【隣人暴行死】懲役12年の実刑判決「ボクシングジムの練習生でありながら、(男性の)言動にイライラ、常習的に暴行」折れた肋骨が肺に刺さって男性死亡

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2022年に大阪府堺市のマンションで、初老の隣人男性に暴行を加え死亡させた罪に問われた男(34)に、大阪地裁堺支部は6月5日、懲役12年の判決を言い渡しました。◆暴行で折れた骨が両肺に刺さったか 楠本大樹被告(34)は2022年11月、堺市中区のマンションで、隣人の唐田健也さん(当時63)に暴行を加えて両側気胸で死亡させたとして、傷害致死の罪に問われています。 死亡に至った暴行以外にも、その約1か月前から、拳で腹部を殴るなどの暴力を唐田さんに常習的に振るっていたとして、暴行罪にも問われています。

法廷での医師の証言によれば、唐田さんの遺体は肋骨が20か所以上で完全に折れていて、折れた骨が肺に刺さったとみられています。◆面会した記者に「よほどのことがない限り控訴するつもりはない」 初公判で楠本被告は、常習的な暴行については認めたものの、「人が死ぬような力を加えて殴ったことはない」と、傷害致死罪の成立は争う姿勢を見せました。 しかしその後の公判では、「自分は唐田さんを亡くならせてしまったことを頭に入れて、一生背負っていかなければと思っています」など、暴行と死亡との因果関係を認めるとも受けとれる供述を展開。 MBS記者の面会取材でも、「自分がやってしまったことで亡くなったのかなと、今となっては思う」「よほどのことがない限り控訴するつもりはないですし、(判決を)真摯に受け入れて服役しようと思っています」と述べていました。◆被害者と被告は生活保護受給 事件をめぐっては、楠本被告と唐田さんがいずれも生活保護を受けていた中で、堺市中区役所の当時の係長やケースワーカーらが、被告の暴行を目撃していたのに警察への通報などを怠っていたことが判明。 加えて楠本被告は、▽被告の携帯電話機を壊したことの弁償代や、▽唐田さんが自宅の鍵をなくした際に被告が見つけたことの“謝礼”などを被告に支払うという「誓約書」を唐田さんに書かせ、金銭搾取にも及んでいましたが、係長らは、これも実質的に“黙認”していました。◆「サンドバッグのように扱われた末に人生を終えた」 検察側は「根拠の乏しい因縁をつけて金づるのように扱っていた中で、さしたる理由もない暴行を加えた」「サンドバッグのように扱われた末に、すさまじい痛みを覚えながら人生を終えた被害者の無念は計り知れない」として、懲役14年を求刑。 一方、弁護側は「区役所職員など周囲の人が唐田さんを尊重しない態度を取ったことで、被告が誤った“学習”をしていた可能性も否定できない」などとして、懲役8年程度が相当と主張していました。◆「ボクシングジムの練習生でありながら…」 大阪地裁堺支部は、「ボクシングジムの練習生でありながら 、根拠のとぼしい理由で金銭を請求する中で、ささいな言動にイライラするなどの理由で常習的に暴行を加えていて、動機かつ経緯は身勝手かつ理不尽」と述べました。 さらに、「傷害致死に至っては、交通事故や高所からの転落に比肩するような強い暴行を多数回加えており、そのような暴行で亡くなった被害者の身体的・精神的苦痛は想像するにあまりある」として楠本被告に、懲役12年を言い渡しました。

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