神戸市垂水区の神戸徳洲会病院で患者が死亡する事故が相次いだ問題で、運営する医療法人徳洲会は、国の医療事故調査制度に基づき検証した2件について、人為的ミスによる医療過誤だったと認めた。6日夜にあった神戸市の有識者会議の会合で、法人の福田貢副理事長は「亡くなった方とご家族におわびの意を伝えたい」と陳謝した。
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医療過誤としたのは、前院長(3月末で退任)が糖尿病の持病があるのにインスリン投与などの治療を怠り、70代男性患者が死亡▽循環器内科の男性医師によるカテーテル治療で、足の動脈を突き破って90代女性患者が死亡――した2件。病院は家族に説明、謝罪したという。別の12症例についても調査を進めている。
同院を巡っては、男性医師がカテーテル治療をした後に複数の患者が死亡するなどした事故が2023年6月に発覚。同年8月に市の行政指導を受けた後も患者3人が死亡した原因の調査を怠り、市は24年2月に医療法に基づく改善命令を出した。
有識者会議では、病院側が提出した改善計画書が公表された。医療事故への対応遅れについて、死亡事例の調査に対して法人が積極的に介入していなかった▽院長の医療安全の認識が乏しく、適切な指示を出せなかった――など五つの問題点を列挙。死亡例をリスト化し、医療事故を把握した場合は7日以内に調査することや、医師1人の担当患者数を25人以下に制限するなどの対策を盛り込んだ。8月末までに医療安全体制を見直す。【山本康介】