働いているのに「タイムカード押すな」 老舗旅館で助成金不正受給1億円超返還へ 相次ぐ告発にオーナーは【報道特集】

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コロナ禍に雇用を守るための助成金の不正受給疑惑。老舗高級旅館のオーナー会社が受給した額は1億円を超えるとみられています。告発が相次ぐ中、オーナーが語った言葉とは。【写真を見る】働いているのに「タイムカード押すな」 老舗旅館で助成金不正受給1億円超返還へ 相次ぐ告発にオーナーは【報道特集】■「タイムカードを押すな」 雇用調整助成金を不正に申請か北陸最大と言われる加賀温泉郷に建つ旅館「みやびの宿 加賀百万石」。創業1907年の老舗で、かつて昭和天皇も宿泊した。224もの客室があるこの旅館で、「従業員を巻き込んだ不正が行われている」という情報が寄せられた。

村瀬健介キャスター「広大な敷地に旅館が立っているのが分かります。この高級旅館の従業員に対して、『タイムカードを押すな』という、指示の貼り紙がされていたという証言が複数あるんです」元従業員Aさんに話を聞くことができた。元従業員Aさん「僕自身もタイムカードを押すなと言われましたし、タイムカードを押す場所に『今日は押さないでくれ』『この部署のものは押さないでくれ』という張り紙がされたり」口頭での指示だけでなく、タイムカードを押す場所には「タイムカードを押さずに直行」と書かれた貼り紙がされたという。Aさんが当時の上司に理由を聞くと…元従業員Aさん「『お前らの給料は“雇用調整助成金”で補償されているんだから、安心して働けばいいんだよ』と」雇用調整助成金。会社の業績が悪化し、給料が払えなくなるなどして従業員を休ませた場合、休業手当を払う必要がある。会社が申請すれば、その休業手当分の金を国が助成してくれる制度だ。コロナ禍で多くの雇用を守るため、国は申請に必要な書類を大幅に減らし、手続きを簡素化した。だが、従業員にタイムカードを押させず「休ませた」と偽り、本当は働いていた人の分まで国に助成金を申請していれば不正にあたる。元従業員Aさん「経済活動ができない中で、雇用を守っていきたいという企業の思いがあり、国も援助しているんだと思うんです。やっぱり僕としては許せない」同様の証言は複数あり、中には旅館のオーナー=会長が指示をしていたという人もいた。私たちはその会長に話を聞くことにした。■タイムカードを押すなという指示は「全くの嘘」兵庫県・芦屋市の高級住宅街にある自宅を訪ねた。ーータイムカードを押さないようにと会社側から指示があったとする内部証言が複数あるが、どうしてそのような指示をしたのか金沢孝晃会長「するわけがない。するわけがない!」ーー会長に直接指示をされたと言っている人もいる金沢会長「全くの嘘!そんな馬鹿じゃない、私は」金沢氏が会長を務める会社「ビッグ総合開発」は、加賀百万石だけでなく大阪や京都などでも多数のホテルを所有している。金沢氏は、全日本ホテル旅館協同組合の理事長も務めている。金沢会長「この歳まで商売してきて、社員に『雇用調整助成金をもらうから、お前たちタイムカード押すな』と、そんな馬鹿な経営者じゃないよ、私は。言うわけがない、そんなもん!」ーー実際に働いていた人の分を申請したわけではない?金沢会長「当たり前でしょそんなこと!犯罪じゃないの、そんなことあったら」■出勤日でもタイムカード押印欄には「×」の意味 あくまでも“ボランティア”しかし、取材を進めると「不正の物的証拠がある」という人物が現れた。元従業員のBさんがシフト表を見せてくれた。すると、従業員の名前の下に「タイムカード押印」という欄がある。そこに「×」印。すぐ上には「出勤」の「出」の文字。これこそ、「タイムカードを押さずに勤務させていた証」だという。元従業員Bさん「×のところはタイムカードを押さない。この日ならタイムカードを押さない人が1人、2人、3人…。(タイムカードを)押してしまうと、助成金を受けられなくなると聞いた」ーー「助成金」と言ったのですか?元従業員Bさん「そうですね。はっきり助成金と言われました」「タイムカードに記録のない人は休ませていた」と、労働局に嘘の申告をして、働いていた人の分まで助成金を受けとったのではないか。元従業員Bさん「500人、600人、客が来ていたところが(コロナ禍で)下手したらゼロ、一桁もあったので。(客が)ほぼゼロの時も、働いている人は何人もいるので『もらえるものは全部もらいましょう』と。不正なことが行われているのではないかと思った」シフトを作ったのは井上取締役だという。出勤するところを直撃した。ーー「タイムカード押印×」の意味は加賀百万石 井上雅義 取締役「それは出勤しても(しなくても)どっちでもよくて、ボランティアの 気持ちがあれば手伝ってくれたら嬉しいねという程度の話。『普通に出勤しろ』とは言っていない。来てくれたらうれしいねという話です。助かるねという。1人でするより2人でする方が仕事ははかどるじゃないですか」ーーやはり(ボランティアではなく)仕事なのか?井上 取締役「ボランティアです。それ誘導尋問ですよ」タイムカードの欄が「×」の従業員は仕事ではなく、あくまでも「ボランティア」だと言う。私たちは、会長の金沢氏にもシフト表を見せた。金沢会長「タイムカードを打ってないということ?それはわからない。(このシフト表を)見たのは初めてやもん」「知らなかった」という金沢会長。金沢会長「こんなものを見たら、絶対にアカン言うわな。何をしとるんやと。私を潰すんかいうことや。コツコツ17歳から今日まで働き続けてきた人間の名誉を全部とるんかいうことになるわ。俺は今これで引退せなあかんなと思った」金沢氏は、その場でシフトを作った井上取締役に電話をかけた。金沢会長「これは『(従業員自ら)ボランティアに出るわ』と言うからそう作ったということ?」井上取締役「そうです。もしあれやったら手伝いに来てという程度の話」金沢会長「井上が『出てこい』と言ってないということ?」井上取締役「そうですね、言っていません」しかし…ーー(不正が)強く疑われる部分がある。何かしらの対応するレベルでは?金沢会長「一生懸命調べているよ。調査してますよ、そりゃ。明日労働局に行くねん。呼び出しや」実はこのインタビューの2週間前、カメラは労働局が加賀百万石に入る様子を捉えていた。労働局も調査を始めていたのだ。芦屋の金沢会長の自宅には労働局への説明の準備のため、本社で内部調査を行ったという社員たちがやってきた。社員「働いた人に対しての賃金は払っています。休業した人に対しての休業手当を申請しています」金沢会長「全く不正はないということ?」社員「不正はないです」金沢会長「証拠もみな出せるんやな」社員「出せます」あくまで不正はなかったと言う。助成金は休ませた人の分しか申請できないが、ボランティアは休み扱いだから申請しても問題ないということか。しかし…ーー(タイムカードを)押さないで出勤している人の分は申請もしていないということか?社員「それは見ていないので分からないんですけど…」申請したかどうかは決して明かさなかった。■制度の問題点 助成金の対象者にも申請情報を開示せず 元従業員のBさんは、自分の名前で雇用調整助成金が申請されているかどうか、労働局に聞いてみることにした。Bさんにはボランティアをした認識は無い。休業してもいない自分の名前で助成金が申請されていれば、それは不正の証拠になる。元従業員Bさん(労働局への電話)「雇用調整助成金のことで聞きたいのですが。僕の名前でいくら申請されたかを…。開示できないということですよね、それはなぜですか?僕の名前で申請されているのに…。守秘義務がある?」申請したのはあくまで会社であり、その内部情報は助成金の対象者にも教えられないという。厚生労働省によると、これまでに不正があったとして取り消された雇用調整助成金の額は135億円だという。その多くが実際には働いていた人を「働いていなかった」と偽っていたケースだ。コロナ禍以降、国が全国の企業や店に支払った助成金は6兆円を超えた。手続きが簡素化され、不正も増えた。厚労省は「労働局のチェックが行き届かなかったことは否定できない」と言う。だが、不正の背景には助成金の対象者にさえ申請状況を開示しない「制度の問題」もあるのではないか。元従業員Bさん「自分の個人情報も教えてもらえないのはちょっと不思議です」■働いていたのに給与明細には休業手当のみ 「確実に不正」「加賀百万石」が不正を認めない中、私たちは決定的な資料を入手した。「給与明細一覧表」だ。見せてくれたのは元従業員のCさん。 一般の従業員は見ることのないアルバイトを含めた全従業員の給与明細だ。Cさんの2021年6月の給与明細を見ると…基本給の欄は「0」となっていて、休業手当として20数万円が支払われたことになっている。だが…村瀬キャスター「普通に働いているわけですよね?」元従業員Cさん「ずっと通常出勤です。ひたすら通常出勤」村瀬キャスター「休業した覚えはない?」元従業員Cさん「休業した覚えはないですね。タイムカードを押さずに通常出勤しています。なんだろうこれは、みたいな話ですよね。確信に変わった時ですね。確実に不正ですよね、これは。国を騙して自分たちの肥やしにしているのは絶対に許されないと思う」■再び会長宅へ “不適切な申請”ついに認める不正はあったのか。様々な証拠を手に金沢会長の自宅に再び向かった。すると、妻である昌代専務が対応すると言う。村瀬キャスター「お見せしたシフト表ありますよね。出勤に○がついていて、タイムカードが×の人は、会社としては休めという指示だったのか」金沢昌代専務「現場に確認したら、出てきた時もあったというのは聞いています」村瀬キャスター「それはボランティアだということ?」昌代専務「ボランティアにはならないですね」村瀬キャスター「前に話を聞いた時はボランティアだったとしていたが」昌代専務「ボランティアと言い出したのは誰か分からないんですけど。実際には手伝っていたみたいです。調理を」村瀬キャスター「そうするとそれは…」昌代専務「出勤にしないとだめですよね」「やはりボランティアではなかった」と説明。「出勤扱いにしないといけなかった」と話し始めた。村瀬キャスター「(ボランティアだとする)その人たちの分はタイムカードを押していないわけじゃないですか」昌代専務「押していないですね」村瀬キャスター「休業していたことになっているが、助成金の申請に入ってしまっている 」昌代専務「ですね」村瀬キャスター「そこはまずかった?」昌代専務「そうですよ。把握できてなかったですからね」働いていた従業員の分まで助成金を申請していたことをついに認めた。受け取った助成金を返金する気があるのか尋ねると…昌代専務「全部返したいなというのが本当の気持ちですね。百万石だけじゃなくて(大阪も含めて)全部」加賀百万石、そして別のホテルでも不適切な申請があったことを明かした。しかし…村瀬キャスター「受給対象でない雇用調整助成金を申請したことについては 」昌代専務「全く知らなかったんですよ。会長も」村瀬キャスター「奥様も全く知らなかった」昌代専務「働いていたことすら分からなかったので」不適切な勤務管理や申請は「現場の担当者によって勝手に行われた」と話し、上層部の関与は否定した。金沢氏は私たちの取材後、会社の代表取締役を辞任し経営の一線から退いた。これまでに会社が確認した不正は4000万円だったとしている。金沢氏によると、労働局は不正申請が始まって以降の助成金の全額=1億円以上の返金を求めていて、会社はそれに応じるとしている。
コロナ禍に雇用を守るための助成金の不正受給疑惑。老舗高級旅館のオーナー会社が受給した額は1億円を超えるとみられています。告発が相次ぐ中、オーナーが語った言葉とは。
【写真を見る】働いているのに「タイムカード押すな」 老舗旅館で助成金不正受給1億円超返還へ 相次ぐ告発にオーナーは【報道特集】■「タイムカードを押すな」 雇用調整助成金を不正に申請か北陸最大と言われる加賀温泉郷に建つ旅館「みやびの宿 加賀百万石」。創業1907年の老舗で、かつて昭和天皇も宿泊した。224もの客室があるこの旅館で、「従業員を巻き込んだ不正が行われている」という情報が寄せられた。

村瀬健介キャスター「広大な敷地に旅館が立っているのが分かります。この高級旅館の従業員に対して、『タイムカードを押すな』という、指示の貼り紙がされていたという証言が複数あるんです」元従業員Aさんに話を聞くことができた。元従業員Aさん「僕自身もタイムカードを押すなと言われましたし、タイムカードを押す場所に『今日は押さないでくれ』『この部署のものは押さないでくれ』という張り紙がされたり」口頭での指示だけでなく、タイムカードを押す場所には「タイムカードを押さずに直行」と書かれた貼り紙がされたという。Aさんが当時の上司に理由を聞くと…元従業員Aさん「『お前らの給料は“雇用調整助成金”で補償されているんだから、安心して働けばいいんだよ』と」雇用調整助成金。会社の業績が悪化し、給料が払えなくなるなどして従業員を休ませた場合、休業手当を払う必要がある。会社が申請すれば、その休業手当分の金を国が助成してくれる制度だ。コロナ禍で多くの雇用を守るため、国は申請に必要な書類を大幅に減らし、手続きを簡素化した。だが、従業員にタイムカードを押させず「休ませた」と偽り、本当は働いていた人の分まで国に助成金を申請していれば不正にあたる。元従業員Aさん「経済活動ができない中で、雇用を守っていきたいという企業の思いがあり、国も援助しているんだと思うんです。やっぱり僕としては許せない」同様の証言は複数あり、中には旅館のオーナー=会長が指示をしていたという人もいた。私たちはその会長に話を聞くことにした。■タイムカードを押すなという指示は「全くの嘘」兵庫県・芦屋市の高級住宅街にある自宅を訪ねた。ーータイムカードを押さないようにと会社側から指示があったとする内部証言が複数あるが、どうしてそのような指示をしたのか金沢孝晃会長「するわけがない。するわけがない!」ーー会長に直接指示をされたと言っている人もいる金沢会長「全くの嘘!そんな馬鹿じゃない、私は」金沢氏が会長を務める会社「ビッグ総合開発」は、加賀百万石だけでなく大阪や京都などでも多数のホテルを所有している。金沢氏は、全日本ホテル旅館協同組合の理事長も務めている。金沢会長「この歳まで商売してきて、社員に『雇用調整助成金をもらうから、お前たちタイムカード押すな』と、そんな馬鹿な経営者じゃないよ、私は。言うわけがない、そんなもん!」ーー実際に働いていた人の分を申請したわけではない?金沢会長「当たり前でしょそんなこと!犯罪じゃないの、そんなことあったら」■出勤日でもタイムカード押印欄には「×」の意味 あくまでも“ボランティア”しかし、取材を進めると「不正の物的証拠がある」という人物が現れた。元従業員のBさんがシフト表を見せてくれた。すると、従業員の名前の下に「タイムカード押印」という欄がある。そこに「×」印。すぐ上には「出勤」の「出」の文字。これこそ、「タイムカードを押さずに勤務させていた証」だという。元従業員Bさん「×のところはタイムカードを押さない。この日ならタイムカードを押さない人が1人、2人、3人…。(タイムカードを)押してしまうと、助成金を受けられなくなると聞いた」ーー「助成金」と言ったのですか?元従業員Bさん「そうですね。はっきり助成金と言われました」「タイムカードに記録のない人は休ませていた」と、労働局に嘘の申告をして、働いていた人の分まで助成金を受けとったのではないか。元従業員Bさん「500人、600人、客が来ていたところが(コロナ禍で)下手したらゼロ、一桁もあったので。(客が)ほぼゼロの時も、働いている人は何人もいるので『もらえるものは全部もらいましょう』と。不正なことが行われているのではないかと思った」シフトを作ったのは井上取締役だという。出勤するところを直撃した。ーー「タイムカード押印×」の意味は加賀百万石 井上雅義 取締役「それは出勤しても(しなくても)どっちでもよくて、ボランティアの 気持ちがあれば手伝ってくれたら嬉しいねという程度の話。『普通に出勤しろ』とは言っていない。来てくれたらうれしいねという話です。助かるねという。1人でするより2人でする方が仕事ははかどるじゃないですか」ーーやはり(ボランティアではなく)仕事なのか?井上 取締役「ボランティアです。それ誘導尋問ですよ」タイムカードの欄が「×」の従業員は仕事ではなく、あくまでも「ボランティア」だと言う。私たちは、会長の金沢氏にもシフト表を見せた。金沢会長「タイムカードを打ってないということ?それはわからない。(このシフト表を)見たのは初めてやもん」「知らなかった」という金沢会長。金沢会長「こんなものを見たら、絶対にアカン言うわな。何をしとるんやと。私を潰すんかいうことや。コツコツ17歳から今日まで働き続けてきた人間の名誉を全部とるんかいうことになるわ。俺は今これで引退せなあかんなと思った」金沢氏は、その場でシフトを作った井上取締役に電話をかけた。金沢会長「これは『(従業員自ら)ボランティアに出るわ』と言うからそう作ったということ?」井上取締役「そうです。もしあれやったら手伝いに来てという程度の話」金沢会長「井上が『出てこい』と言ってないということ?」井上取締役「そうですね、言っていません」しかし…ーー(不正が)強く疑われる部分がある。何かしらの対応するレベルでは?金沢会長「一生懸命調べているよ。調査してますよ、そりゃ。明日労働局に行くねん。呼び出しや」実はこのインタビューの2週間前、カメラは労働局が加賀百万石に入る様子を捉えていた。労働局も調査を始めていたのだ。芦屋の金沢会長の自宅には労働局への説明の準備のため、本社で内部調査を行ったという社員たちがやってきた。社員「働いた人に対しての賃金は払っています。休業した人に対しての休業手当を申請しています」金沢会長「全く不正はないということ?」社員「不正はないです」金沢会長「証拠もみな出せるんやな」社員「出せます」あくまで不正はなかったと言う。助成金は休ませた人の分しか申請できないが、ボランティアは休み扱いだから申請しても問題ないということか。しかし…ーー(タイムカードを)押さないで出勤している人の分は申請もしていないということか?社員「それは見ていないので分からないんですけど…」申請したかどうかは決して明かさなかった。■制度の問題点 助成金の対象者にも申請情報を開示せず 元従業員のBさんは、自分の名前で雇用調整助成金が申請されているかどうか、労働局に聞いてみることにした。Bさんにはボランティアをした認識は無い。休業してもいない自分の名前で助成金が申請されていれば、それは不正の証拠になる。元従業員Bさん(労働局への電話)「雇用調整助成金のことで聞きたいのですが。僕の名前でいくら申請されたかを…。開示できないということですよね、それはなぜですか?僕の名前で申請されているのに…。守秘義務がある?」申請したのはあくまで会社であり、その内部情報は助成金の対象者にも教えられないという。厚生労働省によると、これまでに不正があったとして取り消された雇用調整助成金の額は135億円だという。その多くが実際には働いていた人を「働いていなかった」と偽っていたケースだ。コロナ禍以降、国が全国の企業や店に支払った助成金は6兆円を超えた。手続きが簡素化され、不正も増えた。厚労省は「労働局のチェックが行き届かなかったことは否定できない」と言う。だが、不正の背景には助成金の対象者にさえ申請状況を開示しない「制度の問題」もあるのではないか。元従業員Bさん「自分の個人情報も教えてもらえないのはちょっと不思議です」■働いていたのに給与明細には休業手当のみ 「確実に不正」「加賀百万石」が不正を認めない中、私たちは決定的な資料を入手した。「給与明細一覧表」だ。見せてくれたのは元従業員のCさん。 一般の従業員は見ることのないアルバイトを含めた全従業員の給与明細だ。Cさんの2021年6月の給与明細を見ると…基本給の欄は「0」となっていて、休業手当として20数万円が支払われたことになっている。だが…村瀬キャスター「普通に働いているわけですよね?」元従業員Cさん「ずっと通常出勤です。ひたすら通常出勤」村瀬キャスター「休業した覚えはない?」元従業員Cさん「休業した覚えはないですね。タイムカードを押さずに通常出勤しています。なんだろうこれは、みたいな話ですよね。確信に変わった時ですね。確実に不正ですよね、これは。国を騙して自分たちの肥やしにしているのは絶対に許されないと思う」■再び会長宅へ “不適切な申請”ついに認める不正はあったのか。様々な証拠を手に金沢会長の自宅に再び向かった。すると、妻である昌代専務が対応すると言う。村瀬キャスター「お見せしたシフト表ありますよね。出勤に○がついていて、タイムカードが×の人は、会社としては休めという指示だったのか」金沢昌代専務「現場に確認したら、出てきた時もあったというのは聞いています」村瀬キャスター「それはボランティアだということ?」昌代専務「ボランティアにはならないですね」村瀬キャスター「前に話を聞いた時はボランティアだったとしていたが」昌代専務「ボランティアと言い出したのは誰か分からないんですけど。実際には手伝っていたみたいです。調理を」村瀬キャスター「そうするとそれは…」昌代専務「出勤にしないとだめですよね」「やはりボランティアではなかった」と説明。「出勤扱いにしないといけなかった」と話し始めた。村瀬キャスター「(ボランティアだとする)その人たちの分はタイムカードを押していないわけじゃないですか」昌代専務「押していないですね」村瀬キャスター「休業していたことになっているが、助成金の申請に入ってしまっている 」昌代専務「ですね」村瀬キャスター「そこはまずかった?」昌代専務「そうですよ。把握できてなかったですからね」働いていた従業員の分まで助成金を申請していたことをついに認めた。受け取った助成金を返金する気があるのか尋ねると…昌代専務「全部返したいなというのが本当の気持ちですね。百万石だけじゃなくて(大阪も含めて)全部」加賀百万石、そして別のホテルでも不適切な申請があったことを明かした。しかし…村瀬キャスター「受給対象でない雇用調整助成金を申請したことについては 」昌代専務「全く知らなかったんですよ。会長も」村瀬キャスター「奥様も全く知らなかった」昌代専務「働いていたことすら分からなかったので」不適切な勤務管理や申請は「現場の担当者によって勝手に行われた」と話し、上層部の関与は否定した。金沢氏は私たちの取材後、会社の代表取締役を辞任し経営の一線から退いた。これまでに会社が確認した不正は4000万円だったとしている。金沢氏によると、労働局は不正申請が始まって以降の助成金の全額=1億円以上の返金を求めていて、会社はそれに応じるとしている。
北陸最大と言われる加賀温泉郷に建つ旅館「みやびの宿 加賀百万石」。創業1907年の老舗で、かつて昭和天皇も宿泊した。
224もの客室があるこの旅館で、「従業員を巻き込んだ不正が行われている」という情報が寄せられた。
村瀬健介キャスター「広大な敷地に旅館が立っているのが分かります。この高級旅館の従業員に対して、『タイムカードを押すな』という、指示の貼り紙がされていたという証言が複数あるんです」
元従業員Aさんに話を聞くことができた。
元従業員Aさん「僕自身もタイムカードを押すなと言われましたし、タイムカードを押す場所に『今日は押さないでくれ』『この部署のものは押さないでくれ』という張り紙がされたり」
口頭での指示だけでなく、タイムカードを押す場所には「タイムカードを押さずに直行」と書かれた貼り紙がされたという。Aさんが当時の上司に理由を聞くと…
元従業員Aさん「『お前らの給料は“雇用調整助成金”で補償されているんだから、安心して働けばいいんだよ』と」
雇用調整助成金。会社の業績が悪化し、給料が払えなくなるなどして従業員を休ませた場合、休業手当を払う必要がある。会社が申請すれば、その休業手当分の金を国が助成してくれる制度だ。
コロナ禍で多くの雇用を守るため、国は申請に必要な書類を大幅に減らし、手続きを簡素化した。だが、従業員にタイムカードを押させず「休ませた」と偽り、本当は働いていた人の分まで国に助成金を申請していれば不正にあたる。
元従業員Aさん「経済活動ができない中で、雇用を守っていきたいという企業の思いがあり、国も援助しているんだと思うんです。やっぱり僕としては許せない」
同様の証言は複数あり、中には旅館のオーナー=会長が指示をしていたという人もいた。私たちはその会長に話を聞くことにした。
兵庫県・芦屋市の高級住宅街にある自宅を訪ねた。
ーータイムカードを押さないようにと会社側から指示があったとする内部証言が複数あるが、どうしてそのような指示をしたのか
金沢孝晃会長「するわけがない。するわけがない!」
ーー会長に直接指示をされたと言っている人もいる
金沢会長「全くの嘘!そんな馬鹿じゃない、私は」
金沢氏が会長を務める会社「ビッグ総合開発」は、加賀百万石だけでなく大阪や京都などでも多数のホテルを所有している。金沢氏は、全日本ホテル旅館協同組合の理事長も務めている。
金沢会長「この歳まで商売してきて、社員に『雇用調整助成金をもらうから、お前たちタイムカード押すな』と、そんな馬鹿な経営者じゃないよ、私は。言うわけがない、そんなもん!」
ーー実際に働いていた人の分を申請したわけではない?
金沢会長「当たり前でしょそんなこと!犯罪じゃないの、そんなことあったら」
しかし、取材を進めると「不正の物的証拠がある」という人物が現れた。元従業員のBさんがシフト表を見せてくれた。
すると、従業員の名前の下に「タイムカード押印」という欄がある。そこに「×」印。すぐ上には「出勤」の「出」の文字。これこそ、「タイムカードを押さずに勤務させていた証」だという。
元従業員Bさん「×のところはタイムカードを押さない。この日ならタイムカードを押さない人が1人、2人、3人…。(タイムカードを)押してしまうと、助成金を受けられなくなると聞いた」
ーー「助成金」と言ったのですか?
元従業員Bさん「そうですね。はっきり助成金と言われました」
「タイムカードに記録のない人は休ませていた」と、労働局に嘘の申告をして、働いていた人の分まで助成金を受けとったのではないか。
元従業員Bさん「500人、600人、客が来ていたところが(コロナ禍で)下手したらゼロ、一桁もあったので。(客が)ほぼゼロの時も、働いている人は何人もいるので『もらえるものは全部もらいましょう』と。不正なことが行われているのではないかと思った」
シフトを作ったのは井上取締役だという。出勤するところを直撃した。
ーー「タイムカード押印×」の意味は
加賀百万石 井上雅義 取締役「それは出勤しても(しなくても)どっちでもよくて、ボランティアの 気持ちがあれば手伝ってくれたら嬉しいねという程度の話。『普通に出勤しろ』とは言っていない。来てくれたらうれしいねという話です。助かるねという。1人でするより2人でする方が仕事ははかどるじゃないですか」
ーーやはり(ボランティアではなく)仕事なのか?
井上 取締役「ボランティアです。それ誘導尋問ですよ」
タイムカードの欄が「×」の従業員は仕事ではなく、あくまでも「ボランティア」だと言う。
私たちは、会長の金沢氏にもシフト表を見せた。
金沢会長「タイムカードを打ってないということ?それはわからない。(このシフト表を)見たのは初めてやもん」
「知らなかった」という金沢会長。
金沢会長「こんなものを見たら、絶対にアカン言うわな。何をしとるんやと。私を潰すんかいうことや。コツコツ17歳から今日まで働き続けてきた人間の名誉を全部とるんかいうことになるわ。俺は今これで引退せなあかんなと思った」
金沢氏は、その場でシフトを作った井上取締役に電話をかけた。
金沢会長「これは『(従業員自ら)ボランティアに出るわ』と言うからそう作ったということ?」
井上取締役「そうです。もしあれやったら手伝いに来てという程度の話」
金沢会長「井上が『出てこい』と言ってないということ?」
井上取締役「そうですね、言っていません」
しかし…
ーー(不正が)強く疑われる部分がある。何かしらの対応するレベルでは?
金沢会長「一生懸命調べているよ。調査してますよ、そりゃ。明日労働局に行くねん。呼び出しや」
実はこのインタビューの2週間前、カメラは労働局が加賀百万石に入る様子を捉えていた。労働局も調査を始めていたのだ。
芦屋の金沢会長の自宅には労働局への説明の準備のため、本社で内部調査を行ったという社員たちがやってきた。
社員「働いた人に対しての賃金は払っています。休業した人に対しての休業手当を申請しています」
金沢会長「全く不正はないということ?」
社員「不正はないです」
金沢会長「証拠もみな出せるんやな」
社員「出せます」
あくまで不正はなかったと言う。
助成金は休ませた人の分しか申請できないが、ボランティアは休み扱いだから申請しても問題ないということか。しかし…
ーー(タイムカードを)押さないで出勤している人の分は申請もしていないということか?
社員「それは見ていないので分からないんですけど…」
申請したかどうかは決して明かさなかった。
元従業員のBさんは、自分の名前で雇用調整助成金が申請されているかどうか、労働局に聞いてみることにした。Bさんにはボランティアをした認識は無い。休業してもいない自分の名前で助成金が申請されていれば、それは不正の証拠になる。
元従業員Bさん(労働局への電話)「雇用調整助成金のことで聞きたいのですが。僕の名前でいくら申請されたかを…。開示できないということですよね、それはなぜですか?僕の名前で申請されているのに…。守秘義務がある?」申請したのはあくまで会社であり、その内部情報は助成金の対象者にも教えられないという。厚生労働省によると、これまでに不正があったとして取り消された雇用調整助成金の額は135億円だという。その多くが実際には働いていた人を「働いていなかった」と偽っていたケースだ。コロナ禍以降、国が全国の企業や店に支払った助成金は6兆円を超えた。手続きが簡素化され、不正も増えた。厚労省は「労働局のチェックが行き届かなかったことは否定できない」と言う。だが、不正の背景には助成金の対象者にさえ申請状況を開示しない「制度の問題」もあるのではないか。元従業員Bさん「自分の個人情報も教えてもらえないのはちょっと不思議です」■働いていたのに給与明細には休業手当のみ 「確実に不正」「加賀百万石」が不正を認めない中、私たちは決定的な資料を入手した。「給与明細一覧表」だ。見せてくれたのは元従業員のCさん。 一般の従業員は見ることのないアルバイトを含めた全従業員の給与明細だ。Cさんの2021年6月の給与明細を見ると…基本給の欄は「0」となっていて、休業手当として20数万円が支払われたことになっている。だが…村瀬キャスター「普通に働いているわけですよね?」元従業員Cさん「ずっと通常出勤です。ひたすら通常出勤」村瀬キャスター「休業した覚えはない?」元従業員Cさん「休業した覚えはないですね。タイムカードを押さずに通常出勤しています。なんだろうこれは、みたいな話ですよね。確信に変わった時ですね。確実に不正ですよね、これは。国を騙して自分たちの肥やしにしているのは絶対に許されないと思う」■再び会長宅へ “不適切な申請”ついに認める不正はあったのか。様々な証拠を手に金沢会長の自宅に再び向かった。すると、妻である昌代専務が対応すると言う。村瀬キャスター「お見せしたシフト表ありますよね。出勤に○がついていて、タイムカードが×の人は、会社としては休めという指示だったのか」金沢昌代専務「現場に確認したら、出てきた時もあったというのは聞いています」村瀬キャスター「それはボランティアだということ?」昌代専務「ボランティアにはならないですね」村瀬キャスター「前に話を聞いた時はボランティアだったとしていたが」昌代専務「ボランティアと言い出したのは誰か分からないんですけど。実際には手伝っていたみたいです。調理を」村瀬キャスター「そうするとそれは…」昌代専務「出勤にしないとだめですよね」「やはりボランティアではなかった」と説明。「出勤扱いにしないといけなかった」と話し始めた。村瀬キャスター「(ボランティアだとする)その人たちの分はタイムカードを押していないわけじゃないですか」昌代専務「押していないですね」村瀬キャスター「休業していたことになっているが、助成金の申請に入ってしまっている 」昌代専務「ですね」村瀬キャスター「そこはまずかった?」昌代専務「そうですよ。把握できてなかったですからね」働いていた従業員の分まで助成金を申請していたことをついに認めた。受け取った助成金を返金する気があるのか尋ねると…昌代専務「全部返したいなというのが本当の気持ちですね。百万石だけじゃなくて(大阪も含めて)全部」加賀百万石、そして別のホテルでも不適切な申請があったことを明かした。しかし…村瀬キャスター「受給対象でない雇用調整助成金を申請したことについては 」昌代専務「全く知らなかったんですよ。会長も」村瀬キャスター「奥様も全く知らなかった」昌代専務「働いていたことすら分からなかったので」不適切な勤務管理や申請は「現場の担当者によって勝手に行われた」と話し、上層部の関与は否定した。金沢氏は私たちの取材後、会社の代表取締役を辞任し経営の一線から退いた。これまでに会社が確認した不正は4000万円だったとしている。金沢氏によると、労働局は不正申請が始まって以降の助成金の全額=1億円以上の返金を求めていて、会社はそれに応じるとしている。
元従業員Bさん(労働局への電話)「雇用調整助成金のことで聞きたいのですが。僕の名前でいくら申請されたかを…。開示できないということですよね、それはなぜですか?僕の名前で申請されているのに…。守秘義務がある?」
申請したのはあくまで会社であり、その内部情報は助成金の対象者にも教えられないという。
厚生労働省によると、これまでに不正があったとして取り消された雇用調整助成金の額は135億円だという。その多くが実際には働いていた人を「働いていなかった」と偽っていたケースだ。
コロナ禍以降、国が全国の企業や店に支払った助成金は6兆円を超えた。手続きが簡素化され、不正も増えた。厚労省は「労働局のチェックが行き届かなかったことは否定できない」と言う。
だが、不正の背景には助成金の対象者にさえ申請状況を開示しない「制度の問題」もあるのではないか。
元従業員Bさん「自分の個人情報も教えてもらえないのはちょっと不思議です」
「加賀百万石」が不正を認めない中、私たちは決定的な資料を入手した。「給与明細一覧表」だ。見せてくれたのは元従業員のCさん。 一般の従業員は見ることのないアルバイトを含めた全従業員の給与明細だ。
Cさんの2021年6月の給与明細を見ると…
基本給の欄は「0」となっていて、休業手当として20数万円が支払われたことになっている。だが…
村瀬キャスター「普通に働いているわけですよね?」
元従業員Cさん「ずっと通常出勤です。ひたすら通常出勤」
村瀬キャスター「休業した覚えはない?」元従業員Cさん「休業した覚えはないですね。タイムカードを押さずに通常出勤しています。なんだろうこれは、みたいな話ですよね。確信に変わった時ですね。確実に不正ですよね、これは。国を騙して自分たちの肥やしにしているのは絶対に許されないと思う」■再び会長宅へ “不適切な申請”ついに認める不正はあったのか。様々な証拠を手に金沢会長の自宅に再び向かった。すると、妻である昌代専務が対応すると言う。村瀬キャスター「お見せしたシフト表ありますよね。出勤に○がついていて、タイムカードが×の人は、会社としては休めという指示だったのか」金沢昌代専務「現場に確認したら、出てきた時もあったというのは聞いています」村瀬キャスター「それはボランティアだということ?」昌代専務「ボランティアにはならないですね」村瀬キャスター「前に話を聞いた時はボランティアだったとしていたが」昌代専務「ボランティアと言い出したのは誰か分からないんですけど。実際には手伝っていたみたいです。調理を」村瀬キャスター「そうするとそれは…」昌代専務「出勤にしないとだめですよね」「やはりボランティアではなかった」と説明。「出勤扱いにしないといけなかった」と話し始めた。村瀬キャスター「(ボランティアだとする)その人たちの分はタイムカードを押していないわけじゃないですか」昌代専務「押していないですね」村瀬キャスター「休業していたことになっているが、助成金の申請に入ってしまっている 」昌代専務「ですね」村瀬キャスター「そこはまずかった?」昌代専務「そうですよ。把握できてなかったですからね」働いていた従業員の分まで助成金を申請していたことをついに認めた。受け取った助成金を返金する気があるのか尋ねると…昌代専務「全部返したいなというのが本当の気持ちですね。百万石だけじゃなくて(大阪も含めて)全部」加賀百万石、そして別のホテルでも不適切な申請があったことを明かした。しかし…村瀬キャスター「受給対象でない雇用調整助成金を申請したことについては 」昌代専務「全く知らなかったんですよ。会長も」村瀬キャスター「奥様も全く知らなかった」昌代専務「働いていたことすら分からなかったので」不適切な勤務管理や申請は「現場の担当者によって勝手に行われた」と話し、上層部の関与は否定した。金沢氏は私たちの取材後、会社の代表取締役を辞任し経営の一線から退いた。これまでに会社が確認した不正は4000万円だったとしている。金沢氏によると、労働局は不正申請が始まって以降の助成金の全額=1億円以上の返金を求めていて、会社はそれに応じるとしている。
村瀬キャスター「休業した覚えはない?」
元従業員Cさん「休業した覚えはないですね。タイムカードを押さずに通常出勤しています。なんだろうこれは、みたいな話ですよね。確信に変わった時ですね。確実に不正ですよね、これは。国を騙して自分たちの肥やしにしているのは絶対に許されないと思う」
不正はあったのか。様々な証拠を手に金沢会長の自宅に再び向かった。すると、妻である昌代専務が対応すると言う。
村瀬キャスター「お見せしたシフト表ありますよね。出勤に○がついていて、タイムカードが×の人は、会社としては休めという指示だったのか」
金沢昌代専務「現場に確認したら、出てきた時もあったというのは聞いています」
村瀬キャスター「それはボランティアだということ?」
昌代専務「ボランティアにはならないですね」
村瀬キャスター「前に話を聞いた時はボランティアだったとしていたが」
昌代専務「ボランティアと言い出したのは誰か分からないんですけど。実際には手伝っていたみたいです。調理を」
村瀬キャスター「そうするとそれは…」
昌代専務「出勤にしないとだめですよね」
「やはりボランティアではなかった」と説明。「出勤扱いにしないといけなかった」と話し始めた。
村瀬キャスター「(ボランティアだとする)その人たちの分はタイムカードを押していないわけじゃないですか」
昌代専務「押していないですね」
村瀬キャスター「休業していたことになっているが、助成金の申請に入ってしまっている 」
昌代専務「ですね」
村瀬キャスター「そこはまずかった?」
昌代専務「そうですよ。把握できてなかったですからね」
働いていた従業員の分まで助成金を申請していたことをついに認めた。受け取った助成金を返金する気があるのか尋ねると…
昌代専務「全部返したいなというのが本当の気持ちですね。百万石だけじゃなくて(大阪も含めて)全部」
加賀百万石、そして別のホテルでも不適切な申請があったことを明かした。しかし…
村瀬キャスター「受給対象でない雇用調整助成金を申請したことについては 」
昌代専務「全く知らなかったんですよ。会長も」
村瀬キャスター「奥様も全く知らなかった」昌代専務「働いていたことすら分からなかったので」不適切な勤務管理や申請は「現場の担当者によって勝手に行われた」と話し、上層部の関与は否定した。金沢氏は私たちの取材後、会社の代表取締役を辞任し経営の一線から退いた。これまでに会社が確認した不正は4000万円だったとしている。金沢氏によると、労働局は不正申請が始まって以降の助成金の全額=1億円以上の返金を求めていて、会社はそれに応じるとしている。
村瀬キャスター「奥様も全く知らなかった」
昌代専務「働いていたことすら分からなかったので」
不適切な勤務管理や申請は「現場の担当者によって勝手に行われた」と話し、上層部の関与は否定した。

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