復興が進む能登半島地震の被災地で、壊れた建物を所有者に代わって解体・撤去する「公費解体」を巡る代金未払い問題が多発している。
石川県は公費解体の対象となる建物を約3万9000棟と推計し、今年10月までの完了を目指している。だが、被害の大きさと交通インフラの遮断、そしてなにより工事業者の不足によって作業は困難を極めた。苦慮した県は窓口となる業界団体の石川県構造物解体協会に委託。協会が県内元請け業者に発注し、そこから県内外の下請け業者に発注する体制をとった。
問題は業者不足で、県内や北陸だけでは足らず、関東や九州など全国から業者が参集した。その結果、二次、三次、四次、五次といった下請け業者の連鎖となり、注文書なしの口約束で工事が進められるケースが増えた。
建築業法はピンハネにつながる「丸投げ」を禁止しているが、復興が優先されて行政の監督が行き届かなかった。
今年に入って支払期日が到来しても代金が支払われないケースが増え、業者らは元請けや行政に改善を求めている。ブローカーと連絡が取れなくなった作業員らが、作業現場の業者を集団で訴える動きもある。公費解体ピンハネの実態を解明しなければなるまい。
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「週刊現代」2025年7月7日号より
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