「編集長が二代連続で処分され、『うちの会社のコンプライアンスは大丈夫なのか?』と疑問の声が挙がっています」
【写真】この記事の写真を見る(4枚) こう嘆息するのは、日本経済新聞社の現役社員・A氏である。◆ ◆ ◆けん責処分の理由は? 社内に波紋が広がったのは、8月23日のこと。「社内のイントラ(社員間の情報共有ツール)で、『日経フィナンシャル』編集長と論説委員を兼務するX氏の同日付のけん責処分が発表されたのです。会社からはX氏の処分理由について具体的な説明はなく、『部下へのパワハラではないか』などの憶測を呼びました」(同前)
日経フィナンシャルは、紙の新聞の部数減に歯止めがかからない中、デジタル化を推し進める日経の渾身の一手だった。「一昨年、社運を賭けて始まった新媒体で、“金融の未来を読むデジタルメディア”として華々しく売り出しました」(同前) その価格設定もなかなかの強気だ。強気の価格設定の「日経フィナンシャル」「金融業界でバリバリ働くビジネスマンをターゲットにしたコンテンツが満載で、月額6000円の購読料は日経本紙よりも高額。ですが、会員数はすでに1万6000人を超えました。岡田直敏会長が社長時代に始めた肝煎りの事業。創刊1年目で黒字に転換したことで長谷部剛現社長から社長賞も授与されています」(同前)X氏は将来の社長候補 花形メディアを率いるX氏は有名私大を卒業後の1993年に入社。経済部で金融や財界を担当した後、ロンドンやシンガポール、ニューヨークへの駐在を経て、20年11月に編集長に就任した。「帰国子女で英語がペラペラ。国際金融に明るく、大手メガバンク幹部らにも深く食い込んでいる。社内では王道の経済部出身で海外経験も豊富。同世代にライバルも少なく、将来の社長候補の1人と目されている」(日経社員B氏) そんなX氏に一体何があったのか。小誌が入手した「処罰辞令」のイントラ画面の写しには、X氏の名前とともにこう記されている。〈就業規則第七十七条一項十一号により、けん責とする〉店の店主と揉めて… 就業規則を読むと、同条文には「他人に暴行、脅迫を加え、または迷惑をかけたとき」とある。「X氏は取材熱心で毎晩のように取材先と会食を重ねているのですが、そこで店の店主と揉めてトラブルとなってしまったのです。後日、その店から日経本社にクレームが入って事態が露見。今回の処分となりました」(同前) 実は日経フィナンシャルの編集長が処分されるのはこれが初めてではない。「2年前に初代編集長が後輩記者に悪質なセクハラをしたとして、就任後わずか半年で突然解任され、退社した。その後を託されたのがX氏でした。編集長が二代連続で処分され、社内では“異常事態”といわれています」(同前)日経広報室の回答は X氏の周辺を取材するとこんな声も聞こえてくる。「Xさんは仕事面ではいわゆる“できる男”で経歴もピカピカなのですが、普段から部下に対して歯に衣着せずにものを言うタイプで緊張感が漂っている。その矛先が今回はお店の人に向いてしまったのでは。お酒はなんでもよく飲みますし、飲むととにかく長いんです」(日経社員C氏) 日経広報室に問い合わせると、こう回答した。「ご質問の社員は、社内規定に基づき処分しました。事実関係は公表していません」 酒席での失態に、反省しきりだという昌瓠6睛擦量ね茲脇匹瓩討癲⊆身の未来は読めなかった……。(「週刊文春」編集部/週刊文春 2022年9月8日号)
こう嘆息するのは、日本経済新聞社の現役社員・A氏である。
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社内に波紋が広がったのは、8月23日のこと。
「社内のイントラ(社員間の情報共有ツール)で、『日経フィナンシャル』編集長と論説委員を兼務するX氏の同日付のけん責処分が発表されたのです。会社からはX氏の処分理由について具体的な説明はなく、『部下へのパワハラではないか』などの憶測を呼びました」(同前)
日経フィナンシャルは、紙の新聞の部数減に歯止めがかからない中、デジタル化を推し進める日経の渾身の一手だった。
「一昨年、社運を賭けて始まった新媒体で、“金融の未来を読むデジタルメディア”として華々しく売り出しました」(同前)
その価格設定もなかなかの強気だ。
強気の価格設定の「日経フィナンシャル」
「金融業界でバリバリ働くビジネスマンをターゲットにしたコンテンツが満載で、月額6000円の購読料は日経本紙よりも高額。ですが、会員数はすでに1万6000人を超えました。岡田直敏会長が社長時代に始めた肝煎りの事業。創刊1年目で黒字に転換したことで長谷部剛現社長から社長賞も授与されています」(同前)
X氏は将来の社長候補 花形メディアを率いるX氏は有名私大を卒業後の1993年に入社。経済部で金融や財界を担当した後、ロンドンやシンガポール、ニューヨークへの駐在を経て、20年11月に編集長に就任した。「帰国子女で英語がペラペラ。国際金融に明るく、大手メガバンク幹部らにも深く食い込んでいる。社内では王道の経済部出身で海外経験も豊富。同世代にライバルも少なく、将来の社長候補の1人と目されている」(日経社員B氏) そんなX氏に一体何があったのか。小誌が入手した「処罰辞令」のイントラ画面の写しには、X氏の名前とともにこう記されている。〈就業規則第七十七条一項十一号により、けん責とする〉店の店主と揉めて… 就業規則を読むと、同条文には「他人に暴行、脅迫を加え、または迷惑をかけたとき」とある。「X氏は取材熱心で毎晩のように取材先と会食を重ねているのですが、そこで店の店主と揉めてトラブルとなってしまったのです。後日、その店から日経本社にクレームが入って事態が露見。今回の処分となりました」(同前) 実は日経フィナンシャルの編集長が処分されるのはこれが初めてではない。「2年前に初代編集長が後輩記者に悪質なセクハラをしたとして、就任後わずか半年で突然解任され、退社した。その後を託されたのがX氏でした。編集長が二代連続で処分され、社内では“異常事態”といわれています」(同前)日経広報室の回答は X氏の周辺を取材するとこんな声も聞こえてくる。「Xさんは仕事面ではいわゆる“できる男”で経歴もピカピカなのですが、普段から部下に対して歯に衣着せずにものを言うタイプで緊張感が漂っている。その矛先が今回はお店の人に向いてしまったのでは。お酒はなんでもよく飲みますし、飲むととにかく長いんです」(日経社員C氏) 日経広報室に問い合わせると、こう回答した。「ご質問の社員は、社内規定に基づき処分しました。事実関係は公表していません」 酒席での失態に、反省しきりだという昌瓠6睛擦量ね茲脇匹瓩討癲⊆身の未来は読めなかった……。(「週刊文春」編集部/週刊文春 2022年9月8日号)
花形メディアを率いるX氏は有名私大を卒業後の1993年に入社。経済部で金融や財界を担当した後、ロンドンやシンガポール、ニューヨークへの駐在を経て、20年11月に編集長に就任した。
「帰国子女で英語がペラペラ。国際金融に明るく、大手メガバンク幹部らにも深く食い込んでいる。社内では王道の経済部出身で海外経験も豊富。同世代にライバルも少なく、将来の社長候補の1人と目されている」(日経社員B氏)
そんなX氏に一体何があったのか。小誌が入手した「処罰辞令」のイントラ画面の写しには、X氏の名前とともにこう記されている。
〈就業規則第七十七条一項十一号により、けん責とする〉
就業規則を読むと、同条文には「他人に暴行、脅迫を加え、または迷惑をかけたとき」とある。
「X氏は取材熱心で毎晩のように取材先と会食を重ねているのですが、そこで店の店主と揉めてトラブルとなってしまったのです。後日、その店から日経本社にクレームが入って事態が露見。今回の処分となりました」(同前)
実は日経フィナンシャルの編集長が処分されるのはこれが初めてではない。「2年前に初代編集長が後輩記者に悪質なセクハラをしたとして、就任後わずか半年で突然解任され、退社した。その後を託されたのがX氏でした。編集長が二代連続で処分され、社内では“異常事態”といわれています」(同前)日経広報室の回答は X氏の周辺を取材するとこんな声も聞こえてくる。「Xさんは仕事面ではいわゆる“できる男”で経歴もピカピカなのですが、普段から部下に対して歯に衣着せずにものを言うタイプで緊張感が漂っている。その矛先が今回はお店の人に向いてしまったのでは。お酒はなんでもよく飲みますし、飲むととにかく長いんです」(日経社員C氏) 日経広報室に問い合わせると、こう回答した。「ご質問の社員は、社内規定に基づき処分しました。事実関係は公表していません」 酒席での失態に、反省しきりだという昌瓠6睛擦量ね茲脇匹瓩討癲⊆身の未来は読めなかった……。(「週刊文春」編集部/週刊文春 2022年9月8日号)
実は日経フィナンシャルの編集長が処分されるのはこれが初めてではない。
「2年前に初代編集長が後輩記者に悪質なセクハラをしたとして、就任後わずか半年で突然解任され、退社した。その後を託されたのがX氏でした。編集長が二代連続で処分され、社内では“異常事態”といわれています」(同前)
X氏の周辺を取材するとこんな声も聞こえてくる。
「Xさんは仕事面ではいわゆる“できる男”で経歴もピカピカなのですが、普段から部下に対して歯に衣着せずにものを言うタイプで緊張感が漂っている。その矛先が今回はお店の人に向いてしまったのでは。お酒はなんでもよく飲みますし、飲むととにかく長いんです」(日経社員C氏)
日経広報室に問い合わせると、こう回答した。「ご質問の社員は、社内規定に基づき処分しました。事実関係は公表していません」 酒席での失態に、反省しきりだという昌瓠6睛擦量ね茲脇匹瓩討癲⊆身の未来は読めなかった……。(「週刊文春」編集部/週刊文春 2022年9月8日号)
日経広報室に問い合わせると、こう回答した。
「ご質問の社員は、社内規定に基づき処分しました。事実関係は公表していません」
酒席での失態に、反省しきりだという昌瓠6睛擦量ね茲脇匹瓩討癲⊆身の未来は読めなかった……。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2022年9月8日号)