マルチ商法で違法な勧誘などをしたとして、消費者庁は14日、「日本アムウェイ」(東京)に特定商取引法違反で6か月間の取引停止命令を出したと発表した。
期間は14日~来年4月13日。再発防止を求める指示処分も出した。特商法違反での同社への行政処分は初めて。
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消費者庁は14日、違反の具体的な事例も公表し、会員らがSNSなどで相手に近づき、執拗(しつよう)に勧誘をしていた実態を明かした。
公表事例によると、被害者の女性は昨年3月、マッチングアプリで知り合った男性から食事に誘われた。食事中に「知り合いがサークルをやっている。参加してほしい」と言われ、近くの建物に移動。その場にいた女性から後日、フェースマッサージを受けることになった。その後、「今使った化粧品がおすすめ。教えてあげるわ」と言われ、初めて日本アムウェイの冊子を見せられた。
被害女性は断ったが、男性から「絶対に必要」などと繰り返され、さらに「商品を買うなら入会が必要」としつこく勧誘された。女性は承諾しないと家に帰れないと考え、入会してしまった。別の被害者はSNSで知り合った人物から「女子会」に誘われ、食事後に突然、勧誘されたという。
2019年度~今年9月に全国の消費生活センターに寄せられた同社に関する苦情相談は953件で、45%が20代だった。同庁は「別のイベントやビジネスに誘われたら、内容に注意して」と呼びかけている。