名古屋市北区の路上で2019年6月、男性2人を刺殺したなどとして殺人と銃刀法違反の罪に問われた無職、佐藤俊彦被告(41)の裁判員裁判の初公判が29日、名古屋地裁(山田耕司裁判長)で始まり、弁護側は起訴内容をおおむね認めた。ただ「事件当時は心神喪失か心神耗弱だった」として責任能力の有無や程度は争う意向を示した。
「袋に入って…」 最後の対面、懇願もにべなく 起訴状などによると、19年6月24日午後10時半ごろ、会社員の赤松英司さん(当時41歳)と同僚の小笠原智之さん(同44歳)の胸などをサバイバルナイフ(刃体約18・5センチ)で複数回刺すなどして殺害したとしている。

検察側は冒頭陳述で、被告が自宅に設置していた防犯カメラに向かって手を振った赤松さんらに対し、2階から水を浴びせたのが発端と指摘。殺害後は自宅で血の付いた着衣を着替えてナイフを洗い、現場に落としたメガネを同居の親族に取りに行かせたとし「うつ病と診断されたことはあったが、当時は了解可能な行動をとっており責任能力はあった」と主張した。 一方弁護側は、被告は「下まで下りてこい」などと促されて出た路上で、赤松さんらに腕をつかまれ、背中を押された際に聞こえた「刺せ」との幻聴に突き動かされたと反論。2度の自殺未遂を経験し、複数の精神科病院に通院したと説明し、「(幻聴が聞こえる)統合失調症とは診断されていないが、責任能力はなく、あっても限定的」と訴え、無罪や減軽を求めた。【藤顕一郎】
起訴状などによると、19年6月24日午後10時半ごろ、会社員の赤松英司さん(当時41歳)と同僚の小笠原智之さん(同44歳)の胸などをサバイバルナイフ(刃体約18・5センチ)で複数回刺すなどして殺害したとしている。
検察側は冒頭陳述で、被告が自宅に設置していた防犯カメラに向かって手を振った赤松さんらに対し、2階から水を浴びせたのが発端と指摘。殺害後は自宅で血の付いた着衣を着替えてナイフを洗い、現場に落としたメガネを同居の親族に取りに行かせたとし「うつ病と診断されたことはあったが、当時は了解可能な行動をとっており責任能力はあった」と主張した。
一方弁護側は、被告は「下まで下りてこい」などと促されて出た路上で、赤松さんらに腕をつかまれ、背中を押された際に聞こえた「刺せ」との幻聴に突き動かされたと反論。2度の自殺未遂を経験し、複数の精神科病院に通院したと説明し、「(幻聴が聞こえる)統合失調症とは診断されていないが、責任能力はなく、あっても限定的」と訴え、無罪や減軽を求めた。【藤顕一郎】