャンセルします。同8月29日からバンさんの家に押しかけたり、SNSでメッセージを送るなどのストーカー行為を繰り返していました。
9月1日、朝からバンさんの職場で待ち伏せをし、首を刺して殺害したとされます。世田谷区内の閑静な住宅街で起きた事件ということもあり、当時、『世田谷ストーカー殺人事件』とワイドショーが大々的に報じ、大きな話題になりました」(全国紙社会部記者)
8月19日の初公判でパク被告の弁護側は、
「バンさんが元夫との電話でパク被告について悪く言っているのを聞き、傷ついた」
と主張。
「ナイフは自殺のために持っていたもので、もみ合いになりナイフが刺さってしまった」
などと訴えた。
続く8月20日の公判ではバンさんの元夫が証人尋問に出廷。パク被告と対峙した。
パク被告は白のワイシャツにベージュのジャケット姿で弁護人の横に着座。色白の丸顔で、くせ毛をセンター分けにした髪型は、実年齢よりも幼い印象を与えた。元夫は痩身で後ろとサイドを刈り上げた髪型は精悍そのもの。パク被告とは対照的だ。
検察は元夫にバンさんとの出会いから質問。以下、元夫が語った2人の馴れ初めから事件までの経緯である。
元夫が高校1年生、バンさんが中学3年生の時に2人は韓国で出会い、’15年に結婚。2人でアパレル関係の仕事を続け’18年に来日している。バンさんの人柄について、「仕事がよくできる人。普通の人よりちょっと怖がりなところがある」と話す。2人は’25年3月に離婚したが、ビジネスパートナーとしての関係は続いていた。
’25年4月に元夫のインスタグラムに突如、パク被告からDMが届いた。パク被告から〈カカオトーク(編集註:無料通話・メッセンジャーアプリ)でやり取りをしたい〉と言われたため、カカオトークで連絡を取ると「自分のほうがおカネがある」「ホテルを経営している」などとマウントを取り、さらに、
「(バンさんと)連絡が取れないから自分に連絡するように言ってほしい」
と一方的に話した。元夫は、
「初対面でこういう話し方はおかしいと思いました。精神的に問題があるのかなと」
と不信感を抱く。パク被告とのやり取りをバンさんに伝えると「ブロックしてほしい」とお願いされた。このとき、元夫は初めて、バンさんからパク被告との関係について聞かされている。
それによると、バンさんはパク被告のDV被害に悩まされており、パク被告の誕生日を韓国で過ごした時に首を絞められたり、両手を強く引っ張られたという。それを見ていた周囲の人が通報し、警察が出動する騒ぎとなった。また、パク被告が昨年8月に来日した後も、頬を何度も平手打ちされることがあった。バンさんは元夫に「(被告が)韓国に帰ってくれない」「どうすれば安全に別れられるか」などと相談していた。
8月29日にパク被告がバンさんの家に押しかけてきたため、警察に相談。警察がパク被告に帰国を促し、8月31日に成田空港まで送り届けたがパク被告が飛行機に乗っていないことが判明。元夫は自身の家にバンさんを避難させた。
しかし、事件を未然に防ぐことはできなかった。
9月1日、元夫とバンさんは世田谷のスタジオで、午前から数人のスタッフとともに仕事を行っていた。13時半ごろにバンさんが電子タバコを吸うためにスタジオの外に出ると「オッパ、オッパ」という悲鳴が響き渡った。
検察が「オッパとはどういう意味ですか?」と質問すると元夫は、
「日本語で『お兄さん』という意味で、親しみを込めて呼ぶ時に使い、私のことです」
と説明。悲鳴を聞き「被告人が来たと思った」と元夫がスタジオの外に出ると、
「大量に出血したバンさんと黒い服を着て逃げる人が見えました」
と話す。犯人を追いかけようとしたが、バンさんが大量に出血し、下唇を震わせていたためその場にとどまり、止血をしようと左手でバンさんの首を押さえたという。そのときの様子を、元夫はジェスチャー混じりで説明。救急車が到着するまでの間、意識のないバンさんに、
「『もう少しだけ耐えてくれ』と何度も声をかけました」
と証言。元夫も救急車に同乗したが、搬送先の病院でバンさんの死を告げられたという。元夫が涙ながらに証言する間も、パク被告に表情の変化は一切見られなかった。
次にパク被告の弁護士による反対尋問が行われた。「なぜ離婚をしたんですか」と尋ねられると元夫は「以前から赤ちゃんに対する摩擦がありました」と子どもを持つべきかの考え方に違いがあったと説明。そしてもう1つの理由が被告人の存在だったという。
「(離婚前からパク被告と)連絡を取っていることを知っていました。スマホが開けたままになっていて、カカオトークのやり取りが見えました。(内容は)男女の関係がいい時にするやり取りでした」
と男性の影を感じたこともあり、「双方から言い出した」と離婚を選択した。
弁護士は元夫とバンさんとの離婚後の関係について重点的に質問を繰り返す。離婚後もバンさんの母親と妹が来日した際には一緒に食事に行ったり、作りすぎたキムチをバンさんに届けたこともあったという。バンさんへの思いを問われると、
「離婚をしたが悪い感情はなく良き友達で、良きビジネスパートナーでした」
と偲んだ。元夫とバンさんは離婚後に新しい関係を構築していたが、パク被告の歪んだ感情により断絶されてしまった。近日、パク被告の判決が言い渡される──。