哺乳瓶を口に突っ込み骨折も放置…幼児が衰弱死「父親の非情蛮行」

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「病院へ連れて行くタイミングは何度もあったのに、虐待を疑われることを恐れ拒み続けた。保身を優先した考えは、厳しい非難に値する」
裁判長は、男の行動をこう断罪した。
10月24日、さいたま地裁(北村和裁判長)で保護者責任遺棄致死などの罪に問われていた埼玉県美里町の無職・金井裕喜被告(31)に判決が下された。懲役10年の実刑。ケガをしていた生後3ヵ月の娘に適切な治療を受けさせず、衰弱死させたとされる。
「亡くなったのは金井被告の四女、喜空(きあ)ちゃんです。喜空ちゃんは20年8月頃からアゴの骨折や口内の傷が原因で、哺乳ができなくなったとみられています。そのため体重が増えず、低栄養状態にあった。それにもかかわらず、金井被告は妻のあずさ被告(同罪で起訴)と共謀し、喜空ちゃんを放置し治療を受けさせずにいました」(全国紙社会部記者)
事件が発覚したのは、喜空ちゃんが衰弱し始めてから1ヵ月後の9月だ。あずさ被告が「子どもの様子がおかしい。身体が青白くなっている」と119番通報。スグに搬送されたが、病院で死亡が確認された。
「喜空ちゃんの死亡原因は、傷口から細菌に感染したことによる全身機能障害でした。アゴの骨だけでなく肋骨も骨折しており、押収された喜空ちゃんの哺乳びんからは血液反応がありました。こうした状況から昨年1月、被告夫婦の逮捕にいたったんです。
喜空ちゃんのケガについて、金井被告はこう説明しています。『外で抱きかかえている時に転んでしまった。ミルクの飲み方が悪く、口に強く哺乳瓶を入れたことがあった。痛がる様子がなかったので、病院に連れて行かなかった』と」(同前)
さらに警察が取り調べを進めると、金井被告は「私がケガをさせたことに間違いありません。虐待で捕まるのがイヤで病院に行かず、そのままの状態にしていました」と供述。あずさ被告は「病院に連れて行かないといけないと思ったが、夫に拒否され従ってしまった」などと話していた。
金井被告の家族は、美里町で暮らしていた。あずさ被告が15年に未婚で子どもを出産していたため、同町は要支援の家庭として関わっていたという。
「町の職員が育児支援制度の説明をしようと金井被告の家を訪れた際、『オレのことを馬鹿にしているのか!』と激昂されたとか。虐待のリスクを警戒して、熊谷児童相談所(以下、児相)と情報共有を進めていました。しかし、20年7月に両被告が喜空ちゃんを連れて保健センターで発育測定をした時は健康状態が良好だったため、町は『虐待はない』と判断したそうです」(別の全国紙記者)
同年8月には、近隣住民から「子どもの泣き声がうるさい」との通報が入る。町と児相は「9月の乳児検診に喜空ちゃんが来なかった場合、子どもたちの状態把握に乗り出す」と決定した。
「結局、乳児検診に喜空ちゃんが訪れることはありませんでした。児相経由で親族が検診に行くよう勧めるため金井被告の家を訪ねたそうですが、応答はなかったとか」(同前)
事件が発覚したのは、それから数日後だ。もう少し早く救いの手が届いていれば、大切な命は失われずに済んだかもしれない。

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