岩手県盛岡市が今多くのインバウンド客で賑わいを見せている。アメリカのニューヨーク・タイムズ紙が世界で訪れるべき場所として取り上げたことで一躍脚光を浴びたのだ。突然、外国人訪問者が増えた盛岡の街を取材した。【写真を見る】NYタイムズ掲載を契機に岩手・盛岡に外国人殺到 温泉地の名称変更も!~特需に沸く現場を取材~【Bizスクエア】急ピッチで受け入れ準備。英語マップ作成、無料Wi-Fiエリア拡大、臨時観光案内所も開設岩手県盛岡市で明治時代から営業を続けるそば店「東家」では、盛岡名物わんこそばを楽しむ人たちで連日賑わう中、日本人に混じってそばをすする外国人の姿がある。インバウンド客で賑わう盛岡市。きっかけの一つとなったのがニューヨーク・タイムズ紙で、2023年1月に発表した訪ねるべき52カ所で盛岡が取り上げられた。盛岡市はロンドンに次ぐ2番目に名前が載り、一躍世界から注目される都市となったのだ。
なぜ盛岡市が選ばれたのだろうか。ニューヨーク・タイムズ紙に推薦記事を寄稿したアメリカ出身のライター、クレイグ氏は日本に住んで20年以上。国内数千キロを歩き、日本各地を旅したというクレイグ氏が盛岡を選んだ理由は。クレイグ・モド氏:街並みもきれいだし、自然との向き合い方もすごく美しかった。京都や金沢より市民と直接いろいろインタラクション(交流)ができる。本当に壁のない街という気持ちで3泊4日過ごせたから感動して、ニューヨーク・タイムズの編集者に聞かれた時に情熱的な推薦ができました。2年前に盛岡を訪れた時の感動を記事にしたというクレイグ氏。歴史的な建造物が残る景観の美しさやコーヒーショップなどを取り上げた。ジャズ喫茶「開運橋のジョニー」は記事に掲載された直後からアメリカなど海外からの観光客が相次いで店を訪れたという。開運橋のジョニー店主 照井顯氏:なんでも一過性のものだけど、今回のはずいぶんじわじわ増えているような感じ。改めてニューヨーク・タイムズはすごいんだなと思った。2023年、盛岡駅の観光案内所に訪れた外国人の数は入国制限の緩和もあり、前年から急増。記事が出た1月から2月にかけては大きく伸びている。街がインバウンドに沸く中、急ピッチで進んでいるのが観光客の受け入れ準備だ。盛岡観光コンベンション協会はニューヨーク・タイムズの発表を受け、新たに英語のマップをわずか2か月で作成。3月から無料Wi-Fiの利用エリアを拡大し、設置数が一気に4倍の32か所まで増えた。QRコードからアクセスできるデジタルマップは7カ国語に対応。市内にある数多くの店舗を登録し、街歩きに活用してもらう狙いだ。さらに4月1日からスタートしたのが盛岡駅構内の臨時の観光案内所だ。盛岡市は臨時案内所の設置費用などとして2000万円を計上。英語対応ができるスタッフも配置し、これから本格的な開設を目指す。盛岡市交流推進部観光課 藤谷徹課長:これからもっと多くの外国人の方いらっしゃると見込んでいます。盛岡の魅力を存分に味わっていただくために力を入れていきたい。日本人への波及効果も。市内の温泉地は名称に“盛岡”追加し集客に期待さらに今回の選出はインバウンドだけでなく日本人への波及効果も生み出していた。中心部にある土産店では前年2月と比べ売上は1.5倍、来店客数は1.3倍になっているという。盛岡市の谷藤裕明市長は今回の盛り上がりについて。盛岡市 谷藤裕明市長:地方都市に光を当てていただいたということに大変びっくりもしましたし、大変うれしく思いました。市民の皆さんもおもてなしの心のある街というものを心がけてまちづくりをやってきていますので、居心地のいい空間をぜひ楽しんでいただければいいなと思っています。盛岡市内唯一の温泉地「つなぎ温泉」は国内外の観光客でにぎわいを見せる中、地元の観光協会はある決断をした。盛岡つなぎ温泉観光協会 菊地善雄会長:今までは「つなぎ温泉」という名前でしたが、これからは「盛岡つなぎ温泉」と名称を変更します。900年以上の歴史を持つ温泉地の名称を2023年度から変更すると決めた。そのわけは。盛岡つなぎ温泉観光協会 菊地善雄会長:かねてより「『つなぎ温泉』はどこにあるの」というお客様からの問い合わせが多かったのです。つなぎ温泉は盛岡の市内にあるんだよと。パンフレットなどの表記の修正が急ピッチで進められている。これまでにないビッグチャンスをものにしたいと周辺のホテルも大きな期待を寄せる。ホテル紫苑 営業本部長 遠藤直人氏:この3年間本当に何もできない状態だったので、やっと希望が見えてきたと。3月は1日1組ぐらいは外国人客がいる状況です。ニューヨーク・タイムズをきっかけにして、国内ももちろん海外のお客様にどんどん来ていただきたいなと思いますし、盛岡というワードを使った盛岡つなぎ温泉は集客に相当期待ができるかなと思っています。――ニューヨーク・タイムズの威力はすごい?早稲田大学ビジネススクール教授 入山章栄氏:私もアメリカに行っていたのでニューヨーク・タイムズを読んでいましたが、だいたい週末にこういう記事を出します。2位とか4位ぐらいに意外なところを入れたがるのです。1位はロンドンで、次が盛岡とは少しびっくり。こういうことをすることで「俺たち結構通なことを知っているんだよ」とアピールするところもあるのかなといつも読んでいて思いまして。それが今回運よく盛岡だったということです。――これといった観光地があるわけでもないところが、逆に外国人に魅力を提供している。早稲田大学ビジネススクール教授 入山章栄氏:ニューヨーク・タイムズの読者は結構旅慣れている人も多いので、東京や京都よりも現地の人の素朴な生活を知って、一緒に経験したいという旅行ニーズが今増えています。いわゆる体験型の旅行と言いますが、まさにそこをうまく捕まえたし、逆に言うとこれは盛岡だけではないと思います。日本中そういうところはありますから、そこの魅力はうまく発信できるといいなという好例ですね。日本中の街にチャンスがあるということだ。今インバウンド客が増えている。コロナ明けからググッと伸びて2023年2月は147万人に上っている。コロナ前を回復する日も近いかもしれない。(BS-TBS『Bizスクエア』 4月15日放送より)
岩手県盛岡市が今多くのインバウンド客で賑わいを見せている。アメリカのニューヨーク・タイムズ紙が世界で訪れるべき場所として取り上げたことで一躍脚光を浴びたのだ。突然、外国人訪問者が増えた盛岡の街を取材した。
【写真を見る】NYタイムズ掲載を契機に岩手・盛岡に外国人殺到 温泉地の名称変更も!~特需に沸く現場を取材~【Bizスクエア】急ピッチで受け入れ準備。英語マップ作成、無料Wi-Fiエリア拡大、臨時観光案内所も開設岩手県盛岡市で明治時代から営業を続けるそば店「東家」では、盛岡名物わんこそばを楽しむ人たちで連日賑わう中、日本人に混じってそばをすする外国人の姿がある。インバウンド客で賑わう盛岡市。きっかけの一つとなったのがニューヨーク・タイムズ紙で、2023年1月に発表した訪ねるべき52カ所で盛岡が取り上げられた。盛岡市はロンドンに次ぐ2番目に名前が載り、一躍世界から注目される都市となったのだ。
なぜ盛岡市が選ばれたのだろうか。ニューヨーク・タイムズ紙に推薦記事を寄稿したアメリカ出身のライター、クレイグ氏は日本に住んで20年以上。国内数千キロを歩き、日本各地を旅したというクレイグ氏が盛岡を選んだ理由は。クレイグ・モド氏:街並みもきれいだし、自然との向き合い方もすごく美しかった。京都や金沢より市民と直接いろいろインタラクション(交流)ができる。本当に壁のない街という気持ちで3泊4日過ごせたから感動して、ニューヨーク・タイムズの編集者に聞かれた時に情熱的な推薦ができました。2年前に盛岡を訪れた時の感動を記事にしたというクレイグ氏。歴史的な建造物が残る景観の美しさやコーヒーショップなどを取り上げた。ジャズ喫茶「開運橋のジョニー」は記事に掲載された直後からアメリカなど海外からの観光客が相次いで店を訪れたという。開運橋のジョニー店主 照井顯氏:なんでも一過性のものだけど、今回のはずいぶんじわじわ増えているような感じ。改めてニューヨーク・タイムズはすごいんだなと思った。2023年、盛岡駅の観光案内所に訪れた外国人の数は入国制限の緩和もあり、前年から急増。記事が出た1月から2月にかけては大きく伸びている。街がインバウンドに沸く中、急ピッチで進んでいるのが観光客の受け入れ準備だ。盛岡観光コンベンション協会はニューヨーク・タイムズの発表を受け、新たに英語のマップをわずか2か月で作成。3月から無料Wi-Fiの利用エリアを拡大し、設置数が一気に4倍の32か所まで増えた。QRコードからアクセスできるデジタルマップは7カ国語に対応。市内にある数多くの店舗を登録し、街歩きに活用してもらう狙いだ。さらに4月1日からスタートしたのが盛岡駅構内の臨時の観光案内所だ。盛岡市は臨時案内所の設置費用などとして2000万円を計上。英語対応ができるスタッフも配置し、これから本格的な開設を目指す。盛岡市交流推進部観光課 藤谷徹課長:これからもっと多くの外国人の方いらっしゃると見込んでいます。盛岡の魅力を存分に味わっていただくために力を入れていきたい。日本人への波及効果も。市内の温泉地は名称に“盛岡”追加し集客に期待さらに今回の選出はインバウンドだけでなく日本人への波及効果も生み出していた。中心部にある土産店では前年2月と比べ売上は1.5倍、来店客数は1.3倍になっているという。盛岡市の谷藤裕明市長は今回の盛り上がりについて。盛岡市 谷藤裕明市長:地方都市に光を当てていただいたということに大変びっくりもしましたし、大変うれしく思いました。市民の皆さんもおもてなしの心のある街というものを心がけてまちづくりをやってきていますので、居心地のいい空間をぜひ楽しんでいただければいいなと思っています。盛岡市内唯一の温泉地「つなぎ温泉」は国内外の観光客でにぎわいを見せる中、地元の観光協会はある決断をした。盛岡つなぎ温泉観光協会 菊地善雄会長:今までは「つなぎ温泉」という名前でしたが、これからは「盛岡つなぎ温泉」と名称を変更します。900年以上の歴史を持つ温泉地の名称を2023年度から変更すると決めた。そのわけは。盛岡つなぎ温泉観光協会 菊地善雄会長:かねてより「『つなぎ温泉』はどこにあるの」というお客様からの問い合わせが多かったのです。つなぎ温泉は盛岡の市内にあるんだよと。パンフレットなどの表記の修正が急ピッチで進められている。これまでにないビッグチャンスをものにしたいと周辺のホテルも大きな期待を寄せる。ホテル紫苑 営業本部長 遠藤直人氏:この3年間本当に何もできない状態だったので、やっと希望が見えてきたと。3月は1日1組ぐらいは外国人客がいる状況です。ニューヨーク・タイムズをきっかけにして、国内ももちろん海外のお客様にどんどん来ていただきたいなと思いますし、盛岡というワードを使った盛岡つなぎ温泉は集客に相当期待ができるかなと思っています。――ニューヨーク・タイムズの威力はすごい?早稲田大学ビジネススクール教授 入山章栄氏:私もアメリカに行っていたのでニューヨーク・タイムズを読んでいましたが、だいたい週末にこういう記事を出します。2位とか4位ぐらいに意外なところを入れたがるのです。1位はロンドンで、次が盛岡とは少しびっくり。こういうことをすることで「俺たち結構通なことを知っているんだよ」とアピールするところもあるのかなといつも読んでいて思いまして。それが今回運よく盛岡だったということです。――これといった観光地があるわけでもないところが、逆に外国人に魅力を提供している。早稲田大学ビジネススクール教授 入山章栄氏:ニューヨーク・タイムズの読者は結構旅慣れている人も多いので、東京や京都よりも現地の人の素朴な生活を知って、一緒に経験したいという旅行ニーズが今増えています。いわゆる体験型の旅行と言いますが、まさにそこをうまく捕まえたし、逆に言うとこれは盛岡だけではないと思います。日本中そういうところはありますから、そこの魅力はうまく発信できるといいなという好例ですね。日本中の街にチャンスがあるということだ。今インバウンド客が増えている。コロナ明けからググッと伸びて2023年2月は147万人に上っている。コロナ前を回復する日も近いかもしれない。(BS-TBS『Bizスクエア』 4月15日放送より)
岩手県盛岡市で明治時代から営業を続けるそば店「東家」では、盛岡名物わんこそばを楽しむ人たちで連日賑わう中、日本人に混じってそばをすする外国人の姿がある。
インバウンド客で賑わう盛岡市。きっかけの一つとなったのがニューヨーク・タイムズ紙で、2023年1月に発表した訪ねるべき52カ所で盛岡が取り上げられた。盛岡市はロンドンに次ぐ2番目に名前が載り、一躍世界から注目される都市となったのだ。
なぜ盛岡市が選ばれたのだろうか。ニューヨーク・タイムズ紙に推薦記事を寄稿したアメリカ出身のライター、クレイグ氏は日本に住んで20年以上。国内数千キロを歩き、日本各地を旅したというクレイグ氏が盛岡を選んだ理由は。
クレイグ・モド氏:街並みもきれいだし、自然との向き合い方もすごく美しかった。京都や金沢より市民と直接いろいろインタラクション(交流)ができる。本当に壁のない街という気持ちで3泊4日過ごせたから感動して、ニューヨーク・タイムズの編集者に聞かれた時に情熱的な推薦ができました。
2年前に盛岡を訪れた時の感動を記事にしたというクレイグ氏。歴史的な建造物が残る景観の美しさやコーヒーショップなどを取り上げた。ジャズ喫茶「開運橋のジョニー」は記事に掲載された直後からアメリカなど海外からの観光客が相次いで店を訪れたという。
開運橋のジョニー店主 照井顯氏:なんでも一過性のものだけど、今回のはずいぶんじわじわ増えているような感じ。改めてニューヨーク・タイムズはすごいんだなと思った。
2023年、盛岡駅の観光案内所に訪れた外国人の数は入国制限の緩和もあり、前年から急増。記事が出た1月から2月にかけては大きく伸びている。街がインバウンドに沸く中、急ピッチで進んでいるのが観光客の受け入れ準備だ。盛岡観光コンベンション協会はニューヨーク・タイムズの発表を受け、新たに英語のマップをわずか2か月で作成。3月から無料Wi-Fiの利用エリアを拡大し、設置数が一気に4倍の32か所まで増えた。QRコードからアクセスできるデジタルマップは7カ国語に対応。市内にある数多くの店舗を登録し、街歩きに活用してもらう狙いだ。
さらに4月1日からスタートしたのが盛岡駅構内の臨時の観光案内所だ。盛岡市は臨時案内所の設置費用などとして2000万円を計上。英語対応ができるスタッフも配置し、これから本格的な開設を目指す。
盛岡市交流推進部観光課 藤谷徹課長:これからもっと多くの外国人の方いらっしゃると見込んでいます。盛岡の魅力を存分に味わっていただくために力を入れていきたい。
さらに今回の選出はインバウンドだけでなく日本人への波及効果も生み出していた。中心部にある土産店では前年2月と比べ売上は1.5倍、来店客数は1.3倍になっているという。盛岡市の谷藤裕明市長は今回の盛り上がりについて。
盛岡市 谷藤裕明市長:地方都市に光を当てていただいたということに大変びっくりもしましたし、大変うれしく思いました。市民の皆さんもおもてなしの心のある街というものを心がけてまちづくりをやってきていますので、居心地のいい空間をぜひ楽しんでいただければいいなと思っています。
盛岡市内唯一の温泉地「つなぎ温泉」は国内外の観光客でにぎわいを見せる中、地元の観光協会はある決断をした。
盛岡つなぎ温泉観光協会 菊地善雄会長:今までは「つなぎ温泉」という名前でしたが、これからは「盛岡つなぎ温泉」と名称を変更します。
900年以上の歴史を持つ温泉地の名称を2023年度から変更すると決めた。そのわけは。
盛岡つなぎ温泉観光協会 菊地善雄会長:かねてより「『つなぎ温泉』はどこにあるの」というお客様からの問い合わせが多かったのです。つなぎ温泉は盛岡の市内にあるんだよと。
ホテル紫苑 営業本部長 遠藤直人氏:この3年間本当に何もできない状態だったので、やっと希望が見えてきたと。3月は1日1組ぐらいは外国人客がいる状況です。ニューヨーク・タイムズをきっかけにして、国内ももちろん海外のお客様にどんどん来ていただきたいなと思いますし、盛岡というワードを使った盛岡つなぎ温泉は集客に相当期待ができるかなと思っています。
――ニューヨーク・タイムズの威力はすごい?
早稲田大学ビジネススクール教授 入山章栄氏:私もアメリカに行っていたのでニューヨーク・タイムズを読んでいましたが、だいたい週末にこういう記事を出します。2位とか4位ぐらいに意外なところを入れたがるのです。1位はロンドンで、次が盛岡とは少しびっくり。こういうことをすることで「俺たち結構通なことを知っているんだよ」とアピールするところもあるのかなといつも読んでいて思いまして。それが今回運よく盛岡だったということです。
――これといった観光地があるわけでもないところが、逆に外国人に魅力を提供している。
早稲田大学ビジネススクール教授 入山章栄氏:ニューヨーク・タイムズの読者は結構旅慣れている人も多いので、東京や京都よりも現地の人の素朴な生活を知って、一緒に経験したいという旅行ニーズが今増えています。いわゆる体験型の旅行と言いますが、まさにそこをうまく捕まえたし、逆に言うとこれは盛岡だけではないと思います。日本中そういうところはありますから、そこの魅力はうまく発信できるといいなという好例ですね。
日本中の街にチャンスがあるということだ。今インバウンド客が増えている。コロナ明けからググッと伸びて2023年2月は147万人に上っている。コロナ前を回復する日も近いかもしれない。
(BS-TBS『Bizスクエア』 4月15日放送より)