今や悠々自適なリタイア生活を送れるという保証はどこにもない。頼れるのは自分だけ。老後のおカネをいかに殖やして活用し、また守るのか。新しいことを始めるのに最適な春だからこそ動き出そう。
最新の「家計調査年報」によれば、65歳以上の1ヵ月の平均支出金額(単身無職世帯の場合)は、14万4747円。一方、社会保障給付の平均金額は12万470円だ。
月に約2万4000円もの赤字。そして65歳の平均余命はおよそ20年――実に600万円近い蓄えがなければ、あなたは死ぬ前に無一文の状態となってしまう。
退職金もあり、年金受給も始まった。多少は余裕があるからこそ、今から準備が必要だ。それが65歳という年齢である。「あと20年は大丈夫」と思えるよう、少しでも資産を殖やす方法をまずは考えてみる。
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第一歩として、ネット証券でNISA口座を開設してみよう。ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢氏が語る。「’24年からのNISAではつみたて投資枠と成長投資枠との併用で、年間最大360万円、生涯を通じて最大1800万円まで非課税で運用できます。また、非課税期間が無期限となり、65歳から始めても運用益が期待できます」同時に、メインバンクをネット銀行にしておきたい。なぜなら、住信SBIネット銀行とSBI証券、楽天銀行と楽天証券というように、同一グループのネット証券と連携させることで、普通預金金利や手数料で優遇を受けられるからだ。安全に運用する方法これで「殖やす」環境は整った。次は、できる限り安全で堅実な運用法を検討しよう。ファイナンシャルリサーチ代表の深野康彦氏が解説する。「まずは、インデックスファンドに投資することです。市場平均株価指数に連動する投資信託で、いわば『全投資家の平均点の運用成績』を上げ続けられるもの。安定した利回りに加え、手数料が低いのも魅力です」Photo by gettyimages 現在、米銀破綻で市場が荒れているが、こういう時こそ市場をじっくり学ぶ好機だ。まずはインデックスファンドを入り口にして考えてみる。深野氏が続ける。「慣れてきたら、高配当株を探して購入するのも手です。毎年減配せずにきちっと配当金を出している企業を見つけ、株価が安いタイミングで買い、後は『放っておく』。これも堅実な投資です」時間的余裕を副業に使う75歳になったら投資の姿勢は変え、自分の判断だけで資産は動かさないほうがいい。気付かぬうちに判断能力が鈍っていることがあるからだ。また、新たに投資を始めるのも控えたい。投資セミナーには参加せず、証券マンの話に耳を傾けてもいけない。彼らは自社の商品を売り、手数料を稼ぐのが仕事。資産防衛の手助けをしてくれるわけではない。65歳を過ぎたら、副業で収入を増やすのも手だ。副業と聞いて、警備員など、体力が必要だと考えるかもしれないが心配は無用。深野氏が話す。「現役時代と比べて圧倒的に時間的余裕がありますから、高齢の方にこそ副業は有効です。一口に副業と言っても、体を使うものだけではなく、ラクして稼げる副業も少なくありません」Photo by gettyimages まず、おすすめしたいのは、初期費用がほとんどかからない手持ちの資源を生かす副業だ。マイカーを貸すのがその一つ。家で眠っている愛車をシェアリングサービスを通じて個人に有料で貸し出し、小遣いを稼ぐというものだ。自宅の空いた駐車場を貸す副業もある。管理は専門の業者が行ってくれるので、黙っているだけでも収入が得られる。趣味を生かした副業は、仕事をしている時間が苦にならず、セカンドライフの充実感が高まるメリットがある。特に流行にあまり影響されない趣味は、安定した需要がある点に注目したい。例えばカメラが趣味ならば、自分が撮影した写真の販売がある。風景などを撮影し、販売サイトに投稿。利用金額に応じて謝礼が支払われ、中には月数万円を稼ぐ人もいる。カルチャースクールで学んだ技術を生かして、手作り雑貨を販売するのも人気が高い。爆発的に売れるものではないが、屋内での作業なので空き時間をフル活用でき、意外と若い世代に買い手がいる。自分に合ったおカネの殖やし方は必ずある。投資と副業、攻めの戦略で残りの人生を乗り切ろう。「週刊現代」2023年3月25日号よりさらに関連記事『年金を「60歳、65歳、70歳、75歳」からもらって一番おトクなのは…? その「意外すぎる答え」がわかった!』では、老後の家計の中心となる「年金」のおトクなもらい方を紹介する。
第一歩として、ネット証券でNISA口座を開設してみよう。ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢氏が語る。
「’24年からのNISAではつみたて投資枠と成長投資枠との併用で、年間最大360万円、生涯を通じて最大1800万円まで非課税で運用できます。また、非課税期間が無期限となり、65歳から始めても運用益が期待できます」
同時に、メインバンクをネット銀行にしておきたい。なぜなら、住信SBIネット銀行とSBI証券、楽天銀行と楽天証券というように、同一グループのネット証券と連携させることで、普通預金金利や手数料で優遇を受けられるからだ。
これで「殖やす」環境は整った。次は、できる限り安全で堅実な運用法を検討しよう。ファイナンシャルリサーチ代表の深野康彦氏が解説する。
「まずは、インデックスファンドに投資することです。市場平均株価指数に連動する投資信託で、いわば『全投資家の平均点の運用成績』を上げ続けられるもの。安定した利回りに加え、手数料が低いのも魅力です」
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現在、米銀破綻で市場が荒れているが、こういう時こそ市場をじっくり学ぶ好機だ。まずはインデックスファンドを入り口にして考えてみる。深野氏が続ける。「慣れてきたら、高配当株を探して購入するのも手です。毎年減配せずにきちっと配当金を出している企業を見つけ、株価が安いタイミングで買い、後は『放っておく』。これも堅実な投資です」時間的余裕を副業に使う75歳になったら投資の姿勢は変え、自分の判断だけで資産は動かさないほうがいい。気付かぬうちに判断能力が鈍っていることがあるからだ。また、新たに投資を始めるのも控えたい。投資セミナーには参加せず、証券マンの話に耳を傾けてもいけない。彼らは自社の商品を売り、手数料を稼ぐのが仕事。資産防衛の手助けをしてくれるわけではない。65歳を過ぎたら、副業で収入を増やすのも手だ。副業と聞いて、警備員など、体力が必要だと考えるかもしれないが心配は無用。深野氏が話す。「現役時代と比べて圧倒的に時間的余裕がありますから、高齢の方にこそ副業は有効です。一口に副業と言っても、体を使うものだけではなく、ラクして稼げる副業も少なくありません」Photo by gettyimages まず、おすすめしたいのは、初期費用がほとんどかからない手持ちの資源を生かす副業だ。マイカーを貸すのがその一つ。家で眠っている愛車をシェアリングサービスを通じて個人に有料で貸し出し、小遣いを稼ぐというものだ。自宅の空いた駐車場を貸す副業もある。管理は専門の業者が行ってくれるので、黙っているだけでも収入が得られる。趣味を生かした副業は、仕事をしている時間が苦にならず、セカンドライフの充実感が高まるメリットがある。特に流行にあまり影響されない趣味は、安定した需要がある点に注目したい。例えばカメラが趣味ならば、自分が撮影した写真の販売がある。風景などを撮影し、販売サイトに投稿。利用金額に応じて謝礼が支払われ、中には月数万円を稼ぐ人もいる。カルチャースクールで学んだ技術を生かして、手作り雑貨を販売するのも人気が高い。爆発的に売れるものではないが、屋内での作業なので空き時間をフル活用でき、意外と若い世代に買い手がいる。自分に合ったおカネの殖やし方は必ずある。投資と副業、攻めの戦略で残りの人生を乗り切ろう。「週刊現代」2023年3月25日号よりさらに関連記事『年金を「60歳、65歳、70歳、75歳」からもらって一番おトクなのは…? その「意外すぎる答え」がわかった!』では、老後の家計の中心となる「年金」のおトクなもらい方を紹介する。
現在、米銀破綻で市場が荒れているが、こういう時こそ市場をじっくり学ぶ好機だ。まずはインデックスファンドを入り口にして考えてみる。
深野氏が続ける。
「慣れてきたら、高配当株を探して購入するのも手です。毎年減配せずにきちっと配当金を出している企業を見つけ、株価が安いタイミングで買い、後は『放っておく』。これも堅実な投資です」
75歳になったら投資の姿勢は変え、自分の判断だけで資産は動かさないほうがいい。気付かぬうちに判断能力が鈍っていることがあるからだ。また、新たに投資を始めるのも控えたい。投資セミナーには参加せず、証券マンの話に耳を傾けてもいけない。彼らは自社の商品を売り、手数料を稼ぐのが仕事。資産防衛の手助けをしてくれるわけではない。
65歳を過ぎたら、副業で収入を増やすのも手だ。副業と聞いて、警備員など、体力が必要だと考えるかもしれないが心配は無用。深野氏が話す。
「現役時代と比べて圧倒的に時間的余裕がありますから、高齢の方にこそ副業は有効です。一口に副業と言っても、体を使うものだけではなく、ラクして稼げる副業も少なくありません」
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まず、おすすめしたいのは、初期費用がほとんどかからない手持ちの資源を生かす副業だ。マイカーを貸すのがその一つ。家で眠っている愛車をシェアリングサービスを通じて個人に有料で貸し出し、小遣いを稼ぐというものだ。自宅の空いた駐車場を貸す副業もある。管理は専門の業者が行ってくれるので、黙っているだけでも収入が得られる。趣味を生かした副業は、仕事をしている時間が苦にならず、セカンドライフの充実感が高まるメリットがある。特に流行にあまり影響されない趣味は、安定した需要がある点に注目したい。例えばカメラが趣味ならば、自分が撮影した写真の販売がある。風景などを撮影し、販売サイトに投稿。利用金額に応じて謝礼が支払われ、中には月数万円を稼ぐ人もいる。カルチャースクールで学んだ技術を生かして、手作り雑貨を販売するのも人気が高い。爆発的に売れるものではないが、屋内での作業なので空き時間をフル活用でき、意外と若い世代に買い手がいる。自分に合ったおカネの殖やし方は必ずある。投資と副業、攻めの戦略で残りの人生を乗り切ろう。「週刊現代」2023年3月25日号よりさらに関連記事『年金を「60歳、65歳、70歳、75歳」からもらって一番おトクなのは…? その「意外すぎる答え」がわかった!』では、老後の家計の中心となる「年金」のおトクなもらい方を紹介する。
まず、おすすめしたいのは、初期費用がほとんどかからない手持ちの資源を生かす副業だ。
マイカーを貸すのがその一つ。家で眠っている愛車をシェアリングサービスを通じて個人に有料で貸し出し、小遣いを稼ぐというものだ。自宅の空いた駐車場を貸す副業もある。管理は専門の業者が行ってくれるので、黙っているだけでも収入が得られる。
趣味を生かした副業は、仕事をしている時間が苦にならず、セカンドライフの充実感が高まるメリットがある。特に流行にあまり影響されない趣味は、安定した需要がある点に注目したい。
例えばカメラが趣味ならば、自分が撮影した写真の販売がある。風景などを撮影し、販売サイトに投稿。利用金額に応じて謝礼が支払われ、中には月数万円を稼ぐ人もいる。カルチャースクールで学んだ技術を生かして、手作り雑貨を販売するのも人気が高い。爆発的に売れるものではないが、屋内での作業なので空き時間をフル活用でき、意外と若い世代に買い手がいる。
自分に合ったおカネの殖やし方は必ずある。投資と副業、攻めの戦略で残りの人生を乗り切ろう。
「週刊現代」2023年3月25日号より
さらに関連記事『年金を「60歳、65歳、70歳、75歳」からもらって一番おトクなのは…? その「意外すぎる答え」がわかった!』では、老後の家計の中心となる「年金」のおトクなもらい方を紹介する。