生活保護制度により医療費が全額公費負担となることを悪用し、処方された向精神薬を転売目的で所持したとして、大阪府警生活環境課は15日、麻薬取締法違反(営利目的所持)の疑いで、大阪市西成区萩之茶屋の無職、水内雅士容疑者(51)を逮捕したと明らかにした。
水内容疑者は生活保護受給者で、入手した薬を西成区の「あいりん地区」の露店に転売していたという。府警は、生活保護制度を悪用した「貧困ビジネス」が同地区でなお横行しているとみて調べる。
捜査関係者によると、水内容疑者は多い月で26病院を58回受診。抗鬱薬や睡眠薬など約千錠の向精神薬を含む薬剤6千錠以上を窓口負担なしで処方されていた。手に入れた薬は、あいりん地区の露店で向精神薬を違法販売していた竹内雅也被告(41)=麻薬取締法違反罪で起訴=らに転売していた。竹内被告は水内容疑者のほか複数の受給者から薬を買い集め、露店の売り上げは月に50万円近くあったという。
水内容疑者の逮捕容疑は8月中旬、大阪市東住吉区の路上で、向精神薬120錠を営利目的で所持していたとしている。
府警は5月、違法露店を営業していた竹内被告を現行犯逮捕。薬の入手先として水内容疑者らが浮上した。今月14日午後、水内容疑者が西成区内の薬局で薬を受け取ったのを確認した上で、身柄を確保した。