令和初となる「全国統一地方選挙」の前半戦が終わった。これから4年間、私たちの生活を牽引するリーダーを決める大切な選挙だ。しかし、有権者を悩ませる前代未聞の事態に陥ったのが神奈川県知事選挙だった――。
「まあ、黒岩になっちゃうよね」
神奈川県在住の会社役員の男性(64歳)は大きなため息をついた。
4期目の当選をとなった黒岩氏(全国知事会ホームページより)
4月9日、令和初となる「全国統一地方選挙」の前半戦が終わった。41道府県議選のほか北海道、大阪府など9の道府県で知事選もなども行われ、コロナ対応で注目を集めた現職の北海道の鈴木直道知事(42歳)や大阪府の吉村洋文知事(47歳)も再選を果たした。
その中で、一部のSNSユーザーが<地獄>と繰り返していたのが、神奈川県知事選だ。現職の黒岩祐治氏(68歳)がほかの3人の候補者を破り、193万3753票でトップ当選したものの、県民の胸中は複雑なのだ。「正直、黒岩に入れるのもどうかと思っていました。ですが、その次に入れたいと思える候補者がいなかった。新人もいますがその人の経験からみても、神奈川県を任せられるかが不安で……だったら消去法で黒岩にいれるほかなかった」(前出の会社役員)「究極の消去法選挙」と言われるように、神奈川県知事選挙は混迷を極めていた。その理由は投開票前日直前に発覚した黒岩氏の女性問題。さらに候補者の一人、政治家女子48党の大津綾香氏と同党の立花孝志氏との「泥沼トラブル」に大きな注目が集まってしまったことだ。神奈川県知事選では4人立候補したが……まず、今回の選挙で4期目の当選を果たした黒岩氏から見ていこう。自民党、公明党、国民民主党の県組織が推薦、無所属での出馬していた。菅義偉元首相が応援演説に駆け付けるなどし、「選挙前から当選確実」とまで言われていた黒岩氏。だが、4月6日発売の週刊文春で不倫スキャンダルが取りざたされると風向きが変わった。2000年~11年ごろまで愛人関係にあったA子さんがその内情を暴露したのだ。「黒岩氏はA子さんに対して『アワビにバナナ』とか『本番前のホンバン?(中略)生放送前の生だよ!ニュルニュル~~……』と言ったような下ネタ満載の生々しい文章のメールを送っており、それらは誌面上で暴露されました」(スポーツ新聞デスク) ただ卑猥なだけではなく、非常におサムい内容の連発。それを読んだ読者からは当然「気持ち悪い」「生理的に無理」などとの反応があった。「ほかにもアダルトビデオの購入を求め、女性が買い忘れると叱責したり、数々のパワハラのような文面も見受けられました。謝罪会見で黒岩氏は『(女性を)笑わせてあげたかった』との発言をしていますが、いくら何でもこれは笑えません」(前同)とはいえ「地獄」と有権者が言うほどの神奈川県知事選。黒岩氏以外の対抗馬として立候補した候補者も実に濃いものだった。無効票に21万票という現実黒岩氏の次点は共産党が推薦していた無所属新人の岸牧子氏(66歳)。2019年に続く2回目の立候補で、前回の得票数は70万票。だが、今回は65万1473票と大きく落とし、落選。選挙期間中、再生エネルギーの活用や、教育・医療分野への予算の重点配分などを訴えたが、黒岩氏を引きずり下ろすには一歩及ばなかった。落選の報を聞いた岸氏は「残念で悔しい」とは語りつつも、今後の政治活動への意気込みを新たにしていた。事前の予想以上に健闘したのが、選挙期間中も揉めに揉めていた政治家女子48党(旧NHK党)の大津綾香氏(30歳)だ。「池上彰の娘」としてNHKの『週刊こどもニュース』に出演していていた大津氏、憲政史上最年少の国政政党党首となり、これまでも何かと話題に事欠かなかった。同党の神奈川県知事選挙は当初、大津氏とは別の候補者を擁立する予定だった。だが、その候補者は辞退。そのため急遽、大津氏が出馬を決めた経緯がある。だがその間にも立花氏との確執は深まるばかりで、4月7日には同党は党首だった大津氏を「除名処分」したと発表した。しかし、大津氏もそれに反発する形となり、泥仕合が続いている。 とはいえ、その抜群の知名度を生かし、今回の県知事選挙では初出馬ながら15万1361票と検討していた。この先は「選挙」だけでなく「立花氏」ともどのように闘っていくのだろうか。最後は12万3922票を獲得した無所属新人の加藤健一郎氏(73歳)だ。医師としてさまざまな医療機関に勤務した加藤氏、2021年には千葉県知事選挙にも出馬している。その政見放送で小池百合子東京都知事に「公開プロポーズ」をしたことが話題になり、多くの有権者の失笑を買った。「神奈川県民は消極的な一票を投じざるを得ませんでした。注目したいのは今回の投票率。40.35%と前回を0.07%上回ったものの無効票は21万票で、全体のおよそ6.9%を占めた。白票を投じた県民も多く、これは県民からの政治に対する『怒り』『諦め』ととらえてもいいのではないでしょうか」(前出の選挙ウォッチャー)黒岩氏、岸氏に次ぐ第三位の得票数が無効票という現実を立候補者たちはもちろん、政治家たちは重く受け止めなければならない。人口は全国第二位、政令指定都市を3つも有する神奈川県。なのになぜこんなにも「人材不足」なのだろうか――。その理由について後半記事『「不倫スキャンダル報道」でも現職が圧勝…選択肢のない「地獄の選挙」が当たり前になった日本のヤバすぎる現実』で続けて紹介する。
その中で、一部のSNSユーザーが<地獄>と繰り返していたのが、神奈川県知事選だ。現職の黒岩祐治氏(68歳)がほかの3人の候補者を破り、193万3753票でトップ当選したものの、県民の胸中は複雑なのだ。
「正直、黒岩に入れるのもどうかと思っていました。ですが、その次に入れたいと思える候補者がいなかった。新人もいますがその人の経験からみても、神奈川県を任せられるかが不安で……だったら消去法で黒岩にいれるほかなかった」(前出の会社役員)
「究極の消去法選挙」と言われるように、神奈川県知事選挙は混迷を極めていた。
その理由は投開票前日直前に発覚した黒岩氏の女性問題。さらに候補者の一人、政治家女子48党の大津綾香氏と同党の立花孝志氏との「泥沼トラブル」に大きな注目が集まってしまったことだ。
まず、今回の選挙で4期目の当選を果たした黒岩氏から見ていこう。自民党、公明党、国民民主党の県組織が推薦、無所属での出馬していた。
菅義偉元首相が応援演説に駆け付けるなどし、「選挙前から当選確実」とまで言われていた黒岩氏。だが、4月6日発売の週刊文春で不倫スキャンダルが取りざたされると風向きが変わった。2000年~11年ごろまで愛人関係にあったA子さんがその内情を暴露したのだ。
「黒岩氏はA子さんに対して『アワビにバナナ』とか『本番前のホンバン?(中略)生放送前の生だよ!ニュルニュル~~……』と言ったような下ネタ満載の生々しい文章のメールを送っており、それらは誌面上で暴露されました」(スポーツ新聞デスク)
ただ卑猥なだけではなく、非常におサムい内容の連発。それを読んだ読者からは当然「気持ち悪い」「生理的に無理」などとの反応があった。「ほかにもアダルトビデオの購入を求め、女性が買い忘れると叱責したり、数々のパワハラのような文面も見受けられました。謝罪会見で黒岩氏は『(女性を)笑わせてあげたかった』との発言をしていますが、いくら何でもこれは笑えません」(前同)とはいえ「地獄」と有権者が言うほどの神奈川県知事選。黒岩氏以外の対抗馬として立候補した候補者も実に濃いものだった。無効票に21万票という現実黒岩氏の次点は共産党が推薦していた無所属新人の岸牧子氏(66歳)。2019年に続く2回目の立候補で、前回の得票数は70万票。だが、今回は65万1473票と大きく落とし、落選。選挙期間中、再生エネルギーの活用や、教育・医療分野への予算の重点配分などを訴えたが、黒岩氏を引きずり下ろすには一歩及ばなかった。落選の報を聞いた岸氏は「残念で悔しい」とは語りつつも、今後の政治活動への意気込みを新たにしていた。事前の予想以上に健闘したのが、選挙期間中も揉めに揉めていた政治家女子48党(旧NHK党)の大津綾香氏(30歳)だ。「池上彰の娘」としてNHKの『週刊こどもニュース』に出演していていた大津氏、憲政史上最年少の国政政党党首となり、これまでも何かと話題に事欠かなかった。同党の神奈川県知事選挙は当初、大津氏とは別の候補者を擁立する予定だった。だが、その候補者は辞退。そのため急遽、大津氏が出馬を決めた経緯がある。だがその間にも立花氏との確執は深まるばかりで、4月7日には同党は党首だった大津氏を「除名処分」したと発表した。しかし、大津氏もそれに反発する形となり、泥仕合が続いている。 とはいえ、その抜群の知名度を生かし、今回の県知事選挙では初出馬ながら15万1361票と検討していた。この先は「選挙」だけでなく「立花氏」ともどのように闘っていくのだろうか。最後は12万3922票を獲得した無所属新人の加藤健一郎氏(73歳)だ。医師としてさまざまな医療機関に勤務した加藤氏、2021年には千葉県知事選挙にも出馬している。その政見放送で小池百合子東京都知事に「公開プロポーズ」をしたことが話題になり、多くの有権者の失笑を買った。「神奈川県民は消極的な一票を投じざるを得ませんでした。注目したいのは今回の投票率。40.35%と前回を0.07%上回ったものの無効票は21万票で、全体のおよそ6.9%を占めた。白票を投じた県民も多く、これは県民からの政治に対する『怒り』『諦め』ととらえてもいいのではないでしょうか」(前出の選挙ウォッチャー)黒岩氏、岸氏に次ぐ第三位の得票数が無効票という現実を立候補者たちはもちろん、政治家たちは重く受け止めなければならない。人口は全国第二位、政令指定都市を3つも有する神奈川県。なのになぜこんなにも「人材不足」なのだろうか――。その理由について後半記事『「不倫スキャンダル報道」でも現職が圧勝…選択肢のない「地獄の選挙」が当たり前になった日本のヤバすぎる現実』で続けて紹介する。
ただ卑猥なだけではなく、非常におサムい内容の連発。それを読んだ読者からは当然「気持ち悪い」「生理的に無理」などとの反応があった。
「ほかにもアダルトビデオの購入を求め、女性が買い忘れると叱責したり、数々のパワハラのような文面も見受けられました。謝罪会見で黒岩氏は『(女性を)笑わせてあげたかった』との発言をしていますが、いくら何でもこれは笑えません」(前同)
とはいえ「地獄」と有権者が言うほどの神奈川県知事選。黒岩氏以外の対抗馬として立候補した候補者も実に濃いものだった。
黒岩氏の次点は共産党が推薦していた無所属新人の岸牧子氏(66歳)。2019年に続く2回目の立候補で、前回の得票数は70万票。だが、今回は65万1473票と大きく落とし、落選。選挙期間中、再生エネルギーの活用や、教育・医療分野への予算の重点配分などを訴えたが、黒岩氏を引きずり下ろすには一歩及ばなかった。
落選の報を聞いた岸氏は「残念で悔しい」とは語りつつも、今後の政治活動への意気込みを新たにしていた。
事前の予想以上に健闘したのが、選挙期間中も揉めに揉めていた政治家女子48党(旧NHK党)の大津綾香氏(30歳)だ。「池上彰の娘」としてNHKの『週刊こどもニュース』に出演していていた大津氏、憲政史上最年少の国政政党党首となり、これまでも何かと話題に事欠かなかった。
同党の神奈川県知事選挙は当初、大津氏とは別の候補者を擁立する予定だった。だが、その候補者は辞退。そのため急遽、大津氏が出馬を決めた経緯がある。だがその間にも立花氏との確執は深まるばかりで、4月7日には同党は党首だった大津氏を「除名処分」したと発表した。しかし、大津氏もそれに反発する形となり、泥仕合が続いている。
とはいえ、その抜群の知名度を生かし、今回の県知事選挙では初出馬ながら15万1361票と検討していた。この先は「選挙」だけでなく「立花氏」ともどのように闘っていくのだろうか。最後は12万3922票を獲得した無所属新人の加藤健一郎氏(73歳)だ。医師としてさまざまな医療機関に勤務した加藤氏、2021年には千葉県知事選挙にも出馬している。その政見放送で小池百合子東京都知事に「公開プロポーズ」をしたことが話題になり、多くの有権者の失笑を買った。「神奈川県民は消極的な一票を投じざるを得ませんでした。注目したいのは今回の投票率。40.35%と前回を0.07%上回ったものの無効票は21万票で、全体のおよそ6.9%を占めた。白票を投じた県民も多く、これは県民からの政治に対する『怒り』『諦め』ととらえてもいいのではないでしょうか」(前出の選挙ウォッチャー)黒岩氏、岸氏に次ぐ第三位の得票数が無効票という現実を立候補者たちはもちろん、政治家たちは重く受け止めなければならない。人口は全国第二位、政令指定都市を3つも有する神奈川県。なのになぜこんなにも「人材不足」なのだろうか――。その理由について後半記事『「不倫スキャンダル報道」でも現職が圧勝…選択肢のない「地獄の選挙」が当たり前になった日本のヤバすぎる現実』で続けて紹介する。
とはいえ、その抜群の知名度を生かし、今回の県知事選挙では初出馬ながら15万1361票と検討していた。この先は「選挙」だけでなく「立花氏」ともどのように闘っていくのだろうか。
最後は12万3922票を獲得した無所属新人の加藤健一郎氏(73歳)だ。医師としてさまざまな医療機関に勤務した加藤氏、2021年には千葉県知事選挙にも出馬している。その政見放送で小池百合子東京都知事に「公開プロポーズ」をしたことが話題になり、多くの有権者の失笑を買った。
「神奈川県民は消極的な一票を投じざるを得ませんでした。注目したいのは今回の投票率。40.35%と前回を0.07%上回ったものの無効票は21万票で、全体のおよそ6.9%を占めた。白票を投じた県民も多く、これは県民からの政治に対する『怒り』『諦め』ととらえてもいいのではないでしょうか」(前出の選挙ウォッチャー)
黒岩氏、岸氏に次ぐ第三位の得票数が無効票という現実を立候補者たちはもちろん、政治家たちは重く受け止めなければならない。
人口は全国第二位、政令指定都市を3つも有する神奈川県。なのになぜこんなにも「人材不足」なのだろうか――。その理由について後半記事『「不倫スキャンダル報道」でも現職が圧勝…選択肢のない「地獄の選挙」が当たり前になった日本のヤバすぎる現実』で続けて紹介する。