猛暑の中ゴミのように遺棄された子猫たち 善意につけ込む卑劣行為に怒りの声 子猫はどうなった?

鹿児島県でマンゴー農園と直売所兼カフェ「はちわれ農園」を営みながら、保護猫ボランティアを行なう農業姉妹さん(@tfy0411)。蒸し暑い7月始めの夕方、農園での作業を終えると、従業員が帰った後のカフェ兼直売所の前に不審なビニール袋が置かれているのを発見した。ビニール袋越しにうっすらと見えたのは、何かが動く影。遺棄された子猫の姿だった。
【写真】ひどい!こんなふうに、捨てられていました「命」をなんだと思ってるんだ「いつかあるだろうとは思っていたけど、初めてお店の前にあからさまな捨て猫をされました」

そんなつぶやきと共に農業姉妹さんがX(旧:Twitter)に投稿した写真に写っていたのは、ビニール袋に入れられ、ゴミのように遺棄された、生後間もない数匹の子猫。子猫たちが入れられた発泡スチロールの箱を包むビニール袋は口が縛られ、空気穴さえ開けられていなかった。幸いにも、4匹の子猫はひどい猫風邪をひいていたものの、生きていた。すぐさま動物病院に連れて行ったところ、サバトラ猫1匹は猫風邪の症状が重く失明寸前だった。保護猫活動を行なっている農業姉妹さんの善意につけ込み、小さな命をゴミのように遺棄したその卑劣な行為に、憤りのリプライが殺到した。「なんてことしやがる…」「ビニール…殺す気じゃん。いちかばちかじゃん」「そもそも捨てること自体が犯罪だってのに」「まじで命をなんだと思ってるんだろ」未避妊だった飼い猫の出産に困惑したのか?それとも、野良猫が敷地内に産み落とした子猫の処遇に困ったのか?どんな事情があるにせよ、愛護動物の遺棄は犯罪だ。しかも今回の遺棄は、保護猫ボランティアの善意につけ込み、一方的に責任を押し付けた卑劣な行為と言える。発見時、驚きよりも「怒りの気持ちが大きかった」と語る、農業姉妹さん。今後は敷地内に監視カメラを設置し、対策を行うという。動物と暮らす上で覚悟すべき責任やお金のこと、避妊去勢の重要さ、そして、瀕死の状態で保護された4匹の子猫たちの現在とこれからについて、農業姉妹さんにお話を聞いた。野良猫の問題は「社会問題」ーー「いつかあるだろうとは思っていたけど」と投稿されていたのは、どうしてだったのですか?「私は野良猫の保護ボランティアをしているのですが、他の保護ボランティアさんのところに子猫が遺棄されていた話を聞いたことがありました。うちのお店は人通りの少ない場所にあるので、いつかそういったことが起こるのではないかと、常に心配していました」ーー発見時は怒りの気持ちが大きかったそうですね。「カフェ兼直売所の従業員が帰った後に遺棄されたので、翌朝まで発見されない可能性がありました。その場合、窒息や熱中症の可能性もあり、子猫の命が危なかったと思います。今回のケースは、ペットではなく野良猫だったかもしれません。例えば、敷地内で野良猫が子猫を産んでしまったとか…。田舎はまだまだ野良猫の問題が多く、餌だけあげる人もたくさんいるため、野良猫が増える一方です。ただ、野良猫の場合、発見者に全ての責任を求めるのは難しいと思います。だからと言って、保護ボランティアに丸投げするのは決して正しいことではありません。そこは理解して頂きたいところです。野良猫の問題は、社会問題として行政に取り組む姿勢を強めてもらわないと、解決はしないと思っています」無責任な遺棄を無くすには?ーー例えば、飼い主自身の病気や事故、死亡などにより、動物の飼育の継続が難しい状況になる可能性は、誰にでもあると思います。万が一に備え、どんな準備をしておくのが望ましいですか?「最近はそういうケースに備えて、猫を引き取ってくれる共済サービスを提供しているところもあります。月々の掛金が必要ですが、選択肢としてはありだと思います。最近は高齢のご両親が施設に入ったり、お子様と同居するために飼っていた猫の行き場がなくなった……という相談をよく受けます。こういったケースは、今度も増えていくのではないかと危惧しています。ご高齢の方などは、自分が猫より長生きできる可能性の有無を考え、最初から飼うことを自粛される方もいらっしゃいます。少なくともこういった”あらかじめ想定できる事態”は、飼う前にきちんと考えておくべきだと思います」ーー今回のような無責任な遺棄をなくすには、どうすればいいでしょうか?「まず、ペットを飼う際は必ず、避妊去勢を行なってほしいです。避妊せず、外に出た飼い猫が子猫を産んでしまった……といった相談が度々ありますが、それは飼い主の責任でしかありません。ペットショップでは避妊去勢の重要性などを説明せず、1匹で飼うなら避妊去勢はしなくていいですよ、などと言って、後々の負担を考えずに販売を進めようとするところもあります。動物を飼うということは、お金も労力もかかることです。避妊去勢手術の費用さえ出し渋るような経済状況なら、最初から飼う選択をしないでほしいと思います」保護された4匹の子猫の現在と今後は?発見時、遺棄された4匹の子猫は生後半月ぐらいだったという。「失明寸前で目は回復するかまだ五分五分」という状況だったサバトラの子猫だけがオスで、あとは全員メスだった。失明寸前だったオスの子猫は現在、「まだ目は少し白く濁っているものの、ちゃんと見えています」と、農業姉妹さん。他の子猫たちも元気いっぱいで、生後1ヶ月半ほどとなった今は、「食欲旺盛で、常にお腹がまるまるとしています」とのこと。すでに1匹は里親の申し出があり、今後は他の3匹も準備が出来次第、里親募集を開始するという。「里親の条件は、まず第一に、その子を最後まで大切に可愛がり、終生一緒に暮らしてくれる方。そして、完全室内飼育を約束してくれること、必ず避妊去勢を行なってくれること、ワクチン接種と適切な病院の受診をしてくれること、猫が快適に過ごせる環境を整えてくれることです。1~2週間程度のトライアル期間を経て、正式に譲渡となります」(農業姉妹さん)※猫や犬などの愛護動物の遺棄・虐待は犯罪です。やむを得ない事情がある場合は、地域の保護団体や動物病院、保健所などに必ず相談してください。無計画な繁殖による多頭飼育崩壊や殺処分、近隣への糞尿被害などを防ぐためにも、猫の完全室内飼育の徹底、また、避妊去勢に対する正しい認知と理解が必要です。(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・はやかわ かな)
「いつかあるだろうとは思っていたけど、初めてお店の前にあからさまな捨て猫をされました」
そんなつぶやきと共に農業姉妹さんがX(旧:Twitter)に投稿した写真に写っていたのは、ビニール袋に入れられ、ゴミのように遺棄された、生後間もない数匹の子猫。子猫たちが入れられた発泡スチロールの箱を包むビニール袋は口が縛られ、空気穴さえ開けられていなかった。
幸いにも、4匹の子猫はひどい猫風邪をひいていたものの、生きていた。すぐさま動物病院に連れて行ったところ、サバトラ猫1匹は猫風邪の症状が重く失明寸前だった。
保護猫活動を行なっている農業姉妹さんの善意につけ込み、小さな命をゴミのように遺棄したその卑劣な行為に、憤りのリプライが殺到した。
「なんてことしやがる…」「ビニール…殺す気じゃん。いちかばちかじゃん」「そもそも捨てること自体が犯罪だってのに」「まじで命をなんだと思ってるんだろ」
未避妊だった飼い猫の出産に困惑したのか?それとも、野良猫が敷地内に産み落とした子猫の処遇に困ったのか?どんな事情があるにせよ、愛護動物の遺棄は犯罪だ。しかも今回の遺棄は、保護猫ボランティアの善意につけ込み、一方的に責任を押し付けた卑劣な行為と言える。
発見時、驚きよりも「怒りの気持ちが大きかった」と語る、農業姉妹さん。今後は敷地内に監視カメラを設置し、対策を行うという。
動物と暮らす上で覚悟すべき責任やお金のこと、避妊去勢の重要さ、そして、瀕死の状態で保護された4匹の子猫たちの現在とこれからについて、農業姉妹さんにお話を聞いた。
ーー「いつかあるだろうとは思っていたけど」と投稿されていたのは、どうしてだったのですか?
「私は野良猫の保護ボランティアをしているのですが、他の保護ボランティアさんのところに子猫が遺棄されていた話を聞いたことがありました。うちのお店は人通りの少ない場所にあるので、いつかそういったことが起こるのではないかと、常に心配していました」
ーー発見時は怒りの気持ちが大きかったそうですね。
「カフェ兼直売所の従業員が帰った後に遺棄されたので、翌朝まで発見されない可能性がありました。その場合、窒息や熱中症の可能性もあり、子猫の命が危なかったと思います。今回のケースは、ペットではなく野良猫だったかもしれません。例えば、敷地内で野良猫が子猫を産んでしまったとか…。田舎はまだまだ野良猫の問題が多く、餌だけあげる人もたくさんいるため、野良猫が増える一方です。
ただ、野良猫の場合、発見者に全ての責任を求めるのは難しいと思います。だからと言って、保護ボランティアに丸投げするのは決して正しいことではありません。そこは理解して頂きたいところです。野良猫の問題は、社会問題として行政に取り組む姿勢を強めてもらわないと、解決はしないと思っています」
ーー例えば、飼い主自身の病気や事故、死亡などにより、動物の飼育の継続が難しい状況になる可能性は、誰にでもあると思います。万が一に備え、どんな準備をしておくのが望ましいですか?
「最近はそういうケースに備えて、猫を引き取ってくれる共済サービスを提供しているところもあります。月々の掛金が必要ですが、選択肢としてはありだと思います。最近は高齢のご両親が施設に入ったり、お子様と同居するために飼っていた猫の行き場がなくなった……という相談をよく受けます。こういったケースは、今度も増えていくのではないかと危惧しています。ご高齢の方などは、自分が猫より長生きできる可能性の有無を考え、最初から飼うことを自粛される方もいらっしゃいます。少なくともこういった”あらかじめ想定できる事態”は、飼う前にきちんと考えておくべきだと思います」
ーー今回のような無責任な遺棄をなくすには、どうすればいいでしょうか?
「まず、ペットを飼う際は必ず、避妊去勢を行なってほしいです。避妊せず、外に出た飼い猫が子猫を産んでしまった……といった相談が度々ありますが、それは飼い主の責任でしかありません。ペットショップでは避妊去勢の重要性などを説明せず、1匹で飼うなら避妊去勢はしなくていいですよ、などと言って、後々の負担を考えずに販売を進めようとするところもあります。動物を飼うということは、お金も労力もかかることです。避妊去勢手術の費用さえ出し渋るような経済状況なら、最初から飼う選択をしないでほしいと思います」
発見時、遺棄された4匹の子猫は生後半月ぐらいだったという。「失明寸前で目は回復するかまだ五分五分」という状況だったサバトラの子猫だけがオスで、あとは全員メスだった。失明寸前だったオスの子猫は現在、「まだ目は少し白く濁っているものの、ちゃんと見えています」と、農業姉妹さん。
他の子猫たちも元気いっぱいで、生後1ヶ月半ほどとなった今は、「食欲旺盛で、常にお腹がまるまるとしています」とのこと。すでに1匹は里親の申し出があり、今後は他の3匹も準備が出来次第、里親募集を開始するという。
「里親の条件は、まず第一に、その子を最後まで大切に可愛がり、終生一緒に暮らしてくれる方。そして、完全室内飼育を約束してくれること、必ず避妊去勢を行なってくれること、ワクチン接種と適切な病院の受診をしてくれること、猫が快適に過ごせる環境を整えてくれることです。1~2週間程度のトライアル期間を経て、正式に譲渡となります」(農業姉妹さん)
※猫や犬などの愛護動物の遺棄・虐待は犯罪です。やむを得ない事情がある場合は、地域の保護団体や動物病院、保健所などに必ず相談してください。無計画な繁殖による多頭飼育崩壊や殺処分、近隣への糞尿被害などを防ぐためにも、猫の完全室内飼育の徹底、また、避妊去勢に対する正しい認知と理解が必要です。
(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・はやかわ かな)