◆全国旅行支援の攻略法を現役ホテルマンが解説
全国観光振興事業として10月11日に開始した「全国旅行支援」。2年前の「GOTOトラベル」と似たようなキャンペーンかと思いきや、各都道府県や予約サイトによってルールが異なる点などを考えると、「似て非なるもの」と言っても過言ではない。
システムやルールが少々複雑で、特に「地域共通クーポン」については、10月23日現在、9日遅れてスタートした東京都では混乱を招いている。世間が戸惑っているなか、早めにこのキャンペーンの全貌を把握すれば、上手いことオトクに利用することができるだろう。
そこで今回は、現役ホテルマンに「全国旅行支援攻略法」を聞いた。
◆予約は早い方が良いが…
「昨日出勤しましたが、もうずっと電話が鳴っていましたよ」と語るのは、現役ホテルマンSさん。働いているのは地域で一番の高級ホテルということもあり、お年寄りからの問い合わせが多いという。
まずは全国旅行支援においての「予約のコツ」について話を聞いた。
「期間中ならいつまでも予約できるわけではなく、予約サイトによって国から振り分けられた割引予算が決まっています。その予算が終わったら終了となって、もちろん早いもの順です。だから予定が決まっているのなら少しでも早めに予約を取ってしまった方が良いです。ビジネスホテルなら1~2日前までキャンセル料がかからないホテルも多いですからね。
それと、予約サイトによって予算が決まっているということは、例えば『楽天トラベルは終わったけど一休.comではまだ取れる』みたいなこともあり得ます。だから仮にいつも使っている予約サイトでの割引が終わっていたとしても、諦めずに他のサイトでも試してみるのもコツと言えるのではないでしょうか」
なお、予約サイトだけでなく、ホテルの公式サイトにも予算が振り分けられているとのこと。つまり全ての予約サイトで割引枠が終わっていたとしても、公式サイトのみ割引が適用されるケースもあるようだ。とにかく、面倒くさがらずに各サイトを調べてみることが、オトクに泊まれるコツのひとつである。
◆遠方なら航空券とのセットが絶対にお得
そしてS氏は、意外とわかっていない人が多い「航空券とのセット」も、予約のコツとして挙げた。
「遠方への旅行の場合、まずは航空券とセットのプランから検索しましょう。旅行に行くとなった場合、いつものクセでホテル予約から検索する人も多いかと思いますが、全国旅行支援はセットで買う方が断然オトクです。割引上限は1泊8000円ですが、たとえば2泊3日なら、2日とも8000円引きとなります。10月23日現在、すでに終了している地域も多いですが、こちらも予約サイトによっては残っている場合があるので、飛行機を利用する距離の場合はダメもとで探してみましょう。これ意外と見落としてしまう人が多いですが、かなり重要なポイントです」
◆ホテル側の“値上げしすぎ”に注意
次にS氏が話したのは、ホテル側の値上げについて。基本的に宿泊料金はホテル側が自由に決めることができる。お盆休みや年末年始など、繁忙期の値段が高いことは理解できるが、閑散期ともいえるこの時期に「どうせ割引で安くなるから」という理由で、ホテル側が一気に値上げするケースもあるという。
「私の職場で電話が鳴り止まない現状があるように、たしかにこのキャンペーンで本来の閑散期が繁忙期となっているので、この時期に値上げするのは理解できます。ただ、ザッと予約サイトを見ていると、『これは値上げし過ぎだろ~』と思うホテルもあるんですよね。

◆地域共通クーポンの注意点
最後に紹介するのは地域共通クーポンについて。GOTOトラベルの際は全国統一のルールであったが、今回は地域によって使用期限や利用方法などが異なるようだ。話を聞いた10月23日時点では、まだ東京都では混乱が続いているが、現時点でわかっている情報を基にS氏は解説した。
「あくまで10月23日時点で、東京都のケースとしてお話します。『平日は3000円で休日は1000円』とだけ書かれている予約サイトが多いですが、詳細を見ると、どうやら休日とは土曜日チェックインのみのようです。つまり、土曜日チェックアウトや日曜チェックインの場合は平日扱いとなります。この定義はさすがに全国共通だと思うのですが、気になる人は念のため予約前に確認しても良いかもしれませんね。
それと肝心の使い方についてですが、まずホテルのチェックインの際に2種類のQRコードが貼られている紙を受け取ります。自分のスマホアプリで決済するため、読み込むと金額がチャージされるQRコード、そしてお店側が読み込む紙クーポン用のQRコードの2種類です。これがまぁややこしくて……。
GOTOの時は紙クーポンの方が使える店舗が多かったと思いますが、今回はそうでもないみたいです。だからスマホを持っている人は、専用アプリをダウンロードしてクーポンを使いましょう。東京都や大阪府で必要なアプリは『regionPay』というものですが、これも各都道府県によって異なるので注意が必要です。
それと一番気をつけなくてはいけないのは、使用期限が地域によって違うことではないでしょうか。例えば東京都の場合、『チェックイン日からチェックアウト日の23時59分まで』しか使えません。でも静岡県の場合は『宿泊日から起算して8日間』も使うことができます。たしかこれもGOTOの時は統一されていたような……。とにかく、地域共通クーポンの注意事項は必ずチェックしなければなりません」
◆「最悪ここで使う」だけでも決めておくべき
地域共通クーポンを無駄にしないためには、なるべく早めに消費することが一番である。ただ、旅の終盤で使い切れていなかった時のためにも、「最悪ここで使う」という場所だけでも決めておいた方が良さそうだ。
「まだ使える店舗が少ない東京都でも、東京駅や羽田空港などのお土産販売店はほとんどの店舗で対応しているので、最後に駆け込むことができます。そうなったらお土産に全て使えば良いだけの話。これを知っているだけで、全然気持ちが違いますよね。ただ3000円のお土産ってなかなか使い切れないので、とにかく使える店があれば必ず使うことを心がけるのが良いでしょう」
GOTOトラベルよりも確実に難易度が上がっている全国旅行支援。ホテル側の思惑や地域共通クーポンの上手い使い方を考えつつ利用すれば、間違いなくオトクに旅行を楽しめるだろう。とにかく早いもの勝ちのキャンペーンではあるため、早めに予定を立て、予約サイトを見比べながら粘り勝ちしてほしい。
文/セールス森田