8月27日土曜日の午前0時ごろ。神戸市内にあるキムチの無人販売店に姿を見せた、黒いTシャツ姿の男。
男は手慣れた様子で商品を選び取り、すぐに袋に詰め、料金を支払わずにそのまま出て行ってしまいました。
キムチ3点、1500円相当を盗んだ疑いで現行犯で逮捕されたのは、神戸市内に住む40歳の無職の男です。
所持金26円だったという男は、警察の調べに対し「ここのキムチがおいしかった」と答え、「キムチがおいしかった」から犯行に及んだと容疑を認めています。
あまりにも身勝手な動機による犯行。この無人販売店では、8月15日以降、6回にわたり窃盗被害が出ているといいます。めざまし8が独自に入手した防犯カメラには、逮捕された男と同じ柄のTシャツを着た男が、犯行に及ぶ様子が捉えられていました。
被害にあった無人販売店は、2022年5月にオープン。兵庫県内で親子3代にわたって続く、韓国惣菜の専門店が手がけたもので、本場・韓国の調味料にこだわった種類豊富な手作りキムチが評判だといいます。朝並べたばかりの商品の中には、午後2時に売り切れとなるものも。
そんな人気店で異変が起きたのは、8月15日のことでした。この日の防犯カメラ映像を見てみると、黒いTシャツ姿の男が、商品の並ぶ冷蔵庫の前に立ち、何かを迷っているかのように、左右に体を揺らします。
ようやく冷蔵庫を開け、1つめの商品を選びますが、一度扉を閉めようとしてから、2つめの商品を取るなど落ち着かない様子。その後、3つめの商品を袋に詰めると、右側にある料金箱には目もくれず、くるりと反転。足早に店を後にしました。もちろん、代金は支払っていません。
この時、入店から退店までの時間は、約1分。
この日を境に、店はほぼ2日に1回のペースで、計6回の窃盗被害に遭いました。
6回目の被害となった8月27日の映像を見てみると、黒いTシャツ姿の男は店に入るなり、今度は迷う様子もなく冷蔵庫を開け、矢継ぎ早に3種類のキムチを取ります。
そして、手際よく、それらを袋に詰めると、落ち着いた足取りで商品を持ち去りました。要した時間は36秒。
15日の窃盗被害に比べて、半分近くになっていました。
めざまし8が被害にあった無人販売店を訪れると、入り口で真っ先に目に入ってきたのは、防犯カメラの存在を知らせる注意書き。店の中に入ると、商品の入った冷蔵庫にも「防犯カメラ作動中」の文字が。
ここまで防犯カメラの存在が強調されている中での犯行に、犯罪心理学の専門家は、犯人の心理をこう推察します。
新潟青陵大学大学院・碓井真史 教授:防犯カメラによって防げる犯罪は、捕まりたくないと思っている人なんですよね。顔を隠そうとする努力をしているとも見えませんし、捕まることをあまり恐れていなかったのかなと思います
コロナ禍のニーズに合わせて広がる、無人販売店で起きた窃盗被害。被害にあった無人販売店の店主は、「無人だからといって決してバレないわけではないので」と怒りをにじませました。
(めざまし8 8月30日放送)