福岡県篠栗(ささぐり)町で2020年4月、5歳の男児を餓死させたとして、保護責任者遺棄致死などの罪に問われ、1審で求刑通り懲役15年の判決を受けた赤堀恵美子被告(49)の控訴審第1回公判が15日、福岡高裁(市川太志裁判長)であった。
男児の母親の「ママ友」だった赤堀被告側は1審に続き無罪を主張し、検察側は控訴棄却を求めて即日結審した。判決は3月9日。
1審・福岡地裁の裁判員裁判判決は、母親の碇(いかり)利恵受刑者(41)(保護責任者遺棄致死罪で懲役5年が確定)の証言は信用できると判断。赤堀被告が碇受刑者に、碇受刑者の三男、翔士郎(しょうじろう)ちゃんの食事を抜くことなどを指示し、虐待を主導したと認めた。
赤堀被告は起訴事実を全面的に否認しており、弁護側はこの日の控訴審で、「我が子が餓死するまで、赤堀被告の荒唐無稽なうそを信じたとする母親の供述は信用できない」として、1審判決の事実誤認を主張。主な養育者だった碇受刑者と比較して量刑が重すぎるとも訴えた。一方、新たな証拠は提出しなかった。
1審判決によると、赤堀被告は碇受刑者に、碇受刑者がトラブルに巻き込まれているなどとうそをつき、そうしたトラブルの解決費用名目で碇受刑者から計約200万円をだまし取るなどして生活全般を支配。碇受刑者と共謀して19年8月頃から、翔士郎ちゃんの食事を減らし、20年4月18日に餓死させた。