2021年10月に東京都足立区で最大震度5強を観測した地震で、走行中の東京都営新交通システム「日暮里・舎人(とねり)ライナー」が脱線して乗客8人が負傷した事故で、国の運輸安全委員会は16日、事故原因についての調査報告書を公表した。地震の揺れで列車が大きく揺さぶられ、正常に走行させる仕組みも破損したことで脱線したと結論づけた。現場付近は地震の揺れの影響を受けやすい場所で、先頭車両の前台車は30センチ弱浮き上がったとみられるという。
舎人ライナー脱線の詳細、東京都交通局が明らかに 事故は21年10月7日午後10時40分ごろ、舎人公園駅(足立区)の構内で発生した。出発したばかりの5両編成のうち先頭車両の一部が脱線した。乗客29人のうち8人がけがをした。復旧作業などのため、日暮里・舎人ライナーは11日の始発まで運転を見合わせた。 報告書などによると、日暮里・舎人ライナーは乗務員が乗車しない無人運転で、事故当日は運転指令区の担当者が地震発生を受け、非常ブレーキを作動させた。事故のあった車両は完全に停止するまで約10秒かかったという。 日暮里・舎人ライナーは、周囲より高くなった走行路をタイヤを付けた車両が走行する。走行路から落ちずにルート上を運行するため、左右の壁にガイドウエー(案内軌条)と呼ばれる部品が付き、車両のガイドローラー(案内輪)を当てる仕組みになっている。この時の地震で大きく列車が揺さぶられ、先頭車両の前台車右側の一部分が右側のガイドウエーに乗り上げる形になった。右側のガイドウエーはその衝撃で脱落し、先頭車両が少し右側にずれたまま走行を続けた。 列車はそのまま分岐部分に差し掛かった。分岐では、案内軌条や案内輪とは別の部品だが、同様に車両を安定して走行させる仕組みがあった。しかし、先頭車両が右側にずれていたため機能しなかった。このため先頭車両は左右のタイヤの一部が走行路から落ちて脱線した。 また運輸安全委は報告書で、脱線直後に脱線の有無を確認せずに再送電し、電車線の付近から火花が散って車両内に煙が入る状況となったことも指摘。都交通局に対し、緊急時の対応手順を整理することなどを求めた。 都交通局は16日、「報告書の内容を真摯(しんし)に受け止め、再発防止策の徹底を図り、お客様により一層安心してご利用いただけるよう努めてまいります」とのコメントを出した。【木下翔太郎】
事故は21年10月7日午後10時40分ごろ、舎人公園駅(足立区)の構内で発生した。出発したばかりの5両編成のうち先頭車両の一部が脱線した。乗客29人のうち8人がけがをした。復旧作業などのため、日暮里・舎人ライナーは11日の始発まで運転を見合わせた。
報告書などによると、日暮里・舎人ライナーは乗務員が乗車しない無人運転で、事故当日は運転指令区の担当者が地震発生を受け、非常ブレーキを作動させた。事故のあった車両は完全に停止するまで約10秒かかったという。
日暮里・舎人ライナーは、周囲より高くなった走行路をタイヤを付けた車両が走行する。走行路から落ちずにルート上を運行するため、左右の壁にガイドウエー(案内軌条)と呼ばれる部品が付き、車両のガイドローラー(案内輪)を当てる仕組みになっている。この時の地震で大きく列車が揺さぶられ、先頭車両の前台車右側の一部分が右側のガイドウエーに乗り上げる形になった。右側のガイドウエーはその衝撃で脱落し、先頭車両が少し右側にずれたまま走行を続けた。
列車はそのまま分岐部分に差し掛かった。分岐では、案内軌条や案内輪とは別の部品だが、同様に車両を安定して走行させる仕組みがあった。しかし、先頭車両が右側にずれていたため機能しなかった。このため先頭車両は左右のタイヤの一部が走行路から落ちて脱線した。
また運輸安全委は報告書で、脱線直後に脱線の有無を確認せずに再送電し、電車線の付近から火花が散って車両内に煙が入る状況となったことも指摘。都交通局に対し、緊急時の対応手順を整理することなどを求めた。
都交通局は16日、「報告書の内容を真摯(しんし)に受け止め、再発防止策の徹底を図り、お客様により一層安心してご利用いただけるよう努めてまいります」とのコメントを出した。【木下翔太郎】